塾長ノート

弁当は英語でも bento

箱に詰められた食事が、食文化ごと英語へ入っていく

日本語では、

朝、弁当を作る
昼休みに弁当を食べる
駅で弁当を買う

のように、「弁当」という言葉を日常的に使う。

学校や職場へ持っていく弁当もあれば、 コンビニで買う弁当もある。 駅弁のように、移動や土地の名物と結びついた弁当もある。

では、この「弁当」は英語で何と言うのだろうか。

日本式の弁当を表したい場合には、 英語でも、

bento

を使うことができる。

I bought a bento for lunch.
私は昼食に弁当を買いました。
She made a bento for her daughter.
彼女は娘のために弁当を作りました。

日本語の「弁当」という語が、 食事を箱に詰めて持ち運ぶ日本の文化とともに、 bento という形で英語にも入っているのである。

英語でも bento を使う

英語の bento は、 一般に、 ご飯、野菜、肉、魚などを箱に詰めた、 日本式の持ち運べる食事を表す。

bento
日本式の詰め合わせ弁当

たとえば、

I picked up a bento on my way to work.
私は仕事へ行く途中で弁当を買いました。
This shop sells handmade bentos.
この店では手作りの弁当を売っています。
He opened his bento during the lunch break.
彼は昼休みに弁当を開きました。

のように使える。

日本語で「弁当」と言うとき、 そこには単に「昼食」というだけでなく、

箱の中に、いくつかの料理が収められていること
持ち運んで、あとで食べられること
一人分の食事として整えられていること

という感覚が含まれている。

英語の bento も、 そのような日本式の弁当を表す語として使われている。

bento と packed lunch は同じではない

英語には、 持っていく昼食を表す語として、

packed lunch

がある。

packed lunch は、 家などで用意して、 学校、職場、遠足などへ持っていく昼食を広く表す。

I usually take a packed lunch to work.
私は普段、職場に昼食を持っていきます。

その中身は、 サンドイッチと果物かもしれないし、 サラダやお菓子かもしれない。 必ずしも日本の弁当のように、 箱の中に複数のおかずが整えて詰められている必要はない。

一方、bento と言うと、 英語の中では、

日本式に箱へ詰められた一人分の食事

というイメージが出やすい。

packed lunch:持参する昼食全般
bento:日本式の詰め合わせ弁当

したがって、 日本語の「弁当」を英語にするときは、 場面によって使い分けることができる。

毎日、学校に弁当を持っていく。
I take a packed lunch to school every day.
日本の駅で駅弁を買いました。
I bought a bento at a train station in Japan.

前者では「持参した昼食」という点が中心なので、 packed lunch が使いやすい。

後者では、 日本の弁当文化を含んだ食事を表しているため、 bento が自然に働く。

bento box は何を表すのか

英語では、

bento box

という表現もよく使われる。

日本語話者から見ると、 「弁当箱」を直訳したような言い方に見える。

英語の bento box は、 主に、

いくつかの料理を分けて入れられる、弁当用の箱

を表す。

I bought a new bento box.
私は新しい弁当箱を買いました。
This bento box has several compartments.
この弁当箱にはいくつかの仕切りがあります。

また、レストランのメニューなどでは、 区切られた箱やトレーに複数の料理を盛り合わせた食事そのものを、 bento box と呼ぶこともある。

I ordered the salmon bento box.
私は鮭の弁当セットを注文しました。

ここで整理しておくと、

bento:日本式の弁当・箱詰めの食事
bento box:弁当箱、または箱入りの弁当メニュー

という形になる。

日本語では「弁当」と「弁当箱」を比較的はっきり分けるが、 英語では bento box が容器にも、 メニューとしての食事にも使われる場合がある。

同じ物を見ていても、 どこまでを一つの名前でまとめるかは、 言語によって少し異なるのである。

lunch box は弁当そのものとは限らない

「弁当」を英語にしようとして、 まず思いつきやすい表現に、

lunch box

がある。

しかし、lunch box は基本的に、 昼食を入れて持ち運ぶための容器を表す。

She put an apple in her lunch box.
彼女は弁当箱にりんごを入れました。
I left my lunch box at home.
私は弁当箱を家に忘れました。

日本語の「弁当」は、 箱そのものではなく、 多くの場合、 その中に入った食事まで含めて表す。

そのため、

今日、弁当を食べました。

を、

I ate a lunch box today.

とすると、 容器を食べたように聞こえてしまう。

持参した昼食という意味であれば、

I ate my packed lunch today.

日本式の弁当を表すのであれば、

I ate a bento for lunch today.

のように言う方がよい。

lunch box:昼食を入れる箱
packed lunch:持っていく昼食
bento:日本式の弁当

日本語の「弁当」は一語で広く働くが、 英語では、 食事を指すのか、 容器を指すのか、 日本式の弁当であることを表したいのかによって、 選ぶ語が変わってくる。

弁当は、食べ物だけでなく食べ方の文化でもある

bento が英語に入ったのは、 単に「箱に入った昼食」を表す語が英語になかったから、 というだけではない。

弁当には、

一人分の食事を、箱の中に整えて収めること
ご飯とおかずを組み合わせること
持ち運べる形で用意すること
開けたときの見た目まで含めて楽しめること

といった特徴がある。

たとえば、日本語では、

手作り弁当
駅弁
幕の内弁当
キャラ弁

のように、 弁当という形を中心に、 作る人、食べる場面、土地、見た目などが結びついていく。

もちろん、英語圏にも持ち運ぶ昼食は以前から存在する。

しかし、bento という語を使うときには、 単なる昼食ではなく、 日本式に箱の中へまとめられた食事の形が意識されやすい。

つまり、英語に入った bento は、 食べ物の名前であると同時に、

食事を一つの箱の中に構成する文化

の名前でもある。

日本語の中で定着した語が、英語へ渡っていく

「弁当」という語は、 私たちにとっては非常に日常的な言葉である。

朝に作るものでもあり、 学校や仕事へ持っていくものでもあり、 店で買うものでもある。

しかし、英語の中で bento として使われるとき、 その語は、 日本式の食事の形を表す語として働く。

これまで見てきた語と並べると、 日本語から英語へ入る言葉にも、 さまざまな種類があることが分かる。

karaoke:遊び方とともに英語へ入った語
emoji:デジタル上の表現とともに英語へ入った語
tsunami:自然現象の名称として英語へ入った語
umami:味の分類を表す語として英語へ入った語
bento:食事の形や文化とともに英語へ入った語

日本語の言葉が英語で使われるようになるとき、 英語は単に日本語の音を借りているだけではない。

その語でしか簡単には表しにくい、 物の形、生活の仕方、文化の区切り方まで、 一緒に受け取っているのである。

bento は、 一人分の食事を箱の中に整えて持ち運ぶという形が、 日本語の名称とともに英語へ渡っていった例である。

英作文・英会話での使い方

英作文や英会話で「弁当」を表すときは、 何を伝えたいかによって語を選ぶとよい。

日本式の弁当について話すのであれば、 bento を使うことができる。

私は昼食に弁当を買いました。

なら、

I bought a bento for lunch.

と言える。

また、

母は毎朝、私のために弁当を作ってくれます。

なら、

My mother makes a bento for me every morning.

と表すことができる。

一方、 日本式かどうかを特に意識せず、 「昼食を持っていく」と言いたいのであれば、

I take a packed lunch to school.

のように packed lunch を使う方が自然な場合もある。

弁当箱について言いたいなら、

I bought a new lunch box.
I bought a new bento box.

のように言える。

lunch box は昼食用の容器を広く表し、 bento box は日本式の弁当箱や、 仕切りのある弁当用容器を意識させやすい。

「弁当」という一つの日本語を英語にするときにも、 食事そのものなのか、 持参する昼食なのか、 容器なのか、 日本式の食文化なのかを考えることで、 より自然に表現できるようになる。

よく使う形で覚える

「弁当」まわりの英語は、 次の形で整理しておくと使いやすい。

bento
日本式の弁当
buy a bento
弁当を買う
make a bento
弁当を作る
a homemade bento
手作り弁当
a bento box
弁当箱・弁当形式の食事
a lunch box
昼食を入れる箱
a packed lunch
持参する昼食

日本語の「弁当」は、 日本式の弁当を表したいときには、 英語でも bento と言うことができる。

そのうえで、 日常的な持参昼食なら packed lunch、 容器なら lunch boxbento box が使えることも、 あわせて押さえておきたい。

まとめ

日本語の「弁当」は、 日本式の詰め合わせ弁当を表す場合、 英語でも、

bento

と言うことができる。

英語では、

bento:日本式の弁当
bento box:弁当箱、または弁当形式のメニュー
packed lunch:持参する昼食
lunch box:昼食を入れる容器

のように整理すると分かりやすい。

bento は、 単に「食べ物を持ち運ぶ」という意味だけを表すのではない。

一人分の食事を箱の中に整えて詰め、 持ち運び、 開けたときの形まで含めて味わうという、 日本の食文化と結びついた語である。

そのため、 英語でも日本式の弁当について話すときには、 bento がそのまま使われる。

日本語から英語へ渡る言葉は、 物の名前だけを運ぶわけではない。

その物がどのように作られ、 どのように食べられ、 日常の中でどのような位置を持っているのかという、 文化の形まで運ぶことがある。

bento は、 日本の生活の中で親しまれてきた食事の形が、 その名前とともに英語の中へ入っていった例なのである。

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