ポケモンの技「わるだくみ」は、英語では Nasty Plot と呼ばれる。
メインシリーズでは、多くのポケモンが覚えることのできる変化技である。
わるだくみ → Nasty Plot
nasty は「ひどい、不快な、意地の悪い」などを表す形容詞。
plot は、日本語でも「映画のプロット」のように使われるので、 「物語の筋」を思い浮かべる人が多いかもしれない。
しかし、plot にはもう一つ重要な意味がある。
plot
→ よくないことをするための秘密の計画、たくらみ
つまり Nasty Plot は、 「嫌な筋書き」というより、 よからぬたくらみの方向で読むと分かりやすい。
今回は「わるだくみ」と Nasty Plot を入口に、 plot の多義性と、nasty の一般英語での使い方を見ていきたい。
日本語と英語で、かなり近いイメージを保った名前になっているように見える。
ただし、ここで plot を「物語の筋」とだけ覚えていると、 Nasty Plot の意味が少し分かりにくい。
ゲームでは特攻を2段階上げる
「わるだくみ」はダークライ専用ではなく、 わざマシンなどを通じて多くのポケモンが覚えることのできる変化技である。 ゲームの使用例でも、 ヘルガーや フーパなど、 ダークライ以外のポケモンが使う技として紹介されている。
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、 わざマシン「わるだくみ」は 「自分の特攻をぐーんと上げる」技 と説明している。
この「ぐーんと上げる」は能力ランクを2段階上げることを表す。 メインシリーズでは、Nasty Plot が 特攻を2段階上げる と明記されている。
メインシリーズの「わるだくみ」
→ 自分の特攻を2段階上げる変化技
一方、『Pokémon UNITE』のNasty Plotは、移動や追加ダメージに関わる別の効果を持つ。 作品ごとに技の効果が異なるため、メインシリーズの効果とは分けて考えたい。
plot は「物語の筋」だけではない
plot には、複数の意味がある。
まず、日本語でも比較的なじみがあるのが、 「物語の筋」という意味である。
the plot of the movie
→ その映画の筋書き
小説や映画で「何が起こるのか」という流れを指す。
一方で、plot には、 秘密の計画、たくらみ という意味もある。
a secret plot
→ 秘密のたくらみ
特に、誰かに害を与えたり、 よくないことをしたりするための計画について使われることがある。
Nasty Plot の plot は、 この「たくらみ」の意味で読むのが自然である。
plot =「物語の筋」だけではない。
「秘密の計画、たくらみ」という意味もある。
同じ plot なのに、なぜ意味が違うのか
「物語の筋」と「たくらみ」は、 日本語ではかなり違う意味に見える。
しかし、どちらも 物事をどう進めるかという組み立て を表していると考えると、少しつながりが見える。
物語なら、出来事の組み立て。
たくらみなら、何かを実行するための計画。
英単語は、日本語訳を一つだけ覚えるより、 こうして複数の意味を並べて見ると、 一つの語がどのように広がっているかが見えやすい。
plot は動詞にもなる
plot は名詞だけではない。
動詞として、 「ひそかに計画する」「たくらむ」という意味でも使われる。
They plotted to steal the money.
→ 彼らはその金を盗もうとたくらんだ。
この plot は、 単なる「予定を立てる」というより、 秘密に、よくないことを計画するニュアンスを持ちやすい。
そのため、普通の予定なら plan の方が自然なことが多い。
We planned a trip.
→ 私たちは旅行を計画した。
旅行の予定を立てるだけなら、 plot より plan の方が自然である。
plan と plot は同じ「計画」ではない
plan も plot も、日本語では「計画」と訳せることがある。
しかし、ニュアンスはかなり違う。
plan
→ 一般的な計画、予定
plot
→ 秘密の計画、よからぬたくらみ
たとえば、
a plan for the weekend
→ 週末の予定
は普通の表現である。
しかし、
a plot against the king
→ 王に対する陰謀
のように、plot には 「表立っていない計画」という感じが出やすい。
Nasty Plot という技名に plot が使われているのも、 この意味を知るとかなり納得しやすい。
nasty は「汚い」だけではない
次に nasty を見てみよう。
nasty は、 「ひどい」「不快な」「意地の悪い」などを表す形容詞である。
a nasty smell
→ ひどく不快なにおい
a nasty surprise
→ 嫌な驚き
人について使えば、 「意地の悪い」「感じの悪い」という意味になることもある。
Don't be nasty to him.
→ 彼に意地悪しないで。
つまり nasty は、 一つの日本語だけで固定するより、 悪い、不快だ、感じがよくない という広いイメージで捉えると使いやすい。
Nasty Plot は固定表現なのか
Nasty Plot は、ポケモンでは技名として定着している。
ただし、一般英語で Nasty Plot という二語が一つの決まり文句として必ず使われる、 というわけではない。
nasty が plot を説明して、 「悪いたくらみ」「嫌な計画」 のような意味を作っていると考えるのがよい。
つまり、
nasty + plot
→ よからぬ + たくらみ
という普通の英語の組み合わせとして読める。
技名から一般英語へ広げる
Nasty Plot から覚えた plot は、 普段の英文でも使える。
The movie has a simple plot.
→ その映画は筋書きが単純です。
The police discovered a plot to rob the bank.
→ 警察は銀行強盗のたくらみを発見した。
同じ plot でも、 一つ目は「物語の筋」、 二つ目は「秘密の計画」である。
さらに動詞なら、
They plotted against him.
→ 彼らは彼に対して陰謀を企てた。
のように使える。
こうして見ると、 Nasty Plot という技名の中に、 一般英語としてかなり使い道のある単語が入っている。
日本語名と英語名はかなり近い
日本語名と英語名を比較して考える。
「わるだくみ」と Nasty Plot は、 今回のシリーズの中では比較的、 日本語と英語のイメージが近い例である。
日本語の「わるだくみ」は、 悪いことをひそかに計画する感じを持つ。
英語の plot にも、 秘密の計画、よからぬたくらみという意味がある。
そこに nasty を加えることで、 「悪そうな」「嫌な」計画であることがさらに強くなる。
二つの名前は、悪意のある計画という同じイメージを異なる言葉で表している。
まとめ
ポケモンの技「わるだくみ」は、 英語では Nasty Plot と呼ばれる。
「わるだくみ」は、メインシリーズで多くのポケモンが覚えることのできる変化技である。 効果は、自分の特攻を2段階上げること。
nasty
→ ひどい、不快な、意地の悪い
plot
→ 物語の筋
→ 秘密の計画、たくらみ
Nasty Plot の plot は、 「映画のプロット」という意味ではなく、 「よからぬたくらみ」の意味で読むと分かりやすい。
plot は名詞だけでなく、 「ひそかに計画する」という動詞にもなる。
ポケモンの技名を入口にすると、 日本語では一つの訳語に見える単語でも、 実際には複数の意味や使い方を持っていることに気づける。
ゲームの中の英語を、 そのまま一般英語へ広げていく。
それだけでも、英単語の見え方はかなり変わってくる。