前回は、 to have + 過去分詞 を使って、 述語動詞より前のことを表す不定詞を見た。
I am sorry to have kept you waiting.
あなたを待たせてしまってすみません。
今回は、 不定詞のもう一つの発展として、 不定詞の受動態 を整理する。
I want this report to be finished by tomorrow.
私はこのレポートが明日までに終えられることを望んでいます。
→ このレポートを明日までに終えてほしい。
この文では、 to finish ではなく、 to be finished という形が使われている。
なぜなら、 this report は「終える側」ではなく、 終えられる側 だからである。
中学英語で受け身を学んだとき、 be動詞 + 過去分詞 で「〜される」を表すと学んだ。 高校英文法では、 その受け身の考え方が、 不定詞の中にも入り込んでくる。
今回は、 to be + 過去分詞 の形を、 「不定詞の中で受け身を作る形」 として整理しよう。
to finish と to be finished は、する側とされる側が違う
まず、 普通の不定詞から確認しよう。
I want Ken to finish this report.
私は健にこのレポートを終えてほしい。
この文では、 to finish this report の動作をするのは、 Ken である。
Ken finishes this report.
健がこのレポートを終える。
だから、 I want Ken to finish this report. では、 Ken の後ろに to finish が続く。
一方、 次の文ではどうだろうか。
I want this report to be finished by tomorrow.
このレポートを明日までに終えてほしい。
ここで中心になっているのは、 Ken のような「する人」ではない。 this report という「終えられるもの」である。
レポートは、 自分で自分を終えるわけではない。 誰かによって終えられるものである。 そのため、 不定詞の中も受け身にして、 to be finished と表す。
Ken finishes this report.
→ 健がこのレポートを終える
This report is finished by Ken.
→ このレポートが健によって終えられる
I want this report to be finished by tomorrow.
→ このレポートが明日までに終えられることを望む
つまり、 to finish は「終える」側を中心に置く形で、 to be finished は「終えられる」側を中心に置く形である。
不定詞の受動態は、to be + 過去分詞で作る
不定詞の受動態の形は、 次のように考えると分かりやすい。
受け身:be動詞 + 過去分詞
不定詞:to + 動詞の原形
不定詞の受動態:to be + 過去分詞
ここで大切なのは、 to の後ろには動詞の原形が来るということである。
受け身だからといって、 to is finished や to was finished とはしない。 to の後ろでは、 be という原形を使う。
to finish
→ 終える
to be finished
→ 終えられる
to use
→ 使う
to be used
→ 使われる
to invite
→ 招待する
to be invited
→ 招待される
たとえば、 次の文を見てみよう。
This room needs to be cleaned.
この部屋は掃除される必要があります。
→ この部屋は掃除する必要があります。
this room は掃除する側ではなく、 掃除される側である。 そのため、 to clean ではなく、 to be cleaned になる。
These rules are important to be understood.
これらの規則は理解されることが重要です。
このように、 不定詞の中でも、 動作を受けるものを中心に置きたいとき、 to be + 過去分詞 が使われる。
ただし、 実際の英語では、 形容詞との組み合わせによって、 This book is easy to read. のように、 受け身の意味でも to read の形になることがある。 ここではまず、 基本形として to be + 過去分詞 を押さえておけばよい。
by ... は、する人を言いたいときだけ加える
受け身では、 動作をする人を表すときに by ... を使うことがある。
This picture was painted by my sister.
この絵は私の姉によって描かれました。
不定詞の受動態でも、 必要なら by ... を加えることができる。
I want this report to be finished by Ken.
私はこのレポートが健によって終えられることを望んでいます。
ただし、 by ... は必ず必要なわけではない。
I want this report to be finished by tomorrow.
このレポートを明日までに終えてほしい。
この文では、 誰が終えるかよりも、 レポートが明日までに終わっていること が大切である。 そのため、 する人をわざわざ言わなくても文は成り立つ。
The work has to be done today.
その仕事は今日中に終えられなければなりません。
The window needs to be repaired.
その窓は修理される必要があります。
This information should not be shared.
この情報は共有されるべきではありません。
これらの文でも、 誰がその仕事をするのか、 誰が窓を修理するのか、 誰が情報を共有するのかは、 文の中心ではない。
受け身は、 する人を隠す形 ではなく、 される側を主語として見せる形 である。 不定詞の受動態でも、 この考え方は同じである。
不定詞の形も、時制・受け身・意味の中心で変わる
不定詞というと、 最初は to + 動詞の原形 と覚える。 それはもちろん基本である。
I want to read this book.
私はこの本を読みたい。
しかし、高校英文法では、 不定詞の中にも、 時間の前後関係や受け身の関係が入ってくる。
to read
→ 読む
to have read
→ すでに読んだことを表す
to be read
→ 読まれることを表す
前回の to have + 過去分詞 は、 述語動詞より前のことを表した。
She seems to have read this book.
彼女はこの本を読んだことがあるようだ。
今回の to be + 過去分詞 は、 不定詞の中で受け身を表す。
This book seems to be read by many students.
この本は多くの生徒に読まれているようだ。
どちらも、 ただ長い形として暗記するのではなく、 何を中心に見ているのか を考えると整理しやすい。
to finish
→ 終える側を中心に見る
to be finished
→ 終えられる側を中心に見る
to have finished
→ 述語動詞より前に終えたことを表す
不定詞は、 「to がついた動詞」だけではない。 文の中で、 名詞・形容詞・副詞のように働きながら、 その中に時間や受け身の関係を含むことがある。
そのため、 高校英文法では、 不定詞の形を見て、何が起きているのかを読む ことが大切になる。
to be finished は、 「不定詞の中に受け身が入った形」である。 する側ではなく、 される側を中心にしたいから、 to be + 過去分詞 になるのである。