塾長ノート

I don't like being treated like a child. はなぜ being treated になるのか

動名詞の中でも、される側を being + 過去分詞で表す

動名詞は、 動詞の -ing形 を名詞のように使う形である。

I like playing tennis.
私はテニスをすることが好きです。

この文では、 playing tennis が、 「テニスをすること」 という意味のまとまりになっている。

高校英文法では、 この動名詞にも、 もう少し細かい形が出てくる。 その一つが、 動名詞の完了形 である。

I regret having said that.
私はそれを言ってしまったことを後悔しています。

ここでは、 having said という形が使われている。 普通の動名詞なら saying になりそうなのに、 なぜ having said になるのだろうか。

この記事では、 having + 過去分詞 を、 「動名詞の中で、さらに前の出来事を表す形」 として整理する。

ポイントは、 文全体の時制 と、 動名詞の中の出来事の時 を分けて見ることである。

動名詞は、文の中で名詞のように働く

まず、 普通の動名詞を確認しよう。

I enjoyed playing soccer.
私はサッカーをすることを楽しみました。

playing soccer は、 enjoy の目的語として働いている。 つまり、 「何を楽しんだのか」 にあたる部分である。

She is good at singing.
彼女は歌うことが得意です。

この文では、 前置詞 at の後ろに singing が置かれている。 前置詞の後ろには名詞が続くので、 動詞をそのまま置くのではなく、 動名詞にしている。

動名詞は、 動詞らしい意味を残しながら、 文の中では名詞のように働く。

playing tennis
→ テニスをすること

singing songs
→ 歌を歌うこと

opening the window
→ 窓を開けること

ここまでは、 中学英文法でも学んできた動名詞の基本である。

ただし、 高校英文法では、 動名詞の中にも 時のずれ を表す形が出てくる。

たとえば、 次の文を見てみよう。

I regret saying that.
私はそれを言うことを後悔しています。

この文でも、 文脈によっては 「それを言ったことを後悔している」 という意味で使われることがある。 しかし、 言ったことが、後悔している時点より前にある ことをはっきり示したい場合、 次のような形を使う。

I regret having said that.

この having said が、 動名詞の完了形である。

having + 過去分詞は、述語動詞より前のことを表す

動名詞の完了形は、 次の形で作る。

having + 過去分詞

例を見てみよう。

I regret having said that.
私はそれを言ってしまったことを後悔しています。

文全体の述語動詞は regret である。 つまり、 「今、後悔している」 という文である。

その後悔の対象になっているのが、 having said that である。 これは、 「それを言ってしまったこと」 を表す。

時間の順序としては、 先に said that があり、 そのあとに regret がある。

それを言った

今、そのことを後悔している

このように、 動名詞の中の出来事が、 文全体の述語動詞より前にあるとき、 having + 過去分詞 で表すことができる。

saying that
→ それを言うこと

having said that
→ それを言ったこと

ただし、 ここで注意したいのは、 普通の動名詞が絶対に過去を表せない、 ということではない。

実際の英語では、 文脈によって I regret saying that. でも、 「言ったことを後悔している」 と読めることがある。

しかし、 having said を使うと、 「その行為はすでに起きていて、 それを今ふり返っている」 という関係がよりはっきりする。

つまり、 having + 過去分詞 は、 動名詞の中で 一つ前の時点 を示すための形なのである。

regret / remember / deny などの後ろで使われる

動名詞の完了形は、 特に、 何かを思い出す、 後悔する、 認める、 否定する、 ほこりに思う、 というような意味の表現と相性がよい。

He denied having broken the window.
彼は窓を割ったことを否定しました。

この文では、 denied が文全体の述語動詞である。 彼が否定した内容は、 having broken the window である。

窓を割ったかどうかという出来事は、 否定した時点より前にある。 そのため、 having broken という形で、 先に起きた可能性のある出来事を表している。

She remembered having met him before.
彼女は以前彼に会ったことを思い出しました。

この文でも、 先に 「彼に会った」 という出来事があり、 そのあとで 「思い出した」 という流れになっている。

I am proud of having won the prize.
私はその賞を取ったことを誇りに思っています。

of は前置詞なので、 後ろには名詞の働きをする語句が続く。 そこで、 having won the prize という動名詞のまとまりが置かれている。

このように、 動名詞の完了形は、 動詞の目的語になるだけでなく、 前置詞の後ろにも置くことができる。

regret having done
→ してしまったことを後悔する

deny having done
→ したことを否定する

remember having done
→ したことを覚えている、思い出す

be proud of having done
→ したことを誇りに思う

見た目は少し長くなるが、 考え方はそれほど複雑ではない。

まず、 動名詞なので、 文の中では名詞のように働く。 そのうえで、 having + 過去分詞 になっているため、 文全体の述語動詞より前のことを表している。

つまり、 動名詞の完了形は、 名詞の働き時のずれ を同時に持っている形だと考えるとよい。

不定詞の完了形と同じように、基準点より前を見る

ここまで見ると、 動名詞の完了形は、 前に学んだ 不定詞の完了形 とよく似ていることが分かる。

I am sorry to have kept you waiting.
お待たせしてしまってすみません。

この文では、 to have kept が、 述語動詞 am sorry より前に起きたことを表している。

動名詞の場合は、 同じような時のずれを、 having + 過去分詞 で表す。

I regret having kept you waiting.
お待たせしてしまったことを後悔しています。

どちらも、 文全体の述語動詞より前の出来事を表している。

to have + 過去分詞
→ 不定詞の完了形

having + 過去分詞
→ 動名詞の完了形

違うのは、 そのまとまりが文の中でどのように働いているかである。

不定詞は、 名詞・形容詞・副詞のように働くことがある。 一方、 動名詞は、 基本的に名詞のように働く。

I am sorry to have said that.
→ sorry の理由を表す不定詞

I regret having said that.
→ regret の目的語になる動名詞

どちらも 「言ってしまった」 という過去の出来事を表しているが、 文の中での働きが違う。

高校英文法では、 このように、 形だけを丸暗記するのではなく、 そのまとまりが何として働いているのか と、 どの時点を基準にしているのか を同時に見る必要がある。

having said that は、 「それを言ったこと」 という名詞のまとまりである。 そして、 その出来事は、 文全体の述語動詞より前にある。

つまり、 動名詞の完了形は、 動名詞の働き完了形の時間感覚 が重なった形なのである。

学習塾Study+から

学習塾Study+では、動名詞を「-ing形」とだけ覚えるのではなく、 文の中で何を名詞として扱っているのかを確認しながら整理します。 being treated のような形も、動名詞と受け身を組み合わせたものとして見ると、 形の理由が分かりやすくなります。

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