中学英文法では、 I wish + 仮定法として、 今の現実とは違う願いを学ぶ。
I wish I could speak English well.
英語を上手に話せたらいいのに。
この文では、 今は英語を上手に話せないという現実を前提に、 そうできたらいいのに、という願いを表している。
高校英文法では、 さらに過去のことについて 「あのとき〜していたらよかったのに」 と言う形も扱う。
I wish I had studied harder.
もっと一生懸命勉強していればよかったのに。
この had studied は、 過去完了の形を使っている。 ただし、 普通の過去完了というより、 過去の事実とは違う願いを表す仮定法の形である。
今回は、 I wish + 仮定法過去完了を、 I wish + 仮定法過去と比べながら整理しよう。
I wish + 過去形は、今の現実と違う願いを表す
まず、 I wish + 過去形の基本を確認しよう。
I wish I were taller.
もっと背が高ければいいのに。
この文では、 今の私は背が高くない、または十分に高くない。 その現実と違うことを願っている。
I wish I could play the piano.
ピアノを弾けたらいいのに。
この場合も、 今はピアノを弾けないという現実を前提にしている。
ここで使われる過去形は、 時間としての過去ではなく、 現実から離れた内容を表すための過去形である。
この見方は、 If I were you, ... や as if he knew ... と同じである。
I wish + had + 過去分詞は、過去の事実と違う願いを表す
次に、 I wish + had + 過去分詞を見よう。
I wish I had studied harder.
もっと一生懸命勉強していればよかったのに。
この文では、 過去に十分勉強しなかったという事実がある。 その事実と違うことを、 今になって願っている。
つまり、 I wish I studied harder. ではない。 過去の事実と違う内容を表すために、 一段前にずらした形で had studied を使う。
I wish I had bought that book.
あの本を買っておけばよかったのに。
I wish I had listened to your advice.
あなたの助言を聞いておけばよかったのに。
どちらも、 実際には買わなかった、 実際には助言を聞かなかった、 という過去の事実と違う願いを表している。
I hope とは違い、現実と違う気持ちを表す
I wish と混同しやすい表現に、 I hope がある。
I hope he will come tomorrow.
彼が明日来るといいな。
hope は、 これから実現する可能性があることを願うときに使う。 彼が来る可能性はまだ残っている。
一方、 wish は、 現実とは違う内容や、 実現しなかった過去への残念な気持ちを表しやすい。
I wish he were here now.
彼が今ここにいればいいのに。
I wish he had come yesterday.
彼が昨日来ていればよかったのに。
前者は、 今ここにいない現実と違う願いである。 後者は、 昨日来なかった過去の事実と違う願いである。
このように、 I wish の後ろでは、 今の現実と違うなら過去形、 過去の事実と違うなら had + 過去分詞、 という見方をする。
後悔の文として、時制のずれを読む
I wish I had done ... は、 後悔を表す文としてよく使われる。
I wish I had practiced more.
もっと練習しておけばよかったのに。
I wish I had not said that.
あんなことを言わなければよかったのに。
否定にするときは、 had not + 過去分詞にする。 実際には言ってしまった。 その過去を変えたい気持ちを表している。
この形は、 仮定法過去完了と同じ発想でできている。
If I had studied harder, I would have passed the exam.
もっと勉強していたら、試験に合格していたでしょう。
if を使えば条件と結果を述べる。 I wish を使えば、 その過去についての願いや後悔を述べる。
どちらも、 過去の事実と違う内容を表すために、 had + 過去分詞を使う。 時制を一段前にずらすことで、 現実との距離を示しているのである。
I wish + 仮定法過去完了は、 日本語では「〜しておけばよかった」 と訳されることが多い。 ただし、 いつでもその訳に固定する必要はない。
I wish I had told her the truth.
彼女に本当のことを言っておけばよかった。
この文では、 実際には本当のことを言わなかった。 その過去を振り返り、 違う行動をしていたらよかったのに、 という気持ちを表している。
I wish I had not wasted so much time.
そんなに多くの時間を無駄にしなければよかった。
否定形では、 had not + 過去分詞を使う。 実際には時間を無駄にしてしまった。 そのことを後悔している文である。
似た意味は、 should have + 過去分詞でも表せる。
I should have studied harder.
もっと一生懸命勉強するべきだった。
should have studied は、 「するべきだったのにしなかった」 という判断を表す。 I wish I had studied harder は、 その過去についての願い・後悔を表す。
どちらも後悔に関わるが、 助動詞を使うのか、 wish を使うのかで文の中心が変わる。
英文を読むときは、 I wish の後ろに何形が来ているかを見る。 過去形なら今の現実と違う願い、 had + 過去分詞なら過去の事実と違う願い。 この区別を押さえると、 I wish の文はかなり読みやすくなる。