塾長ノート

サラリーマンは英語で company employee / salaryman

会社員という立場と、日本的な人物像を分けて見る

日本語では、

父はサラリーマンです。
サラリーマンとして働く。
朝の電車には多くのサラリーマンが乗っている。

のように、「サラリーマン」という言葉を自然に使う。

salary と man を組み合わせた語なので、 英語でもそのまま salaryman と言えそうに見える。

実際、salaryman は英語でも使われる語である。

ただし、英語の salaryman は、 一般的な「会社員」の基本語として使われるというより、 日本の男性会社員や、日本的な会社員像を表す語として使われやすい。

一般的に「会社員です」と言いたいなら、

work for a company
company employee

を使う方が分かりやすい。

今回は、「会社員」「オフィスで働く人」「日本的なサラリーマン像」が、 英語ではどのように分かれて表されるのかを見ていきたい。

一般的な「会社員」は work for a company が使いやすい

日本語の「会社員」を英語で説明するとき、 会話で最も使いやすいのは、

work for a company
会社で働く

という形である。

My father works for a company.
私の父は会社員です。
I work for a software company.
私はソフトウェア会社で働いています。
She works for a trading company.
彼女は商社で働いています。

日本語では職業名として「会社員」と言えるが、 英語では「どのような会社で働いているか」を動詞で説明する方が自然な場面が多い。

名詞として表したいなら、

company employee
会社の従業員・会社員

と言うこともできる。

He is a company employee.
彼は会社員です。

ただし、自己紹介では、

I work for a company.

のように動詞で言う方が、会話では使いやすいことが多い。

office worker は「会社員」とは限らない

office worker も、 日本語の「サラリーマン」の訳として紹介されることがある。

しかし、office worker は、 厳密には「会社員」を表す語ではない。

office worker
オフィスで働く人・事務系の仕事をする人

office worker が表しているのは、 その人がどこに雇われているかではなく、 オフィスで仕事をしている という働き方である。

そのため、

民間企業の事務職員
市役所の事務職員
団体や組織の事務職員

などは、いずれも仕事内容によっては office worker と言える。

たとえば、市役所で事務仕事をしている人は、 公務員であると同時に、仕事内容としては office worker と言える。

一方、教師、警察官、消防士などは、 公務員であっても、通常は office worker とは言わない。

つまり、

company employee:会社に雇われている人
office worker:オフィスで働く人

という違いである。

日本語の「サラリーマン」を「民間企業に勤める会社員」という意味で使っているなら、 office worker だけでは少し意味が広すぎることがある。

公務員なら government employee / civil servant

日本語の「サラリーマン」は、 広い意味では給料を受け取って働く人を指すこともある。

ただし、誰かが自分の職業として、

私は公務員です。

と言いたいなら、 英語では、

government employee
civil servant

などを使う方が明確である。

My mother is a government employee.
私の母は公務員です。
He works as a civil servant.
彼は公務員として働いています。

公務員のうち、役所で事務をしている人なら、 office worker と表現できる場面もある。

しかし、office worker だけでは、 その人が公務員なのか会社員なのかまでは分からない。

office worker:仕事内容に注目する
company employee:民間企業に勤める立場に注目する
government employee / civil servant:公務員という立場に注目する

salaryman は英語にも入っている

「サラリーマン」は、英語由来の要素から日本語で定着した語である。

そして現在では、英語にも、

salaryman

という語が入っている。

ただし、英語の salaryman は、 どの国の会社員にも普通に使う一般語というより、 日本社会の中で働く男性会社員を表す語として使われやすい。

Japanese salarymen on the train
電車に乗っている日本のサラリーマンたち
The film shows the life of a Japanese salaryman.
その映画は日本のサラリーマンの生活を描いている。

このように、日本の働き方や企業文化を話題にするときには、 英語でも salaryman を使うことができる。

一方で、単に、

私は会社員です。

と伝えたいだけなら、

I work for a company.

の方が余計な文化的イメージを含まず、使いやすい。

日本語の「サラリーマン」は人物像まで含みやすい

日本語の「サラリーマン」は、 単に会社から給料を受け取っている人というだけではなく、 ある人物像を連想させることがある。

スーツを着て会社へ通勤する
組織の中で働く
毎月の給料で生活する
仕事中心の生活を送る

もちろん、実際の会社員がすべてこのような姿をしているわけではない。

しかし、「サラリーマン」という語には、 日本社会の中で形づくられてきた会社員像が重なりやすい。

また、語の中に man が含まれているため、 伝統的には男性会社員のイメージも強く持っていた。

英語の salaryman も、 このような日本的な意味合いを伴った語として使われる。

つまり、salaryman は、 単なる「会社員」の翻訳語というより、 日本の働き方や社会像まで含みうる言葉なのである。

日本語から英語へ戻った言葉

「サラリーマン」の面白さは、 英語由来の要素が日本語に入って終わりではないところにある。

salary と man という英語由来の要素が、 日本語の中で「サラリーマン」という語として定着した。

そして、その語が、 日本社会に特有の会社員像を表す言葉として、 英語側にも salaryman として取り込まれている。

英語由来の要素

日本語の「サラリーマン」として定着

日本的な会社員像を表す salaryman として英語にも入る

外来語は、一方向に借りられるだけではない。

借りた言語の中で新しい意味を持ち、 文化的な内容を帯びたあと、 再び別の言語へ入っていくこともある。

「サラリーマン」は、 言葉が文化と一緒に移動することがよく見える例である。

英作文・英会話での注意

英作文や英会話では、次のような日本語で迷いやすい。

私の父は会社員です。

一般的には、

My father works for a company.

と言うのが使いやすい。

また、

彼女は会社で事務の仕事をしています。

なら、

She is an office worker at a company.

と言える。

さらに、

私の母は市役所で働く公務員です。

なら、

My mother is a government employee working at city hall.

のように言える。

一方、

日本のサラリーマンの働き方について調べています。

のように、日本的な会社員文化を話題にするなら、

I am studying the working lives of Japanese salarymen.

のように salarymen を使うことができる。

よく使う形で覚える

「サラリーマン」まわりの英語は、 次のように整理しておくと使いやすい。

work for a company
会社で働く・会社員である
company employee
会社の従業員・会社員
office worker
オフィスで働く人
government employee / civil servant
公務員
salaryman
日本的な男性会社員像を表す語

日本語の「サラリーマン」を英語にするときは、 単に一語へ置き換えるのではなく、

会社に勤めていることを言いたいのか
オフィスで働いていることを言いたいのか
公務員であることを言いたいのか
日本的なサラリーマン像を言いたいのか

を考えて表現を選びたい。

まとめ

日本語の「サラリーマン」は、 会社に勤めて給料を受け取る人を表す自然な言葉である。

一般的に「会社員です」と英語で言うなら、

work for a company
company employee

が使いやすい。

一方、

office worker

は、会社員か公務員かではなく、 オフィスで働く人であることに注目した語である。

また、

salaryman

は英語にも存在するが、 日本の男性会社員や、日本的な会社員文化を表す語として使われやすい。

「サラリーマン」は、 英語由来の要素が日本語の中で独自の人物像を表す語になり、 その文化的な意味を帯びたまま英語にも入っている言葉である。

外来語やカタカナ語を見るときは、 英語では何と言えば自然なのか を学ぶと同時に、 日本語の中でその語がどんな社会や人物像を表すようになったのか を見ることが大切である。

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