英語を勉強していると、ふと不思議に感じる表現がある。
たとえば、次の文である。
I studied English last night.
意味は、
私は昨晩、英語を勉強した。
である。
ここで気になるのは、last night のところである。
「夜に」と言うなら、前置詞が必要そうに見えるかもしれない。
at night
in the evening
on Monday night
しかし、
I studied English last night.
では、last night の前に前置詞がない。
それでもこの文は自然である。
このような表現を考えるときに出てくるのが、副詞的対格という考え方である。
副詞的対格とは何か
副詞的対格とは、かなり簡単に言えば、
名詞句が、前置詞なしで副詞のように働く用法
である。
たとえば、
I studied English last night.
の last night は、形としては名詞句である。
しかし、文の中では、
いつ勉強したのか
を表している。
つまり、働きとしては副詞に近い。
同じように、
I stayed home all day.
の all day は、
どれくらいの間、家にいたのか
を表している。
これも、形としては名詞句だが、文の中では副詞的に働いている。
なぜ「対格」と呼ぶのか
ここで少しややこしいのが、対格という言葉である。
英語学習では、「対格」という言葉をあまり使わないかもしれない。
ただ、かなり大ざっぱに言えば、対格は「目的語に関わる格」と考えるとよい。
たとえば、代名詞で見るとわかりやすい。
He likes me.
I like him.
me や him は、目的語として使われる形である。
ただし、現代英語では、普通の名詞そのものには対格の形がはっきり残っていない。
I read the book.
The book is interesting.
どちらも the book の形は同じである。
だから、英語学習者にとって「対格」と言われても、少し見えにくい。
この記事では、細かい格の話に深入りしすぎず、
名詞句が、前置詞なしで副詞のように働いている
というところを押さえれば十分である。
yesterday は副詞的対格なのか
ここで、ひとつ気になる問題がある。
I met him yesterday.
この yesterday はどう考えればよいのだろうか。
yesterday は「昨日に」という意味で、文の中では明らかに副詞のように働いている。
では、これも副詞的対格なのだろうか。
結論から言えば、1語だから副詞的対格として考えられない、というわけではない。
語数の問題ではなく、文の中でどのように働いているかが問題だからである。
ただし、yesterday は現代英語では、すでに副詞としてかなり固定化している。
そのため、英語学習の説明としては、
yesterday は副詞として扱う
last night や all day は名詞句が副詞的に働いている例として見る
と分けた方がわかりやすい。
たとえば、
I met him yesterday.
I met him last night.
は、どちらも「いつ会ったのか」を表している。
しかし、yesterday は1語の副詞として扱われやすい。
一方、last night は last + night という名詞句の形がはっきり残っている。
だから、副詞的対格を説明するときには、yesterday よりも last night や all day の方が例として見えやすい。
last night はなぜ in last night ではないのか
学習者が迷いやすいのは、ここである。
I studied English last night.
と言うなら、
in last night
のように言いたくなることがある。
しかし、普通はそう言わない。
last night そのものが、「昨晩に」という時間を表す副詞的なかたまりとして働いているからである。
同じように、
this morning
next week
every day
all day
なども、前置詞なしで文の中に置くことができる。
これらは、「名詞句っぽい形をしているが、文の中では副詞のように働く」と考えるとわかりやすい。
目的語とは違う
副詞的対格を考えるときに大切なのは、目的語と混同しないことである。
I read the book.
の the book は、read の目的語である。
一方で、
I studied English last night.
の last night は、studied の目的語ではない。
「昨晩を勉強した」のではなく、「昨晩に勉強した」のである。
つまり、last night は動作の対象ではなく、動作が行われた時間を表している。
ここが、目的語としての名詞句と、副詞的に働く名詞句の違いである。
学習者はどう理解すればよいか
「副詞的対格」という名前は、少し難しく見える。
しかし、英語学習としては、まず次のように考えればよい。
名詞句なのに、時間・期間・距離などを表して、文全体を説明することがある。
たとえば、
last night:昨晩に
all day:一日中
ten miles:10マイル
のような表現である。
これらは、前置詞なしで使われることがある。
そして、文の中では「いつ」「どれくらいの間」「どれくらいの距離」を表す。
用語を覚えることよりも、
前置詞なしで副詞のように働く名詞句がある
という感覚を持つことが大切である。
まとめ
副詞的対格とは、簡単に言えば、
名詞句が、前置詞なしで副詞のように働く用法
である。
たとえば、
I studied English last night.
の last night は、形としては名詞句だが、「いつ勉強したのか」を表している。
また、
I stayed home all day.
の all day は、「どれくらいの間」を表している。
これらは目的語ではなく、文の中で副詞のように働く名詞句である。
なお、yesterday のような語も副詞的に働くが、現代英語では副詞として固定化しているため、 副詞的対格を説明するときには last night や all day のような名詞句を例にした方がわかりやすい。
英語には、前置詞なしで時間・期間・距離などを表す名詞句がある。
そのことを知っておくと、英語の前置詞や語順の見え方が少し変わってくる。