塾長ノート

likely は like + like なのか

「ありそうな」の中に、like が重なって見える

前回の記事では、-ly が単なる「副詞の目印」ではなく、 like と関係する接尾辞でもあることを見た。

すると、少し気になる単語が出てくる。

likely

likely は、「ありそうな」「たぶん」「おそらく」といった意味で使われる。

It is likely to rain.
雨が降りそうだ。
He will likely come tomorrow.
彼はたぶん明日来るだろう。

ここで、ふと思う。

likely って、like + ly なのか。
でも -ly も like と関係するなら、like + like みたいなものなのか。

この疑問は、かなり良いところを突いている。

もちろん、現代英語の likelike を単純に足して、 そのまま likely ができた、という話ではない。

しかし、語源の方向としては、likely にはたしかに like の感覚が重なって見える。

likely は「ありそうな」と訳される

まず、現代英語の likely の使い方を確認しておく。

likely は形容詞として使われる。

It is likely to rain.
雨が降りそうだ。
That is the most likely explanation.
それが最もありそうな説明だ。

この場合の likely は、「可能性が高い」「起こりそうな」という意味である。

また、副詞として使われることもある。

He will likely be late.
彼はたぶん遅れるだろう。

つまり likely は、現代英語では形容詞にも副詞にもなる。

しかし今回考えたいのは、意味そのものよりも、その形である。

like + ly

のように見える、この形である。

like は「好き」だけではない

ここで大切なのは、like を「好き」という意味だけで見ないことである。

現代英語では、like は動詞として、

I like music.
私は音楽が好きだ。

のように使われる。

しかし、like にはもともと、

似ている
同じような
〜のような

という感覚もある。

たとえば、

childlike

は、

子どものような

という意味である。

この like は、「好き」というよりも、 〜に似た、〜のような性質をもった という意味で働いている。

likely を考えるときにも、この「〜のような」「〜らしい」という感覚が重要になる。

-ly も like と関係する

前回の記事で見たように、-ly には大きく見て2つの働きがある。

  • 名詞について形容詞を作る -ly
  • 形容詞について副詞を作る -ly

たとえば、

friend + ly → friendly

では、friend という名詞に -ly がついて、friendly という形容詞になっている。

この場合の -ly は、

〜らしい
〜のような性質をもった

という感覚に近い。

つまり friendly は、かなり素直に見れば、

friend-like
友だちらしい

という方向に理解できる。

このように、-ly 自体にも like と近い感覚がある。

ここまで来ると、likely が気になってくる。

likely = like + ly

であり、しかも -ly も like と関係するなら、

likely は like + like なのか

と言いたくなる。

likely は本当に like + like なのか

では、likely は本当に like + like なのだろうか。

答えは、

現代英語の like + like ではない。
ただし、like 系の要素が重なっているように見える語ではある。

くらいがよいと思う。

likely は、語源的には Old English や Old Norse の「like」に関わる語にさかのぼると説明される。

さらに、-ly も、歴史的には like と関係する接尾辞である。

だから likely は、現代英語の感覚で単純に、

like + like

と分解できるわけではない。

しかし、かなり大ざっぱな補助線としては、

likely には「like っぽさ」が二重に見える

と考えることができる。

これが、この単語のおもしろいところである。

「それらしい」から「ありそうな」へ

likely の意味を考えるときは、「似ている」「それらしい」という感覚から出発するとわかりやすい。

たとえば、

a likely explanation

は、「ありそうな説明」「もっともらしい説明」という意味である。

ここには、

それらしく見える
そうであるように見える
可能性が高そうに見える

という感覚がある。

つまり likely は、単に「確率が高い」という数字の話だけではない。

何かが、状況や見た目からして「そうなりそうだ」「そうでありそうだ」と感じられるときに使われる。

ここに、like の「似ている」「〜らしい」という感覚が遠く残っていると見ると、かなり面白い。

likely は形容詞にも副詞にもなる

likely は、現代英語では形容詞としても副詞としても使われる。

形容詞としては、

It is likely to rain.
雨が降りそうだ。
He is a likely candidate.
彼は有力な候補者だ。

のように使う。

一方、副詞としては、

It will likely rain.
たぶん雨が降るだろう。

のように使われる。

ここで注意したいのは、likely の -ly が見た目だけで副詞を表しているわけではないことである。

likely は、もともと形容詞としての性質を持ち、その後、副詞としても使われるようになっている。

つまり、

-ly で終わっているから副詞

という単純な話ではない。

ここにも、-ly のややこしさがある。

friendly と likely は少し似ている

likely を理解するうえで、friendly と比べるとわかりやすい。

friend + ly → friendly
like + ly → likely

friendly は、

友だちらしい
親しみやすい

という方向で理解できる。

likely も、かなり大ざっぱに言えば、

それらしい
ありそうな

という方向で理解できる。

もちろん、friendly と likely は、現代英語での働きも意味も違う。

しかし、どちらにも、

〜らしい
〜のような性質をもつ

という感覚が見える。

だから、likely を「単に likely = probably」とだけ覚えるより、

like と -ly の重なりからできた、「それらしい」「ありそうな」という語

と見ると、かなり記憶に残りやすい。

ただし、語源はきれいに足し算しすぎない

ここで注意したいことがある。

語源を見るときは、つい、

likely = like + like

のように、きれいな足し算で説明したくなる。

しかし、語源は現代英語の単語をそのまま部品に分解する作業ではない。

likely は、現代英語の like を2つくっつけた単語ではない。

古い英語や北欧語系の形を経由しながら、現在の likely になっている。

だから、厳密には、

likely = like + like

と断定してはいけない。

ただし、

like 系の語に、like と関係する -ly が重なっている

と見るなら、かなりおもしろい補助線になる。

語源は、丸暗記のための正解というより、単語の見え方を変えるための手がかりである。

まとめ

likely は、現代英語では「ありそうな」「たぶん」と訳される。

It is likely to rain.
雨が降りそうだ。
It will likely rain.
たぶん雨が降るだろう。

形を見ると、likely は like + ly のように見える。

そして、-ly 自体も歴史的には like と関係する。

そのため、

likely って like + like なのか

という疑問は、かなりよい感覚である。

ただし、厳密には、現代英語の like を2つそのまま足した語ではない。

むしろ、

like 系の語に、like と関係する -ly が重なっているように見える語

と考えるとよい。

そう考えると、likely の「ありそうな」「それらしい」という意味も見えやすくなる。

語源を知ると、単語はただの日本語訳ではなくなる。

likely は、そのことをよく教えてくれる単語である。

Feedback

この記事は参考になりましたか?

よろしければ「参考になった」を押してください。今後の記事づくりの参考になります。

0件のリアクション