中学英語では、 現在完了 を学ぶ。
I have finished my homework.
私は宿題を終えました。
I have lived in Tokyo for five years.
私は5年間東京に住んでいます。
現在完了は、 過去の出来事や状態を、 今 とつなげて表す形である。
では、次の文はどうだろうか。
When I arrived at the station,
the train had already left.
私が駅に着いたとき、 電車はすでに出発していました。
ここでは、 had left という形が使われている。 これは 過去完了 と呼ばれる形である。
過去完了は、 単に「とても昔のこと」を表す形ではない。 大切なのは、 どの時点を基準にしているか である。
現在完了は、 今を基準にして、 それ以前を見ている。 それに対して、 過去完了は、 過去のある時点 を基準にして、 それより前を見ている。
今回は、 高校英文法の入口として、 過去完了を 「過去よりさらに前」 という丸暗記ではなく、 基準点が過去に移った完了形 として整理していこう。
現在完了は「今」を基準にして、それ以前を見る
まず、現在完了を思い出しておこう。
I have visited Kyoto three times.
私は京都を3回訪れたことがあります。
この文では、 京都を訪れた出来事は過去に起きている。 しかし、文が見ているのは、 過去のある一日ではない。
今の私が、 京都を3回訪れた経験を持っている。 そこに現在完了の見方がある。
現在完了
→ 今を基準にして、今までの経験・完了・継続を見る
だから、現在完了は have + 過去分詞 で作る。
I have finished my homework.
→ 今、宿題は終わっている
I have lived here for ten years.
→ 今まで10年間ここに住んでいる
I have seen that movie before.
→ 今までにその映画を見た経験がある
どの文でも、 過去の出来事や状態が、 今どうなっているか と結びついている。
ここで重要なのは、 現在完了の中心にあるのが 「現在」 だという点である。
名前に 「完了」 とついているため、 過去の話だけをしているように見えるかもしれない。 しかし、現在完了は、 過去から今までのつながりを、 現在の位置から 見る形である。
そのため、 yesterday や last year のように、 過去の時点をはっきり切り取る語とは、 基本的には相性がよくない。
I visited Kyoto last year.
→ 去年という過去の時点を見る
I have visited Kyoto three times.
→ 今までの経験として見る
このように、 現在完了では、 今 が基準点になる。 ここを押さえておくと、 過去完了がかなり理解しやすくなる。
過去完了は「過去の時点」を基準にして、それ以前を見る
過去完了では、 基準点が現在ではなく、 過去のある時点 に移る。
When I arrived at the station,
the train had already left.
この文では、 二つの出来事がある。
1. 電車が出発した
2. 私が駅に着いた
実際に先に起きたのは、 電車が出発したこと。 そのあとに、 私が駅に着いた。
しかし、文の中では、 when I arrived at the station によって、 「私が駅に着いたとき」 という過去の時点が示されている。
そして、その過去の時点から見て、 電車はすでに出発していた。 だから、 the train had already left となる。
arrived
→ 過去の基準点
had already left
→ その基準点より前に完了していた出来事
現在完了では、 今から見て、 それ以前を表す。
The train has left.
電車は出発してしまいました。
→ 今の時点で、電車はもういない
一方、過去完了では、 過去のある時点から見て、 それ以前を表す。
The train had left when I arrived.
私が着いたとき、電車は出発していました。
→ 着いた時点で、電車はもういなかった
つまり、過去完了は、 現在完了をそのまま過去にずらしたような形である。
have + 過去分詞
→ 今を基準にした完了
had + 過去分詞
→ 過去の時点を基準にした完了
ここで、 「過去よりさらに前なら何でも過去完了」 と機械的に覚える必要はない。
大切なのは、 文の中に 過去の基準点 があり、 その時点より前の出来事をはっきり示したいかどうかである。
had + 過去分詞で、出来事の順番をはっきりさせる
過去完了は、 出来事の順番をはっきりさせたいときに役立つ。
I lost the watch that my father had given me.
私は父がくれた時計をなくしました。
この文では、 まず父が時計をくれた。 そのあとで、 私はその時計をなくした。
つまり、 had given は、 lost より前の出来事を表している。
my father had given me the watch
→ 先に起きた出来事
I lost the watch
→ あとで起きた出来事
次の文も見てみよう。
She was tired because she had studied all night.
彼女は一晩中勉強していたので疲れていました。
疲れていたのは過去の状態である。 その原因として、 その前に一晩中勉強していたことが示されている。
過去完了は、 このように、 ある過去の状態や出来事の背景を説明するときにも使われる。
She was tired.
→ 過去の状態
She had studied all night.
→ その状態より前に続いていた行動
ただし、 過去に起きた出来事を順番に並べるだけなら、 いつも過去完了が必要なわけではない。
I got up, ate breakfast, and went to school.
私は起きて、朝食を食べて、学校へ行きました。
この文では、 出来事がそのまま時間の順番に並んでいる。 そのため、 すべてを過去形で表しても、 順番は十分に分かる。
過去完了は、 ただ過去の出来事を古い順に並べるための形ではない。 あとで示された過去の時点から見て、すでに起きていたこと をはっきりさせるための形である。
I arrived at the station, but the train left.
→ 私が着いたあとで電車が出たようにも読める
I arrived at the station, but the train had left.
→ 私が着いた時点で、電車はすでに出ていた
このように、 過去完了は、 時間の前後関係を正確に伝えるための道具でもある。
継続・経験・完了も、基準点が過去に移る
過去完了は、 現在完了と同じように、 完了・経験・継続のような意味を表すことがある。
ただし、基準点は現在ではなく、 過去の時点である。
I had finished my homework before dinner.
私は夕食前に宿題を終えていました。
これは、 夕食という過去の時点より前に、 宿題が終わっていたことを表す。
完了
→ 過去の基準点までに、すでに終わっていた
経験を表すこともある。
I had never seen snow before I went to Hokkaido.
北海道へ行く前、私は雪を見たことがありませんでした。
この文では、 北海道へ行った時点が過去の基準点になっている。 その時点までに、 雪を見た経験がなかったことを表している。
経験
→ 過去の基準点までに、経験があったかどうかを表す
継続を表すこともある。
I had lived in Tokyo for five years before I moved to Osaka.
大阪へ引っ越す前、私は5年間東京に住んでいました。
この文では、 大阪へ引っ越した時点が過去の基準点である。 その時点まで、 東京に住んでいた状態が5年間続いていた。
継続
→ 過去の基準点まで、ある状態が続いていた
まとめると、 現在完了と過去完了の違いは、 意味の名前よりも、 基準点の違い として見ると分かりやすい。
現在完了
→ 今までに終わった・経験した・続いている
過去完了
→ 過去のある時点までに終わっていた・経験していた・続いていた
過去完了は、 「過去より前」 という言い方だけで覚えると、 使う場面がぼんやりしやすい。
しかし、 過去のどこかに基準点を置き、そこからさらに前を見る形 と考えると、 現在完了とのつながりも、 過去形との違いも見えやすくなる。
高校英文法では、 このあと、 過去完了進行形や、 助動詞と完了形の組み合わせなども出てくる。 そのときも、 まずは どの時点を基準にして、どこを見ているのか を確認することが大切である。
時制は、 日本語訳だけで覚えると複雑に見える。 けれど、基準点を意識すれば、 過去形・現在完了・過去完了は、 一つの時間の見方としてつながってくるのである。