塾長ノート

リフォームは英語で renovation / remodeling

外来語は、借りられた言語の中で意味を変える

日本語では、

家をリフォームする
キッチンをリフォームする
古い服をリフォームする

のように、「リフォーム」という言葉を自然に使う。

英語のような形をしているため、 英語でもそのまま reform と言えば通じそうに見える。

しかし、英語の reform は、 住宅の改装や衣服の仕立て直しを表す基本語ではない。

英語で reform と言えば、 制度・法律・組織などをよりよく変える、 つまり「改革する」「改正する」という意味で使われるのが基本である。

educational reform
教育改革
tax reform
税制改革

では、日本語の「リフォーム」は間違った英語なのだろうか。

そう考えて終わると、この言葉のおもしろさは見えなくなる。

日本語の「リフォーム」は、 外来語らしい形を持ちながら、 日本語の中で「手を入れて作り直すこと」を表す語として定着している。

ここには、外国語が日本語に取り込まれ、 日本語の生活や文化の中で新しい意味を持つようになる過程が表れている。

英語の reform は「改革する」

英語の reform は、 よくない状態にある制度や組織などを改めるときに使われる。

The government plans to reform the education system.
政府は教育制度を改革する予定だ。
We need tax reform.
税制改革が必要だ。

この reform が向いているのは、

教育制度
税制度
法律
行政
組織

のような、仕組みや制度を改善する場面である。

そのため、

I reformed my kitchen.

のように言っても、 日本語の「キッチンをリフォームした」という意味では自然に伝わりにくい。

住宅のリフォームなら renovate / renovation

住宅や部屋を修理・改装してよい状態にすることを英語で言うなら、 renovaterenovation が使いやすい。

renovate a house
家を改装する
renovate a kitchen
キッチンを改装する
home renovation
住宅の改装

たとえば、

We renovated our kitchen last year.
私たちは去年キッチンをリフォームした。
The apartment is under renovation.
その部屋は改装中です。

のように言える。

renovate / renovation は、 古くなった建物や部屋に手を入れ、 よりよい状態に整える場面で使いやすい語である。

間取りや形を変えるなら remodel も使う

住宅の「リフォーム」といっても、 内容はさまざまである。

壁紙を張り替える、水回りを新しくする、傷んだ部分を修理する、 という改装なら renovation が使いやすい。

一方で、間取りを変える、部屋の構造や使い方を作り変える、 という意味を強く出したいなら、 remodelremodeling が使われることもある。

remodel a kitchen
キッチンを作り変える
bathroom remodeling
浴室の改装・作り替え

かなり大まかに整理すると、

renovation:修理・改装してよい状態にする
remodeling:形や構造、使い方を作り変える

という違いが見えやすい。

日本語の「リフォーム」は広く使えるため、 英語では実際に何をしたのかによって語を選ぶ必要がある。

服のリフォームは alteration が使いやすい

日本語の「リフォーム」は、住宅だけでなく、 衣服の仕立て直しにも使われる。

古いスーツをリフォームする
ワンピースをリフォームする

この場合、英語では alterationalter が使いやすい。

alter a dress
ドレスを仕立て直す
clothing alterations
衣服の仕立て直し

つまり、日本語の「リフォーム」は、

家をリフォームする
服をリフォームする

の両方に使えるが、 英語では同じ一語で処理するとは限らない。

住宅のリフォーム → renovation / remodeling
服のリフォーム → alteration

ここに、日本語と英語の意味の切り分け方の違いが見える。

日本語の「リフォーム」は何をまとめているのか

日本語の「リフォーム」は、 住宅にも衣服にも使える。

その共通点は、

すでにあるものに手を入れ、使いやすく、きれいに、あるいは新しい形に整える

ということである。

日本語では、家も服も、 「すでにあるものを直し、作り変える」という視点でまとめられている。

一方、英語では、 制度を変える reform、 建物を改装する renovation / remodeling、 衣服を仕立て直す alteration のように、 対象や変更の種類によって語が分かれる。

日本語のリフォーム:作り直してよくすることを広くまとめる
英語:何をどう変えるのかで語を分ける

同じ現実を見ていても、 言語によって整理の仕方が異なるのである。

日本語では「リノベーション」とも分かれ始めている

現在の日本語では、

リフォーム
リノベーション

を使い分ける場面も増えている。

一般には、

リフォーム:古くなった部分を直す・新しくする
リノベーション:用途や機能まで含めて大きく作り変える

というイメージで区別されることがある。

ここでも面白いのは、 英語の renovation を取り入れた「リノベーション」が、 日本語の中で「リフォーム」と対比される別の語として育っていることである。

外来語は、一度借りられたら終わりではない。 日本語の中で別の外来語と関係を持ち、 さらに細かな分類を作っていくこともある。

「英語では通じない」だけでは見えないもの

英語学習としては、

家のリフォーム → renovation / remodeling
reform → 制度や組織の改革

と覚える必要がある。

しかし、日本語の「リフォーム」を、 「英語ではそう言わないから間違い」とだけ見る必要はない。

日本語は、外来語らしい形を用いながら、 家や服に手を入れて作り直すことを表す語として、 「リフォーム」を育ててきた。

その語があるからこそ、 日本語話者はさまざまな「作り直し」を一つの感覚で捉えられる。

外来語のズレは、単なる誤用ではなく、 日本語が世界をどう整理しているのかを見る手がかりになる。

英作文・英会話での注意

英作文や英会話では、次のような日本語で迷いやすい。

私たちは去年、台所をリフォームしました。

これは、

We renovated our kitchen last year.

と言える。

また、間取りや設備を大きく作り変えたことを強調するなら、

We remodeled our kitchen last year.

と言うこともできる。

一方で、

政府は教育制度を改革する必要があります。

なら、

The government needs to reform the education system.

のように reform を使う。

よく使う形で覚える

「リフォーム」まわりの英語は、次の形で整理しておくとよい。

reform the education system
教育制度を改革する
renovate a house
家を改装する
renovate a kitchen
キッチンを改装する
home renovation
住宅の改装
remodel a room
部屋を作り変える
alter a dress
ドレスを仕立て直す

日本語の「リフォーム」一語に対して、 英語では対象や内容に応じて言葉を選ぶ。

まとめ

日本語の「リフォーム」は、 家や服に手を入れて作り直すことを表す自然な外来語である。

しかし、英語の reform は、 主に制度や組織を「改革する」という意味で使われる。

日本語の「リフォーム」を英語で表すなら、

renovation / renovate:住宅などを改装する
remodeling / remodel:形や構造を作り変える
alteration / alter:衣服を仕立て直す

のように、文脈によって選ぶ必要がある。

ただし、「リフォーム」は間違った日本語なのではない。 外来語らしい形を取り込みながら、 日本語の中で「既存のものに手を入れてよくする」という意味を担う語として定着している。

和製英語やカタカナ語を見るときは、 英語では何と言うのか と同時に、 日本語がその語で何をまとめ、どんな意味を作ったのか を見ることが大切である。

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