中学英語で最初に学ぶ時制は、 たいてい 現在形 である。
I play tennis.
私はテニスをします。
She likes music.
彼女は音楽が好きです。
しかし、 現在形という名前だけを見ると、 「今この瞬間にしていること」を表す形だと考えたくなる。
ところが、 次の文を見てみると、 少し様子が違う。
I live in Tokyo.
私は東京に住んでいます。
The sun rises in the east.
太陽は東から昇ります。
I live in Tokyo. は、 今この一瞬だけ東京にいるという意味ではない。 東京に住んでいるという、 ある程度続いている状態を表している。
また、 The sun rises in the east. は、 今日だけの出来事ではない。 普段から成り立つ一般的な事実を表している。
つまり、 英語の現在形は、 日本語の「今」と単純に対応しているわけではない。 むしろ、 現在を中心として成り立っている事実・習慣・性質 を表す形だと考えたほうがよい。
高校英文法に進むと、 現在形は、 現在進行形、未来表現、時や条件を表す副詞節、 さらに英文解釈とも関わってくる。
今回は、 現在形を 「今している」ではなく「現在成り立っている」 という視点から整理しよう。
現在形は、現在成り立っている事実を表す
まず、 現在形は、 現在の状態や事実を表す。
I am a high school student.
私は高校生です。
この文は、 今この瞬間だけ高校生だと言っているわけではない。 現在の身分・状態として、 高校生であることを述べている。
My brother lives in Osaka.
私の兄は大阪に住んでいます。
この文も、 兄が今ちょうど大阪にいるという意味ではない。 兄の生活の拠点が大阪にある、 という現在の事実を表している。
ここで大切なのは、 現在形が 点としての今 だけを表すのではないということである。
I live in Tokyo.
→ 現在の生活状態として、東京に住んでいる
She has a cat.
→ 現在の事実として、猫を飼っている
This room is large.
→ 現在の性質として、この部屋は広い
どれも、 今この一秒だけの動作ではない。 現在を中心にして、 ある程度安定して成り立っている状態や性質を表している。
そのため、 現在形を読むときは、 すぐに 「今している」 と訳すのではなく、 現在の事実として述べているのか を見る必要がある。
たとえば、 次の二つは意味が違う。
I live in Tokyo.
私は東京に住んでいます。
I am staying in Tokyo now.
私は今、東京に滞在しています。
live は、 生活の拠点として住んでいることを表しやすい。 一方、 am staying は、 今その場所に滞在しているという一時的な動きを表しやすい。
現在形は、 現在の事実を落ち着いて述べる形である。 この感覚があると、 現在進行形との違いも見えやすくなる。
習慣や繰り返しは、現在形で表す
現在形は、 習慣や繰り返しの動作も表す。
I play tennis every Sunday.
私は毎週日曜日にテニスをします。
この文は、 今この瞬間にテニスをしているという意味ではない。 毎週日曜日にテニスをするという、 普段の習慣を表している。
She gets up at six every morning.
彼女は毎朝6時に起きます。
これも、 今まさに起きているという意味ではない。 普段の生活パターンとして、 朝6時に起きることを表している。
習慣を表す現在形では、 次のような語句がよく一緒に使われる。
every day
毎日
usually
たいてい
often
よく
sometimes
ときどき
これらの語があると、 「今この瞬間」ではなく、 普段の繰り返しを表していると考えやすい。
現在進行形と比べると、 違いがさらに分かりやすい。
I play tennis every Sunday.
私は毎週日曜日にテニスをします。
I am playing tennis now.
私は今テニスをしています。
I play tennis は、 普段の習慣を表すことができる。 I am playing tennis は、 今進行中の動作を表している。
現在形
→ 普段そうする、習慣としてそうである
現在進行形
→ 今している、今進んでいる
この違いをつかむと、 「現在形なのに、なぜ今している意味ではないのか」 という疑問がかなり減る。
現在形は、 現在という時点に固定された一瞬ではなく、 現在を中心にした生活・習慣・性質を表す形なのである。
一般的な真理や変わりにくい事実も、現在形で表す
現在形は、 個人の習慣だけでなく、 一般的な真理や変わりにくい事実も表す。
The sun rises in the east.
太陽は東から昇ります。
この文は、 今日だけの出来事を言っているわけではない。 普段から成り立つ事実として述べている。
Water boils at 100 degrees Celsius.
水は摂氏100度で沸騰します。
これも、 今この瞬間に水が沸騰しているという文ではない。 条件がそろえば成り立つ一般的な性質を表している。
ことわざや格言にも、 現在形がよく使われる。
Time flies.
時は飛ぶように過ぎる。
Practice makes perfect.
練習が上達を生む。
こうした文では、 ある時点の一回の出来事ではなく、 一般的に成り立つ考え方を述べている。
つまり、 現在形には、 次のような働きがある。
現在の状態
I live in Tokyo.
普段の習慣
I play tennis every Sunday.
一般的な真理・事実
The sun rises in the east.
これらをまとめると、 現在形は、 現在を基準にして成り立つこと を表す形だと言える。
高校英文法では、 この見方がかなり重要になる。 たとえば、 英文を読むとき、 現在形が出てきたからといって、 いつも「今している」と訳すと不自然になる。
This book explains Japanese history.
この本は日本史を説明しています。
この文も、 本が今この瞬間に説明しているというより、 本の内容・性質として日本史を説明していると見るほうが自然である。
現在形は、 物事の性質や内容を述べるときにもよく使われる。 だからこそ、 説明文や論説文では、 現在形が多く現れる。
時や条件を表す節では、未来の内容も現在形で表す
現在形には、 もう一つ大切な使い方がある。 それが、 時や条件を表す副詞節の中では、未来の内容でも現在形を使う というルールである。
I will call you when I get home.
家に着いたら、あなたに電話します。
この文では、 家に着くのは未来のことだが、 when I get home の中では will get ではなく get を使っている。
If it rains tomorrow, I will stay home.
もし明日雨が降ったら、私は家にいます。
これも、 雨が降るのは未来の内容である。 しかし、 条件を表す if it rains tomorrow の中では、 will rain ではなく rains を使う。
これは、 中学英文法でも一度学ぶが、 高校英文法では、 副詞節の理解とつながってくる。
when I get home
→ 家に着くとき
if it rains tomorrow
→ もし明日雨が降るなら
before you leave
→ あなたが出発する前に
これらは、 文全体の中で、 時や条件を説明するまとまりである。 つまり、 副詞のように働く節である。
主節では未来を will で表すことができる。 しかし、 時や条件を表す節の中では、 未来の内容でも現在形を使う。
I will call you when I get home.
→ 電話するのは未来なので will call
→ 家に着く条件・時は when I get home
If it rains tomorrow, I will stay home.
→ 家にいるのは未来なので will stay
→ 雨が降る条件は if it rains
ここでも、 現在形は「今この瞬間」だけを表しているわけではない。 文の中で、 条件や時を設定する形として使われている。
現在形を理解するときは、 まず次のように整理するとよい。
現在の事実を述べる
→ I live in Tokyo.
普段の習慣を述べる
→ I play tennis every Sunday.
一般的な真理を述べる
→ The sun rises in the east.
時や条件の節で未来内容を表す
→ If it rains tomorrow, I will stay home.
現在形は、 英語の中で最初に学ぶ時制でありながら、 実はとても広い働きを持っている。
「現在形=今」と覚えるだけでは、 高校英文法や英文解釈に進んだときに、 文の意味をつかみにくくなる。
現在形は、 現在を基準にして成り立っていることを述べる形 である。 この見方を持っておくと、 現在進行形、未来表現、時制の一致、仮定法なども、 ばらばらの暗記ではなく、 英文全体の時間の見方として整理しやすくなる。