塾長ノート

シャープペンシルは英語で mechanical pencil

筆記具の名前が、会社の名前へ残る

日本語では、

シャープペンシルで書く
シャーペンの芯が折れる
新しいシャーペンを買う

のように、「シャープペンシル」や「シャーペン」という言葉を自然に使う。

「シャープ」も「ペンシル」も英語らしいため、 英語でもそのまま sharp pencil と言えば通じそうに見える。

しかし、英語で芯を繰り出して使う鉛筆を表す基本語は、

mechanical pencil

である。

I always use a mechanical pencil.
私はいつもシャープペンシルを使います。

ただし、日本語の「シャープペンシル」は、 単に英語を不自然に組み合わせただけの語として見るには惜しい。

日本の製品史、そして現在の電機メーカーである「シャープ」の社名ともつながる、 とても面白い言葉だからである。

英語では mechanical pencil

英語で「シャープペンシル」と言いたいときは、 mechanical pencil を使う。

mechanical pencil
シャープペンシル・芯を機械的に繰り出す鉛筆

たとえば、

Do you have a mechanical pencil?
シャープペンシルを持っていますか。
I need a new mechanical pencil for school.
学校用に新しいシャープペンシルが必要です。
This mechanical pencil is easy to write with.
このシャープペンシルは書きやすいです。

のように言える。

mechanical は「機械仕掛けの」という意味である。 芯を削るのではなく、仕組みによって少しずつ繰り出して使うため、 英語では mechanical pencil と呼ばれる。

イギリス英語では propelling pencil もある

イギリス英語では、

propelling pencil

という表現も使われる。

propel は「前へ進める」という意味を持つ語であり、 芯を前へ押し出して使う鉛筆という見方が表れている。

mechanical pencil:主にアメリカ英語で覚えやすい基本語
propelling pencil:イギリス英語でも使われる表現

英作文や日常会話でまず一つ覚えるなら、 mechanical pencil を押さえておけばよい。

日本語では「シャーペン」まで短くなる

日本語では、「シャープペンシル」をさらに短くして、

シャーペン

と言うことが多い。

学校では、

シャーペン使っていいですか。
シャーペンの芯持ってる。
シャーペン貸して。

のような言い方の方が、むしろ日常的かもしれない。

ここでは、もともとの語が日本語の中で短くなり、 会話で使いやすい形へ変わっている。

シャープペンシル

シャーペン

カタカナ語は、外国語らしい形を保ったまま使われるだけではない。 日本語の音や会話のリズムに合わせて、短く作り替えられることも多い。

早川式繰出鉛筆と「シャープ」

「シャープペンシル」という語を考えるうえで外せないのが、 現在の電機メーカーである シャープ の歴史である。

シャープの創業者である早川徳次は、 1915年に金属製の繰出鉛筆を製作し、

早川式繰出鉛筆

として展開した。

その後、極細芯を備えた製品は、

エバー・レディ・シャープ・ペンシル

という名称になった。

シャープ公式の説明によれば、 この「シャープ・ペンシル」が、後の社名

シャープ

の由来になったという。

つまり、日本語で日常的に使う「シャープペンシル」という筆記具の名前は、 日本のものづくりの歴史や、現在も知られている企業名ともつながっている。

英語の呼び方と日本語の呼び方は注目点が違う

英語の mechanical pencil は、 芯を繰り出す「仕組み」に注目した名前である。

一方、日本語の「シャープペンシル」には、 製品名や商品としての歴史が重なっている。

mechanical pencil:機構に注目した呼び方
シャープペンシル:日本で定着した製品名・道具名としての呼び方

同じ筆記具を指していても、 どの特徴が名前として残るかは、言語や社会によって変わる。

英語では「機械的に芯を出す鉛筆」として名づけられ、 日本語では「シャープペンシル」という呼び名が日常語として残った。

商品や道具の歴史は、ことばの中に残る

前回扱った「ホッチキス」では、 輸入された製品に記された名前が、 日本語で道具全体を表す呼び名として定着した。

「シャープペンシル」も、 一つの筆記具の歴史が、現在の日本語の中に残っている例として見ることができる。

私たちは普段、

シャーペンを使う

と言うとき、企業の歴史や製品名の由来を考えているわけではない。

しかし、言葉の背景をたどると、 何気なく使っている道具名の中に、 その道具が日本社会に入ってきたときの記憶が残っていることがある。

外来語やカタカナ語は、 英語に直すためだけの問題ではない。 新しい道具や文化を、日本語がどのように受け取り、 自分たちの語彙として定着させてきたのかを見る入口にもなる。

英作文・英会話での注意

英作文や英会話では、次のような日本語で迷いやすい。

シャープペンシルを貸してください。

これは、

Can I borrow your mechanical pencil?

と言える。

また、

私は鉛筆よりシャープペンシルをよく使います。

なら、

I use a mechanical pencil more often than a regular pencil.

が使いやすい。

さらに、

シャープペンシルの芯が必要です。

なら、

I need lead for my mechanical pencil.

のように言える。

よく使う形で覚える

「シャープペンシル」まわりの英語は、 次の形で整理しておくと使いやすい。

mechanical pencil
シャープペンシル
propelling pencil
シャープペンシル:主にイギリス英語でも使われる
borrow a mechanical pencil
シャープペンシルを借りる
use a mechanical pencil
シャープペンシルを使う
lead for a mechanical pencil
シャープペンシルの芯

日本語の「シャープペンシル」や「シャーペン」を英語にするときは、 mechanical pencil を使えるようにしておきたい。

まとめ

日本語の「シャープペンシル」「シャーペン」は、 芯を繰り出して使う筆記具を表す自然な言葉である。

英語で表すなら、

mechanical pencil

が基本である。

また、イギリス英語では、

propelling pencil

という表現も使われる。

日本では、早川徳次の「早川式繰出鉛筆」が後に 「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」という名称になり、 その「シャープ・ペンシル」が社名「シャープ」の由来にもなった。

「シャープペンシル」は、 単に英語とは異なる呼び方というだけではない。 筆記具が日本で受け入れられ、製品名や企業名と結びつきながら、 日常語として定着した歴史を持つ言葉である。

カタカナ語を見るときは、 英語では何と言えば自然なのか を学ぶと同時に、 日本語の中にどのような道具や文化の歴史が残っているのか を見ることが大切である。

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