日本語では、
だしのうま味を感じる
トマトにはうま味がある
うま味の強いスープを作る
のように、「うま味」という言葉を使う。
「うま味」は、 何となく「おいしい味」や「料理のよさ」を表す言葉のようにも見える。
しかし、食べ物の味について正確に述べる場合、 うま味 は単なる「おいしさ」ではなく、
甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ、基本味の一つ
を表す。
そして、この「うま味」は英語でも、
umami
と言う。
Tomatoes are rich in umami.
トマトにはうま味が豊富に含まれています。
This soup has a deep umami flavor.
このスープには深いうま味があります。
日本語で名づけられた味の名前が、 umami という形で英語の中にも入り、 味を説明する語として使われているのである。
英語でも umami を使う
英語の umami は、 甘味、酸味、塩味、苦味とは異なる、 だし、肉、熟成したチーズ、トマト、きのこなどから感じられる味を表す。
umami
うま味・甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ基本味の一つ
たとえば、
Mushrooms add umami to the dish.
きのこはその料理にうま味を加えます。
Parmesan cheese is full of umami.
パルメザンチーズにはうま味が豊富にあります。
The broth has a rich umami taste.
そのだしには豊かなうま味があります。
のように使える。
「うま味」を英語にするときは、 無理に good taste や delicious flavor のように言い換える必要はない。
うま味
umami
うま味がある
have umami / contain umami
うま味を加える
add umami
うま味が豊富である
be rich in umami
のように、 umami をそのまま使うことができる。
「うま味」は単なる「おいしさ」ではない
日本語では、
この料理には旨味がある
素材の旨みを引き出す
何とも言えないおいしさがある
のように、 「旨味」や「旨み」を、 料理のおいしさや味わいの深さを表す言葉として使うことがある。
一方、味覚について述べるときの うま味 は、 より限定された意味を持つ。
旨味・旨み:料理のおいしさや味わいのよさ
うま味:甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ基本味の一つ
たとえば、 ケーキはとてもおいしいかもしれないが、 そのおいしさの中心は甘味や香り、食感にあるかもしれない。
反対に、 昆布だし、チーズ、トマト、きのこなどには、 甘味や塩味とは別に、 うま味 と呼ばれる味を感じることができる。
つまり、
おいしいものには、必ず強いうま味がある
というわけではない。
うま味は、 おいしさを作る大切な要素の一つではあるが、 おいしさ全体と同じものではないのである。
英語の umami も基本味を表す
英語に入った umami も、 単に「とてもおいしい」という意味で使われる語ではない。
英語では、
sweet:甘い味
sour:酸っぱい味
salty:塩辛い味
bitter:苦い味
umami:うま味
のように、 食べ物の味を説明する語の一つとして使われる。
そのため、
This pasta has a lot of umami.
と言えば、 単に「このパスタはおいしい」という意味ではなく、 トマト、チーズ、肉、きのこなどによる うま味の感じられる料理だという説明になる。
「おいしい」と言いたいだけなら、
delicious
tasty
really good
などを使うことができる。
This soup is delicious.
このスープはおいしいです。
This soup is rich in umami.
このスープにはうま味が豊富にあります。
前者は料理全体のおいしさを述べ、 後者はその味の特徴を述べている。
日本語でも英語でも、 「おいしい」と「うま味がある」は、 重なる部分を持ちながらも同じ意味ではないのである。
うま味は昆布だしの研究から名づけられた
「うま味」は、 日本で科学的に取り出され、名づけられた味である。
1908年、 池田菊苗は昆布だしの中に、 甘味、酸味、塩味、苦味とは異なる味があることに注目した。
そして、昆布だしの味に関わる成分として グルタミン酸を見いだし、 その味を、
うま味
と名づけた。
日本料理では、 昆布やかつお節などから取る「だし」が重要な役割を果たしてきた。
だしは、 強い甘さや塩辛さを足すものではなく、 素材の味を支え、 料理全体に深さを与える。
その味を一つの味覚として取り出し、 名前を与えた語が「うま味」である。
そして現在では、 その日本語の名称が、 英語の中でも umami として使われている。
日本料理だけにある味ではない
umami は日本語由来の語なので、 日本料理だけに関係する味のように感じるかもしれない。
確かに、 昆布だし、かつお節、味噌、しょうゆなど、 日本料理にはうま味と深く関わる食材や調理法が多くある。
しかし、うま味そのものは、 日本料理だけに存在する味ではない。
tomatoes
トマト
mushrooms
きのこ
aged cheese
熟成したチーズ
meat broth
肉のだし・ブイヨン
などにも、 うま味を感じることができる。
たとえば、 トマトソースにチーズを加えたパスタや、 肉や野菜をじっくり煮込んだスープにも、 umami を感じることがある。
つまり、umami は、
日本料理を説明するためだけの語
ではなく、
世界のさまざまな料理に共通して見いだせる味を表す語
として英語で使われているのである。
日本語の名前が、そのまま英語へ入った理由
これまで見てきた、
karaoke
emoji
tsunami
も、 日本語から英語へ入った語だった。
karaoke は、 日本で生まれた娯楽の名前として英語へ入った。
emoji は、 日本語で名づけられたデジタル表現の名前として英語へ入った。
tsunami は、 世界で共有される自然現象の名称として英語へ入った。
そして、umami は、
人が感じる味の分類の一つ
として英語へ入った語である。
これはとても興味深い。
ある料理や道具の名前だけでなく、 人が世界をどう感じ分けるかという分類の言葉まで、 日本語の名称が英語の中で使われているからである。
甘い、酸っぱい、塩辛い、苦いだけでは説明しきれない味を、 日本語では「うま味」と名づけた。
そして、その分類が英語の中でも必要とされたとき、 新しく別の英語を作るのではなく、 日本語の umami がそのまま使われるようになったのである。
英作文・英会話での使い方
英作文や英会話で、 「うま味」を表したいときは、 umami を使えばよい。
たとえば、
トマトにはうま味が豊富にあります。
なら、
Tomatoes are rich in umami.
と言える。
また、
きのこはスープにうま味を加えます。
なら、
Mushrooms add umami to the soup.
が使いやすい。
「この料理はうま味が強い」と言いたいなら、
This dish has a strong umami flavor.
と表すことができる。
一方、 単純に「この料理はおいしい」と言いたい場合には、
This dish is delicious.
の方が自然である。
umami は、 料理全体をほめる語というよりも、 料理に含まれる味の特徴を説明する語として使うことを押さえておきたい。
よく使う形で覚える
「うま味」まわりの英語は、 次の形で整理しておくと使いやすい。
umami
うま味
be rich in umami
うま味が豊富である
add umami to a dish
料理にうま味を加える
have a deep umami flavor
深いうま味がある
umami-rich ingredients
うま味の豊富な食材
the fifth basic taste
五つ目の基本味
日本語の「うま味」は、 英語でも umami として使える。
ただし、 単なる「おいしい」という意味ではなく、 食べ物の味を構成する基本味の一つを表す語として使うことが大切である。
まとめ
日本語の「うま味」は、 英語でも、
umami
と言う。
umami は、 甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ、 基本味の一つを表す語である。
日本語では、
旨味・旨み:広く料理のおいしさや味わいのよさ
うま味:基本味の一つ
と整理すると分かりやすい。
英語では、
Tomatoes are rich in umami.
Mushrooms add umami to the soup.
This dish has a deep umami flavor.
のように使うことができる。
umami が興味深いのは、 日本語で名づけられた味の分類が、 日本料理だけでなく、 世界のさまざまな料理を説明する英語の語として使われている点である。
日本語から英語へ渡る言葉は、 食べ物や娯楽の名前だけではない。
人が味をどう感じ分けるか、 世界をどう分類するかという言葉も、 別の言語の中へ入っていくことがある。
umami は、 日本語で見いだされ、名づけられた味が、 世界で共有される言葉になった例なのである。