日本語では、
子どものころからアニメが好きです。
最近、おもしろいアニメを見つけました。
このアニメは海外でも人気があります。
のように、「アニメ」という言葉を自然に使う。
日本語の「アニメ」は、 もともと animation をもとにした 「アニメーション」の短縮形である。
そのため、 英語では animation と言えばよく、 anime は使わないのではないかと思うかもしれない。
しかし、日本のアニメーション作品について述べる場合、 英語でも、
anime
を使う。
I like anime.
私はアニメが好きです。
She watches anime every weekend.
彼女は毎週末アニメを見ます。
「アニメ」は、 英語の animation が日本語に入り、 日本語の中で アニメ と短くなり、 日本のアニメーション文化と結びついたうえで、 anime という形で英語へ戻っていった語なのである。
英語でも anime を使う
英語の anime は、 基本的に日本のアニメーション作品を表す語として使われる。
anime
日本のアニメーション作品・日本のアニメ
たとえば、
My brother is a big fan of anime.
私の弟はアニメの大ファンです。
We watched an anime film last night.
私たちは昨夜、アニメ映画を見ました。
This anime series is popular around the world.
このアニメシリーズは世界中で人気があります。
のように使える。
「アニメが好きだ」と言いたいときは、
I like anime.
が使いやすい。
また、個別の作品や種類について述べるときは、
an anime series
アニメシリーズ
an anime film
アニメ映画
an anime character
アニメのキャラクター
のように、 anime を別の名詞の前に置いて使うことができる。
日本語の「アニメ」と英語の anime は完全には同じではない
日本語の「アニメ」は、 「アニメーション」の略として使われる言葉である。
そのため、日本語では、 日本で作られた作品だけでなく、 海外のアニメーション作品についても、 広く「アニメ」と呼ぶことがある。
日本語のアニメ:アニメーション作品を広く指しうる
英語の anime:基本的に日本のアニメーション作品を指す
英語では、 動く絵によって作られた映像作品全般を表す基本語は、
animation
である。
一方で、 日本のアニメーション作品について述べるときには、
anime
が使われる。
animation:アニメーションという映像表現全般
anime:日本のアニメーション作品
つまり、 日本語と英語では同じように「アニメ」という音を使っていても、 その語が分類する範囲は少し異なっている。
日本語では短くされた一般的な呼び名だったものが、 英語へ入ったときには、 日本の作品や表現文化を指す語として働くようになったのである。
anime は animation から日本語を経て英語へ戻った
anime の言葉の動きは、 これまで取り上げてきた語の中でも特に興味深い。
もともと、 英語には、
animation
という語がある。
その語が日本語に入ると、
animation
↓
アニメーション
となる。
さらに日本語の中で、 日常的に使いやすいように短くされ、
アニメーション
↓
アニメ
となった。
そして、日本のアニメーション作品が海外でも知られるようになると、 その「アニメ」という日本語が、
anime
という英語の語として使われるようになった。
animation
↓
アニメーション
↓
アニメ
↓
anime
これは、単に英語の単語が短くなって元に戻ったという話ではない。
animation が日本語に入り、 日本語の中で アニメ という形を得て、 日本で作られてきた作品群や表現文化と結びついた。
そのうえで、 英語の anime は、 もとの animation とは少し異なる意味を持つ語として 英語の中へ入っている。
言葉は、別の言語へ移るとき、 音だけを借りて戻ってくるのではない。
その言葉が通ってきた文化や、 その中で生まれた新しい意味を背負って、 以前とは違う語として戻ってくることがあるのである。
animation と anime をどう使い分けるか
英語でアニメーション作品について話すときは、 animation と anime の違いを押さえておくとよい。
animation は、 映像表現としてのアニメーション全般を表す。
Animation can express things that live-action films cannot.
アニメーションは、実写映画では表せないものを表現できます。
また、作品の制作技術について述べる場合にも使いやすい。
The animation in this film is beautiful.
この映画のアニメーションは美しいです。
一方、anime は、 日本のアニメ作品や、 日本のアニメ文化について話すときに使われる。
I started watching anime when I was in junior high school.
私は中学生のときにアニメを見るようになりました。
Anime has fans all over the world.
アニメには世界中にファンがいます。
整理すると、
animation:映像表現・技術・作品全般を述べる語
anime:日本のアニメ作品や文化を述べる語
となる。
日本語の「アニメ」は非常に広く使えるが、 英語では、 何について話しているのかによって、 animation と anime を選び分ける必要がある。
cartoon と anime は同じではない
アニメーション作品を表す英語として、
cartoon
を思い浮かべる人もいるかもしれない。
cartoon は、 文脈によってはアニメーション番組を表すことができる。
I watched cartoons when I was a child.
私は子どものころ、アニメ番組を見ていました。
ただし、 日本語でいう「アニメ」について話すときに、 常に cartoon を使えばよいわけではない。
英語の cartoon は、 子ども向けのアニメ番組や、 軽い印象のアニメーションを連想させる場合がある。 また、新聞や雑誌の一コマ漫画を表すこともある。
一方、 anime は、 日本のアニメーション作品を表す語として定着しており、 子ども向け作品だけに限られない。
cartoon:漫画やアニメ番組を広く表すことがある語
anime:日本のアニメーション作品を表す語
たとえば、 日本のアニメ作品について話すのであれば、
I like anime.
と言う方が、 自分が何を好んでいるのかを伝えやすい。
anime が英語に入ったことで、 日本のアニメーション作品を、 単なる cartoon の一部としてではなく、 一つの文化的なまとまりとして表現できるようになったとも考えられる。
英語の中で anime は文化の名前になる
日本語の「アニメ」は、 私たちにとっては日常的な言葉である。
テレビで見る作品も、 映画館で見る作品も、 配信サービスで見る作品も、 広く「アニメ」と呼ぶことができる。
しかし、英語の中で anime と言うとき、 その語は、 日本で作られてきたアニメーション作品や、 そこに関わる表現文化を示す語として使われる。
つまり、英語に入った anime は、 単なる映像技法の名前ではない。
どのような作品を作ってきたのか
どのような物語や表現が育ってきたのか
それをどのような読者や視聴者が受け取ってきたのか
という文化のまとまりまで感じさせる語になっている。
もちろん、日本のアニメにも、 子ども向け作品、日常作品、スポーツ作品、歴史作品、幻想作品など、 非常に多くの種類がある。
その多様な作品群が海外でも見られるようになり、 それをまとめて語るための言葉として、 日本語の anime が英語の中でも使われるようになったのである。
英語になった日本語を振り返る
ここまで、 英語の中でも使われる日本語由来の語を見てきた。
karaoke:遊び方とともに英語へ入った語
emoji:デジタル上の表現とともに英語へ入った語
tsunami:自然現象の名称として英語へ入った語
umami:味の分類を表す語として英語へ入った語
bento:食事の形や文化とともに英語へ入った語
anime:日本の映像文化を表す語として英語へ入った語
これらはすべて、 日本語の音が英語に写されたというだけの話ではない。
ある言葉が英語に入るとき、 その語が表していた物、 生活、 分類、 表現、 文化までが、 いっしょに別の言語へ渡っていく。
karaoke では、 音楽に合わせて自分で歌う遊び方が渡っていった。
emoji では、 絵を文字のように使うデジタル上の表現が渡っていった。
umami では、 人が感じる味をどう分類するかという見方が渡っていった。
そして、anime では、 英語由来の語を日本語が受け取り、 日本語の中で短くし、 日本の作品文化の名として育て、 それを再び英語へ渡している。
この語の動きは、 日本語と英語の関係が、 単純な一方向の借用ではないことをよく示している。
英作文・英会話での使い方
英作文や英会話で、 日本のアニメについて話すときは、 anime をそのまま使えばよい。
たとえば、
私はアニメが好きです。
なら、
I like anime.
と言える。
また、
兄は毎週アニメを見ます。
なら、
My brother watches anime every week.
が使いやすい。
「このアニメシリーズは海外でも人気があります」なら、
This anime series is popular overseas.
と表すことができる。
作品を一つ示したいときは、
an anime series
アニメシリーズ
an anime film
アニメ映画
のように言うと分かりやすい。
一方、 アニメーションという表現技法そのものについて述べたい場合には、
Animation is an important form of visual expression.
アニメーションは重要な視覚表現の一つです。
のように、 animation を使う方が自然である。
日本語では同じように「アニメ」と言える場面でも、 英語では、 日本の作品文化について述べるのか、 映像表現全般について述べるのかによって、 語を選び分けることが大切である。
よく使う形で覚える
「アニメ」まわりの英語は、 次の形で整理しておくと使いやすい。
anime
日本のアニメ・アニメ作品
like anime
アニメが好きである
watch anime
アニメを見る
an anime series
アニメシリーズ
an anime film
アニメ映画
an anime character
アニメのキャラクター
anime fans
アニメのファン
animation
アニメーションという映像表現全般
日本語の「アニメ」は、 日本のアニメーション作品について話す場合、 英語でも anime として使うことができる。
ただし、 英語の anime は、 日本語の「アニメ」よりも、 日本の作品や文化を指す語として使われる傾向が強いことを押さえておきたい。
まとめ
日本語の「アニメ」は、 日本のアニメーション作品について述べる場合、 英語でも、
anime
と言う。
ただし、 日本語の「アニメ」と英語の anime は、 完全に同じ範囲を表すわけではない。
日本語のアニメ:アニメーションの略として広く使われる語
英語の anime:基本的に日本のアニメーション作品を表す語
また、言葉の成り立ちを見ると、
animation
↓
アニメーション
↓
アニメ
↓
anime
という流れが見えてくる。
英語から入った語が、 日本語の中で短くなり、 日本の映像文化と結びつき、 その文化を表す名前として再び英語へ入っていったのである。
外来語や借用語は、 ある言語から別の言語へ、 ただ形を移すだけのものではない。
言葉は、 受け入れられた言語の中で新しい意味を持ち、 新しい文化と結びつき、 ときにはその意味を携えて、 もとの言語へ戻っていくこともある。
anime は、 英語と日本語のあいだを言葉が往復しながら、 新しい文化の名前として育っていくことが見える語である。
言葉を見ることは、 その言葉を使ってきた人々が、 世界をどう分け、 何を受け取り、 何を新しく生み出してきたのかを見ることでもある。