塾長ノート

津波は英語でも tsunami

港に押し寄せる波の名が、世界で使われる現象名になる

日本語では、

地震のあとに津波が発生する
津波警報が出る
高台へ避難する

のように、「津波」という言葉を使う。

津波は、日本だけで起こる現象ではない。 海底地震や火山活動、海底地すべりなどによって大きな水の動きが生じれば、 世界のさまざまな地域で発生する可能性がある。

それでは、この「津波」は英語で何と言うのだろうか。

英語でも、

tsunami

を使う。

A tsunami struck the coast after the earthquake.
地震のあと、津波が海岸を襲いました。
A tsunami warning was issued.
津波警報が発令されました。

日本語の「津波」という語が、 tsunami という形で英語に入り、 世界で起こりうる自然現象を表す語として使われているのである。

英語でも tsunami を使う

英語の tsunami は、 海底地震などによって起こる非常に大きな海の波、 またはその波の連続を表す。

tsunami
津波

たとえば、

The earthquake caused a massive tsunami.
その地震は巨大な津波を引き起こしました。
People were told to evacuate because of the tsunami warning.
津波警報のため、人々は避難するよう指示されました。
The town was badly damaged by the tsunami.
その町は津波によって大きな被害を受けました。

のように使える。

「津波」を英作文で表すときは、 無理に別の英語表現へ置き換える必要はない。

津波が発生する
a tsunami occurs
津波が海岸を襲う
a tsunami strikes the coast
津波警報
a tsunami warning
津波から避難する
evacuate from a tsunami

のように、 tsunami を中心に表現を組み立てればよい。

tsunami は「津」と「波」からできている

tsunami は、 日本語の「津波」に由来する語である。

「津波」という言葉は、

津(つ):港・船着き場
波(なみ):wave

という二つの要素からできている。

津 + 波
港に押し寄せる波

現在の日本語では、 「津」という字を日常会話で単独の語として使うことはあまり多くない。

しかし、

港に関係する場所へ押し寄せ、
人の暮らしや船、建物に大きな被害を及ぼす波

という見方が、 「津波」という語の中には残っている。

津波は、沖合では目立たない場合がある一方、 海岸近くの浅い場所へ来ると大きくなり、 港や沿岸の町に深刻な被害をもたらす。

「津波」という名称は、 海の上の波そのものだけでなく、 その波が人の生活圏に到達したときの危険を強く感じさせる語でもある。

日本の物の名前ではなく、世界の現象名になった

これまで見てきた karaokeemoji は、 日本で生まれた娯楽や表現のしかたが広がり、 その名前も英語に入った例である。

karaoke:日本で生まれた娯楽の名前
emoji:日本語で名づけられたデジタル表現の名前

一方、tsunami は少し性質が違う。

津波そのものは、 日本だけに存在する自然現象ではない。

太平洋沿岸でも、 インド洋沿岸でも、 地中海周辺でも、 条件がそろえば津波は起こりうる。

つまり、英語に入った tsunami は、

日本に特有の物や文化を表す名前

というよりも、

世界のどこでも起こりうる自然現象を表す名称

として使われている。

ここが、karaokeemoji とは異なる面白さである。

ある自然現象を表す日本語の語が、 その現象を国際的に共有し、説明し、警戒するための英語の語になったのである。

tidal wave ではなく tsunami

英語では、かつて津波を

tidal wave

と表すこともあった。

tidal は、 潮の満ち引きや潮汐に関係する語である。

そのため、tidal wave という表現は、 文字どおりに見ると、

潮の満ち引きによって起こる大きな波

のように受け取られやすい。

しかし、津波は潮の満ち引きによって起こる波ではない。

津波は、 海底地震、火山活動、海底地すべりなどによって、 大量の水が急激に動かされることで生じる。

tidal wave:潮汐による波を思わせる表現
tsunami:地震などによって生じる津波を表す語

そのため、 現在、津波について正確に述べるときは、 tsunami を使うのが適切である。

A tsunami warning has been issued.
津波警報が発令されました。

防災情報やニュースで tsunami という語がそのまま使われるのは、 日本語の語が英語へ入ったからというだけではない。

その現象を正確に区別して伝えるために、 tsunami という語が必要とされたからでもある。

英語の中で tsunami はどのように使われるか

tsunami は、 災害や防災に関する表現とともによく使われる。

tsunami warning
津波警報
tsunami evacuation
津波からの避難・津波避難
tsunami damage
津波被害
tsunami survivor
津波の生存者・被災を生き延びた人
tsunami relief
津波被災者への救援・支援

たとえば、

Residents moved to higher ground after the tsunami warning.
津波警報のあと、住民は高台へ移動しました。
The area suffered serious tsunami damage.
その地域は深刻な津波被害を受けました。
The city improved its tsunami evacuation plan.
その市は津波避難計画を改善しました。

のように使える。

「津波」は日常的な話題というより、 災害、防災、避難、支援などに関わる語である。

そのため、英語学習としても、 単に tsunami だけを覚えるのではなく、 warningevacuation のような語と結びつけて覚えておくと、 ニュースや防災情報を読むときにも役立つ。

日本語のまま英語になるということ

日本語由来の語が英語で使われるとき、 そこにはいくつかの種類がある。

karaoke は、 日本で生まれた娯楽が広がる中で英語へ入った。

emoji は、 日本語で名づけられたデジタル上の表現が、 世界的に使われる中で英語へ入った。

そして、tsunami は、 日本だけの文化を表す語ではなく、 世界の海岸地域に関わる自然現象を表す語として英語へ入っている。

karaoke:遊び方とともに広がった語
emoji:表現の道具とともに広がった語
tsunami:自然現象を正確に表す語として広がった語

言葉が別の言語に入るのは、 新しい食べ物や娯楽を紹介するときだけではない。

ある言語に、 すでにその物事をよく表す名前があるとき、 その名前が別の言語でも使われるようになることがある。

tsunami は、 日本語の語が、 人々が共有すべき自然現象と防災のための言葉として、 英語の中にも定着した例なのである。

英作文・英語ニュースでの注意

英作文で「津波」を表すときは、 tsunami を使えばよい。

たとえば、

地震のあと、津波が発生しました。

なら、

A tsunami occurred after the earthquake.

と言える。

また、

津波警報が発令されたため、住民は高台へ避難しました。

なら、

Residents evacuated to higher ground because a tsunami warning was issued.

と表せる。

「津波が海岸を襲った」なら、

A tsunami struck the coast.

が使いやすい。

ここで注意したいのは、 日本語の「津波」を、 単に「大きな波」と考えて big wave のように表さないことである。

津波は、特定の原因と大きな災害性を持つ自然現象であり、 英語でもその名称として tsunami が使われる。

よく使う形で覚える

「津波」まわりの英語は、 次の形で整理しておくと使いやすい。

tsunami
津波
a massive tsunami
巨大な津波
cause a tsunami
津波を引き起こす
a tsunami warning
津波警報
issue a tsunami warning
津波警報を発令する
tsunami damage
津波被害
evacuate to higher ground
高台へ避難する

英語のニュースや防災情報では、 tsunamiwarningdamageevacuation などの語とともに現れやすい。

日本語と英語で同じ語を使えるからこそ、 その周囲によく置かれる語まで一緒に覚えておきたい。

まとめ

日本語の「津波」は、 英語でも、

tsunami

と言う。

tsunami は、 日本語の、

津(つ):港・船着き場
波(なみ):wave

に由来する語である。

英語では、

tsunami warning
tsunami damage
a tsunami struck the coast

のように使うことができる。

また、津波は潮の満ち引きによって起こる波ではないため、 tidal wave よりも tsunami を使う方が正確である。

tsunami が興味深いのは、 日本特有の食べ物や娯楽の名前ではなく、 世界のどこでも起こりうる自然現象の名称として、 日本語の語が英語の中で使われている点である。

日本語から英語へ渡っていく言葉は、 文化や遊びの名前だけではない。

人々が危険を知り、 災害について伝え、 避難や支援を考えるための語としても、 日本語の言葉が世界で使われることがある。

tsunami は、 日本語の自然現象名が、 世界で共有される言葉になった例なのである。

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