塾長ノート

ゼニガメはなぜ英語で Squirtle なのか

水を噴き出すカメを英語ではどう名づけたか

ポケモンローカライズ研究、今回は ゼニガメ を取り上げる。

ゼニガメは、英語では Squirtle と呼ばれる。

ゼニガメ → Squirtle

フシギダネは Bulbasaur、ヒトカゲは Charmander だった。

では、ゼニガメはなぜ Squirtle になったのだろうか。

この記事では、日本語名のゼニガメと英語名の Squirtle を比べながら、 ポケモン名のローカライズを考えてみたい。

なお、ポケモン名の由来は、公式にすべてが細かく説明されているわけではない。 ここでは、名前の形と英単語から読み取れる範囲で、英語学習につながる考察として整理する。

日本語名:ゼニガメ

まず、日本語名の ゼニガメ から見てみる。

ゼニガメは、漢字で考えると、

銭亀

である。

銭亀は、もともと小さなカメを指す名前として使われることがある。

「銭」は古いお金を表す語であり、甲羅の形や模様が古い硬貨を連想させるところから、 そのように呼ばれると考えられる。

つまり、ゼニガメという日本語名は、

小さなカメ
甲羅を持つかわいらしい生き物

という印象が強い。

ヒトカゲが「火+トカゲ」、フシギダネが「不思議+種」だったのに対して、 ゼニガメはかなり現実のカメの名前に近い。

日本語名では、水を噴き出す能力よりも、 小さなカメとしての姿が前に出ていると言える。

英語名:Squirtle

英語名は Squirtle である。

この名前は、一般的には次のような要素から考えられる。

squirt:水などを噴き出す
turtle:カメ

squirt は、水などを勢いよく噴き出すことを表す語である。

ゼニガメは、みずタイプのポケモンであり、水を使った攻撃をする。

その特徴が、英語名では squirt によって前面に出ている。

そして turtle は「カメ」である。

つまり、Squirtle という名前には、

水を噴き出す
カメ

という2つの要素が入っている。

日本語のゼニガメが「小さなカメ」らしさを前に出しているのに対して、 英語名の Squirtle は、カメであることに加えて、水を噴き出す動きまで名前に入れている。

なぜ Money Turtle ではないのか

ゼニガメをそのまま英語に訳そうとすると、

Money Turtle

のようになってしまうかもしれない。

しかし、これはポケモンの名前としてはかなり不自然である。

たしかに「銭」と「亀」を辞書的に移せば、意味としては近い。

しかし、英語圏のプレイヤーにとって、

Money Turtle

と聞いても、ゼニガメのかわいらしさや、みずタイプらしさは伝わりにくい。

さらに、Money Turtle だと、お金に関係するポケモンのようにも聞こえてしまう。

そこで英語名では、銭亀という日本語の背景をそのまま移すのではなく、 ゼニガメの見た目と能力に注目している。

turtle:カメであること
squirt:水を噴き出すこと

この2つを組み合わせることで、英語圏のプレイヤーに分かりやすい名前になっている。

ここに、ローカライズの重要な判断がある。

元の名前の文字通りの意味を残すよりも、 そのキャラクターの特徴が伝わる名前に作り直しているのである。

ゼニガメは「種類」、Squirtle は「動き」が前に出る

日本語名と英語名を比べると、名前の中心が少し違う。

ゼニガメ:小さなカメとしての種類・見た目
Squirtle:水を噴き出すカメとしての動き・能力

日本語名のゼニガメは、カメそのものの名前にかなり近い。

そのため、見た目のかわいらしさや、小さなカメらしさが前に出る。

一方、英語名の Squirtle では、

squirt

という動作が入る。

つまり、英語名はゼニガメを、

水を噴き出すカメ

として捉え直している。

同じポケモンでも、日本語名と英語名では、 どの特徴を名前の中心に置くかが違っている。

これが、ポケモン名のローカライズのおもしろさである。

Squirtle は名前としてまとまりがよい

Squirtle は、squirtturtle を組み合わせた名前として見ると分かりやすい。

ただし、単に2語を並べているわけではない。

squirt + turtle → Squirtle

のように、短くまとまった名前になっている。

もしそのまま、

Squirt Turtle

となっていたら、少し説明的で長く感じる。

しかし Squirtle なら、1語のキャラクター名として自然に聞こえる。

さらに、語尾の -tle の響きには、turtle の感じが残っている。

つまり、Squirtle は、

水を噴き出す
カメである
名前として短く覚えやすい

という条件をかなりうまく満たしている。

御三家の英語名を並べてみる

ここで、初代御三家の英語名を並べてみる。

フシギダネ → Bulbasaur
ヒトカゲ → Charmander
ゼニガメ → Squirtle

どれも、日本語名を直訳した名前ではない。

しかし、それぞれのポケモンの特徴はしっかり残っている。

Bulbasaur:植物の芽・球根+生き物らしさ
Charmander:火で焦がす感じ+サラマンダー
Squirtle:水を噴き出す+カメ

日本語名は、日本語の音や語感を使って名前になっている。

英語名は、英語の語を組み合わせて、英語圏のプレイヤーに伝わる名前として作り直されている。

ここに、ローカライズの考え方がよく表れている。

英語学習として見る Squirtle

Squirtle という名前からは、いくつかの英語表現を学ぶことができる。

squirt:水などを噴き出す
turtle:カメ

squirt は、日本語ではあまり最初に覚える単語ではないかもしれない。

しかし、ゼニガメの姿や水を使う動きと結びつけると、かなり覚えやすい。

また、squirt は「水鉄砲のようにピュッと出す」感じを持つ語である。

そのため、みずタイプの小さなカメであるゼニガメには、とても相性がよい。

ポケモンの英語名は、単語の意味だけでなく、 その単語が持つ動きや音の印象まで学べる題材になる。

ローカライズでは文化的な背景を置き換えることもある

ゼニガメの日本語名には、「銭亀」という日本語の背景がある。

しかし、その背景を英語にそのまま移しても、英語圏のプレイヤーには伝わりにくい。

そこで英語名では、お金のイメージではなく、

水を噴き出す
カメ

という、見た目と能力に関わる情報を前に出している。

これは、ローカライズにおいてかなり大切な考え方である。

元の言語の文化的な背景をそのまま残すよりも、 受け手の言語で分かりやすく機能する情報を選ぶことがある。

ゼニガメと Squirtle の違いは、そのことを分かりやすく見せてくれる。

まとめ

ゼニガメは、英語で Squirtle と呼ばれる。

ゼニガメ:銭亀、小さなカメ
Squirtle:squirt + turtle

日本語名は、銭亀という小さなカメの名前に近く、 見た目のかわいらしさやカメらしさが前に出ている。

一方、英語名は squirtturtle を組み合わせ、 水を噴き出すカメという特徴を名前にしている。

もし直訳すれば Money Turtle のようになりそうだが、 実際には Squirtle という名前になっている。

これは、ポケモン名のローカライズが単なる直訳ではないことを示している。

元の名前の文字通りの意味をすべて残すのではなく、 その言語で自然に聞こえ、キャラクターの特徴が伝わる形に作り直す。

ゼニガメと Squirtle の違いは、ローカライズのその働きをよく見せてくれる。

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