塾長ノート

I am fond. はなぜ言えないのか

形容詞にも、意味を完成させる相手がある

英語で「私は幸せです」と言うなら、

I am happy.
私は幸せです。

で文が完成する。

では、「私は猫が好きです」と言いたいとき、 fond という形容詞を使って、

I am fond.
私は好きです。

と言えるだろうか。

fond を「〜が好きである」という意味で使うなら、 通常は、

I am fond of cats.
私は猫が好きです。

のように、 of cats まで続ける必要がある。

happyfond も、 学校文法では補語になる形容詞として扱える。

それにもかかわらず、 I am happy. はそれだけで言えるのに、 「〜が好きだ」という意味での I am fond. は何かが足りないように感じられる。

この違いを見ると、 形容詞はただ主語の状態を説明するだけでなく、 ものによっては、 その気持ちや性質が向かう相手 まで必要とすることが分かる。

happy は主語だけで意味が成立する

まず、happy を見てみよう。

I am happy.
私は幸せです。

この文では、 「私が幸せな状態である」ということが述べられている。

もちろん、必要であれば、 さらに情報を付け加えることはできる。

I am happy today.
私は今日、幸せです。
I am happy in my new school.
私は新しい学校で幸せです。
I am happy to hear the news.
その知らせを聞いてうれしいです。

しかし、これらの情報がなくても、

I am happy.

は文として成立する。

happy は、 まず「主語が幸せである」という状態を表せば、 それだけで基本的な意味が完成する形容詞である。

fond は「何を好きなのか」まで求める

一方、fond は少し性質が違う。

I am fond of cats.
私は猫が好きです。
She is fond of music.
彼女は音楽が好きです。
My grandfather was fond of gardening.
私の祖父は園芸が好きでした。

ここで fond が表しているのは、 ただの状態ではない。

だれかが、 何かに対して好意や愛着を持っている、 という関係である。

人が、何かを好きである
人が、何かに愛着を持っている

そのため、fond を使うと、

何が好きなのか
何に愛着を持っているのか

という相手が必要になる。

その相手を導くのが、 of である。

be fond of cats
猫が好きである
be fond of reading
読書が好きである
be fond of her teacher
彼女の先生に好意を持っている

つまり、 fond は単独で「好き」と覚えるよりも、

be fond of ...
〜が好きである / 〜に愛着を持っている

という形で覚えた方が、 実際の英文を作りやすい。

形容詞にも「必要な相手」がある

動詞には、 後ろに何が必要かという違いがある。

たとえば、 put を「置く」という意味で使うときは、

I put the book on the desk.
私はその本を机の上に置きました。

のように、 「何を」だけでなく、 「どこに」まで必要になる。

put と場所表現の関係については、 put はなぜ「置く」だけで文が終わらないのか で扱った。

これと同じように、 形容詞にも、 意味を完成させるために後ろの相手を必要とするものがある。

happy:主語が幸せである
fond of ...:主語が何かに好意を持っている

happy は、 主語の状態を表せばひとまず意味が完成する。

一方、fond は、 好意の向かう相手を伴って、 はじめて「何が好きなのか」という意味が具体的に完成する。

このように、 形容詞を学ぶときも、 単語の日本語訳だけでなく、

後ろにどのような語句を結びつけるのか
何を言えば意味が完成するのか

を見る必要がある。

5文型だけで見ると、of cats が見えにくい

学校で学ぶ5文型の考え方で、

I am fond of cats.

を見ると、 多くの場合、

I   am   fond
S   V    C

と整理し、 of cats は修飾語として扱われる。

これは、英文の大まかな骨格をつかむという目的では、 分かりやすい整理である。

しかし、実際に自分で英文を作るという観点から見ると、 それだけでは困ることがある。

なぜなら、 fond を「〜が好きである」という意味で使うには、 通常、of ... の部分まで必要だからである。

I am happy.
私は幸せです。
I am fond of cats.
私は猫が好きです。

どちらも、表面上は、

主語+be動詞+形容詞

という形を持っている。

しかし、 fond の場合には、 そのあとに「何を好きなのか」を示す語句が必要になる。

そこで、 of cats のような、 形容詞にとって必要な語句も文型の中に含めて考えるなら、

I  am  fond  of cats.
S  V  C   A

という SVCA型 で捉えることができる。

ここでの A は、 単に飾りとして付け足された情報ではなく、 fond の意味を成立させるために必要な語句である。

「修飾語」と「必要な語句」は同じではない

もう少し比べてみよう。

I am happy in this room.
私はこの部屋で幸せです。

この文から、 in this room を取り除いても、

I am happy.
私は幸せです。

と言うことができる。

in this room は、 どこで幸せなのかを付け加える情報であり、 なくても文の中心的な意味は成立する。

一方、

I am fond of cats.
私は猫が好きです。

から、 of cats を取り除いて、

I am fond.

としても、 「私は猫が好きです」という意味をそのまま表すことはできない。

何に好意を持っているのかが示されていないため、 学習者が通常作ろうとしている「〜が好きです」という文としては、 情報が不足してしまうからである。

in this room:なくても I am happy. が成立する
of cats:be fond of ... の意味を作るうえで必要になる

前置詞句だからすべて「取り除いてもよい飾り」と考えるのではなく、 前にある動詞や形容詞が、 その語句を必要としているかを見ることが大切である。

形容詞は「日本語訳」だけで覚えない

英単語を覚えるとき、 形容詞は、

happy:幸せな
fond:好きな
interested:興味がある
proud:誇りに思っている
similar:似ている

のように、 日本語訳だけで覚えがちである。

しかし、英作文で実際に使うためには、 その形容詞がどのような形で相手を続けるのかまで知っておく必要がある。

be fond of ...
〜が好きである / 〜に愛着を持っている
be interested in ...
〜に興味がある
be proud of ...
〜を誇りに思う
be similar to ...
〜に似ている
be responsible for ...
〜に責任がある / 〜を担当している

これらは、 形容詞のあとに前置詞がたまたま付いているのではない。

その形容詞が、 何との関係を表すのかを示すために、 それぞれの前置詞を伴って使われる。

もちろん、 文脈から相手が明らかなときに語句が省かれたり、 形容詞が別の用法で使われたりする場合はある。

それでも、 英語を自分で組み立てる段階では、 まず、

be fond of ...
be interested in ...
be proud of ...
be similar to ...

のように、 相手を導く形まで含めて覚える 方が確実である。

like と be fond of はどう違うか

「私は猫が好きです」と言うだけであれば、 最も基本的で使いやすいのは、

I like cats.
私は猫が好きです。

である。

like は動詞なので、 好きな対象を目的語としてそのまま後ろに置く。

I  like  cats.
S  V   O

一方、fond は形容詞であるため、 be動詞 とともに使い、 好きな対象は of で導く。

I  am  fond  of cats.
S  V  C   A

また、be fond of ... は、 単に好みを述べるだけでなく、 あるものや人に対して愛着や親しみを持っている感じを表すことがある。

I like my old school.
私は以前通っていた学校が好きです。
I am fond of my old school.
私は以前通っていた学校に愛着があります。

ただし、 この違いを必要以上に細かく考える必要はない。

まずは、

like:動詞なので、後ろに対象をそのまま置く
be fond of:形容詞を使った表現なので、of のあとに対象を置く

という形の違いを押さえておくとよい。

英作文でよく起こる間違い

fond を使うときは、 次のような間違いが起こりやすい。

× I fond of cats.
○ I am fond of cats.
私は猫が好きです。

fond は動詞ではなく形容詞なので、 文の述語として使うには be動詞 が必要である。

× I am fond cats.
○ I am fond of cats.
私は猫が好きです。

fond で好きな対象を表すときには、 of を使って対象を続ける。

× I like of cats.
○ I like cats.
私は猫が好きです。

一方、like は動詞なので、 of を置かずに目的語を直接続ける。

同じ「好きです」と訳せる表現でも、 英語の中では文の作り方が異なる。

I like cats.
SVO型
I am fond of cats.
SVCA型として捉えられる

日本語訳だけを見て単語を入れ替えるのではなく、 その表現がどのような形で文を作るのかまで覚えることが大切である。

英作文・英会話での使い方

日常的に「〜が好きです」と言うなら、 like が最も使いやすい。

I like music.
私は音楽が好きです。
I like reading novels.
私は小説を読むことが好きです。

一方、 少し愛着や親しみの感じを込めて述べたいときには、 be fond of ... が使える。

I am fond of classical music.
私はクラシック音楽が好きです。
She is fond of children.
彼女は子どもが好きです。
My father is fond of taking pictures.
父は写真を撮ることが好きです。

of のあとには、 名詞だけでなく、 動名詞を置くこともできる。

be fond of music
音楽が好きである
be fond of reading
読書が好きである
be fond of playing chess
チェスをすることが好きである

「好き」を表す表現を増やすときも、 単語だけではなく、

be fond of + 名詞 / 動名詞

という使える形で覚えておきたい。

文型は、動詞だけを見るものではない

文型というと、 どの動詞がどの文型を取るかという話になりやすい。

もちろん、動詞を見ることは大切である。

しかし、 I am fond of cats. のような文を見ると、 英文を成立させる情報は、 動詞だけで決まるわけではないことが分かる。

この文では、 be動詞 の後ろに置かれた fond が、 さらに of cats という相手を求めている。

put:何を、どこに置くのかを必要とする
fond:だれが、何に好意を持っているのかを必要とする

英語の文を作るときは、 語を一つずつ日本語に置き換えるのではなく、 それぞれの語が、 どのような相手を伴って使われるのかを見る必要がある。

be fond of ... は、 形容詞にも「後ろに必要な情報」があることを教えてくれる表現である。

よく使う形で覚える

fond まわりの表現は、 次の形で整理しておくと使いやすい。

be fond of ...
〜が好きである / 〜に愛着を持っている
be fond of animals
動物が好きである
be fond of music
音楽が好きである
be fond of reading
読書が好きである
be very fond of ...
〜がとても好きである

また、形容詞を英作文で使うときは、 次のように、 相手を導く前置詞まで含めて覚えるとよい。

be interested in ...
〜に興味がある
be proud of ...
〜を誇りに思う
be similar to ...
〜に似ている
be responsible for ...
〜に責任がある / 〜を担当している

形容詞を「意味だけ」で覚えるのではなく、 文の中で何と結びつくかまで覚えると、 英作文でも英会話でも使える知識になる。

まとめ

I am happy. は、 「私は幸せです」という意味で、 それだけで文が成立する。

一方、fond を 「〜が好きである」「〜に愛着を持っている」という意味で使うなら、

I am fond of cats.
私は猫が好きです。

のように、 of ... で好意の向かう相手を続けるのが基本である。

happy:主語の状態を表せば意味が成立する
fond of ...:何に好意を持つのかまで示して意味が成立する

学校文法では、 I am fond of cats. を 大きくSVC型として捉えることができる。

しかし、 of catsfond の意味にとって必要であることまで見るなら、

I  am  fond  of cats.
S  V  C   A

という SVCA型 の見方が役に立つ。

文型は、 文に記号を振るためだけのものではない。

ある語が、 どのような相手を必要とし、 どこまで言えば意味が完成するのかを見るためのものでもある。

be fond of ... を通して見ると、 形容詞にも、 英文を組み立てるための設計があることが見えてくる。

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