英語の比較級・最上級には、不規則なものがいくつかある。
good → better → best
bad → worse → worst
many / much → more → most
そして、もう1つよく出てくるのが little である。
学校英語では、よく次のように習う。
little → less → least
しかし、よく見るとかなり不思議である。
little に -er / -est をつけるなら、
little → littler → littlest
になりそうである。
では、なぜ little の比較級・最上級は、 less / least になるのだろうか。
まず little には2つの方向がある
little を考えるときに大事なのは、この語に大きく2つの方向があるということである。
小さい
少ない
たとえば、
a little dog
と言えば、「小さい犬」である。
これは、サイズが小さいという意味である。
一方で、
little money
little time
と言えば、「お金が少ない」「時間が少ない」という意味になる。
こちらは、サイズというより量の少なさである。
つまり little には、
物理的に小さい
量が少ない
という2つの方向がある。
この違いを見ないまま、
little の比較級は less
とだけ覚えると、少し分かりにくくなる。
「小さい」なら littler / littlest もありうる
実は、little の比較級・最上級として、 littler / littlest という形がまったく存在しないわけではない。
とくに、物理的なサイズや年齢の小ささを比べる場合には、 littler / littlest が使われることがある。
a little dog
a littler dog
the littlest dog
のような形である。
日本語で言えば、
小さい犬
もっと小さい犬
いちばん小さい犬
に近い。
つまり、little が「小さい」という意味で使われるときには、 littler / littlest という規則的な形も考えられる。
ただし、学校英語でよく問題になるのは、こちらよりも「少ない」という意味の little である。
「少ない」なら less / least を使う
little が「量が少ない」という意味で使われるとき、比較級・最上級はふつう less / least になる。
I have little time.
I have less time than you.
I have the least time.
この場合、比べているのは「時間の小ささ」ではなく「時間の量の少なさ」である。
同じように、
little money
less money
the least money
と言う。
このとき、
littler money
littlest money
とは普通は言わない。
つまり、
サイズが小さい → littler / littlest もありうる
量が少ない → less / least
と整理すると分かりやすい。
less / least は little に -er / -est をつけた形ではない
ここで、形の問題に戻る。
less / least は、現代英語の little に -er / -est をつけた形ではない。
もし little に規則的に比較級・最上級をつけるなら、
little + er → littler
little + est → littlest
になる。
しかし、「少ない」という意味では、
little → less → least
という形を使う。
less / least の中には、little という形がそのまま残っていない。
つまり、less / least は、現代英語の little から機械的に作られた形ではない。
ここにも、古い比較形が関係している。
less / least には古い「小さい・少ない」の語根が残る
less / least の背景には、古い英語の形がある。
less は、古い英語の lǣssa のような形につながる。
また least は、古い英語の lǣst のような形につながる。
これらは、「より小さい」「より少ない」「もっとも小さい」「もっとも少ない」といった意味に関わる古い比較形である。
つまり、less / least は、
little に -er / -est をつけた形
というより、
小さい・少ないという意味に関わる古い比較形
が現代英語に残ったものと見るとよい。
現代英語では、それが little の「少ない」という意味の比較級・最上級として使われている。
これも補充法として整理できる
ここで関係するのが、これまで見てきた 補充法 である。
補充法とは、ある語の活用に、別系統の形が入り込むような現象である。
go → went
good → better → best
bad → worse → worst
many / much → more → most
これらは、どれも現代英語の原級から規則的に作られた形ではない。
little / less / least も、同じ方向で見ることができる。
little → littler → littlest
という規則的な形だけでなく、
little → less → least
という別系統の古い比較形を含むセットがある。
特に「量が少ない」という意味では、less / least が標準的に使われる。
その意味で、little / less / least は、補充法の例として整理できる。
less は「より少ない」だけでなく比較表現を作る
more が「より多い」だけでなく、比較級を作る語として広がったように、 less も比較表現を作る語として使われる。
less important
less difficult
less interesting
これは、
重要さがより少ない
難しさがより少ない
おもしろさがより少ない
という方向の比較である。
つまり less は、単に little の比較級というだけでなく、 「程度がより低い」という比較を作る語としても機能している。
同じように、least も最上級表現を作る。
the least important
the least difficult
the least interesting
これは、
もっとも重要でない
もっとも難しくない
もっともおもしろくない
という意味である。
little / less / least の関係は、数量だけでなく、程度の比較にもつながっている。
less と fewer の違いは別問題
ここで、ついでに less と fewer の違いも気になるかもしれない。
一般的な説明では、
less:数えられない量
fewer:数えられる数
と整理される。
less water
fewer books
のような使い分けである。
ただし、この less / fewer の使い分けは、それだけで1つの記事にできるテーマである。
この記事では深入りしない。
ここではまず、
little の「少ない」という意味では less / least が使われる
という点を押さえておけばよい。
英語学習では意味の違いで整理するとよい
英語学習としては、little の比較級・最上級を次のように整理すると分かりやすい。
小さい:little → littler → littlest
少ない:little → less → least
もちろん、学校英語では、
little → less → least
と覚える場面が多い。
これは、little を「少ない」という意味で扱っているからである。
しかし、little には「小さい」という意味もある。
その場合には、littler / littlest という形もありうる。
だから、
little の比較級は常に less だけ
と雑に覚えるより、
量・程度の少なさなら less / least
と考えた方が、実際の英語に近い。
まとめ
little の比較級・最上級として、学校英語ではよく、
little → less → least
と習う。
しかし、little には「小さい」と「少ない」という2つの方向がある。
物理的なサイズの小ささを比べる場合には、
little → littler → littlest
という形もありうる。
一方で、量や程度の少なさを比べる場合には、
little → less → least
を使う。
less / least は、現代英語の little に単純に -er / -est をつけた形ではない。
古い「小さい・少ない」に関わる比較形が、little の比較級・最上級として残ったものと見ると分かりやすい。
その意味で、little / less / least も補充法の例として整理できる。
英語の不規則変化は、ただの丸暗記で終わらせることもできる。
しかし、形の背景を見ると、 そこには古い語形と、意味の分かれ道が残っている。
less / least は、そのことをよく見せてくれる形である。