英語の不規則動詞の中でも、かなり不思議なのが go である。
go - went - gone
現在形は go。
過去分詞は gone。
ここまでは、まだ何となくつながりが見える。
しかし、過去形だけは went である。
形だけを見ると、go と went はまったく似ていない。
なぜ go の過去形は goed でも、go に似た形でもなく、went なのだろうか。
went はもともと go の過去形ではなかった
結論から言うと、went はもともと go の過去形ではなかった。
went は、もともとは wend という別の動詞の過去形だった。
wend - went
wend は、「進む」「向かう」「道をたどる」といった意味を持つ動詞である。
現代英語ではあまり頻繁には使われないが、
wend one's way
のような表現に残っている。
つまり、went は最初から go の過去形として生まれたわけではない。
もともとは、go とは別の動詞 wend の過去形だったのである。
go が went を取り込んだ
では、なぜ wend の過去形だった went が、go の過去形になったのだろうか。
かなり大ざっぱに言えば、go が過去形として went を取り込んだからである。
go には、古い時代には別の過去形があった。
しかし、その古い形はしだいに使われなくなり、 意味の近い wend の過去形 went が、go の過去形として使われるようになった。
その結果、現代英語では、
go - went - gone
という、一見すると不自然な活用が残っている。
went は、go から規則的に作られた過去形ではない。
別の動詞から来た形が、go の活用の中に入り込んだのである。
こういう現象を補充法という
このように、ある語の活用の中に、別の語に由来する形が入り込むことがある。
言語学では、このような現象を 補充法 と呼ぶ。
英語では suppletion という。
難しそうな名前だが、考え方はシンプルである。
ひとつの語の変化の中に、別の語から来た形が混ざる。
go の場合、
現在形:go
過去形:went
で、過去形の went が別の動詞 wend に由来している。
だから、go - went は補充法の代表的な例としてよく取り上げられる。
ただし、補充法という概念そのものについては、この記事では深入りしない。
ここではまず、
went は go から直接作られた形ではなく、別の動詞 wend から来た
と押さえれば十分である。
なぜ基本語ほど不規則なのか
go のような基本的な動詞ほど、不規則な形を持っていることが多い。
これは英語に限った話ではない。
とてもよく使われる語は、古い形を残しやすい。
逆に、あまり使われない語は、規則的な形にそろえられやすいことがある。
go は、日常的に非常によく使われる動詞である。
だからこそ、歴史の中で別の語の形を取り込みながらも、その不規則な形が定着して残ったと考えることができる。
学習者にとっては覚えるのが大変だが、英語の歴史として見ると、go - went はかなり面白い形である。
まとめ
go の過去形が went なのは、went が go から規則的に作られた形だからではない。
went は、もともと wend という別の動詞の過去形だった。
wend - went
その went が、go の過去形として使われるようになった。
その結果、現代英語では、
go - went - gone
という活用になっている。
このように、別の語に由来する形が活用の中に入り込む現象を、補充法という。
ただし、この記事で一番大事なのは、用語そのものではない。
大切なのは、
went は、もともと go の過去形ではなかった
ということである。
英語の不規則変化は、ただの丸暗記に見える。
しかし、その背後には、別の語が入り込んだり、古い形が残ったりする歴史がある。
go - went は、そのことをよく見せてくれる例である。