塾長ノート

John left the room angry. の angry は何なのか

動作と、そのときの状態を一つの文に重ねる

英語では、 文の最後に形容詞が置かれて、 動作をした人や物の状態を表すことがある。

John left the room angry.
ジョンは怒ったまま部屋を出ていった。

この文を見たとき、 少し不思議に感じる人もいるかもしれない。

angry は形容詞である。 形容詞なら、 ふつうは名詞の前に置いたり、 be 動詞の後ろに置いたりする、と習う。

an angry man
怒っている男
John was angry.
ジョンは怒っていた。

では、 John left the room angry.angry は、 いったい何をしているのだろうか。

これは、 John left the room. という動作の文に、 John was angry. という状態の説明が重なったような文である。

つまり、 この文は、 「ジョンが部屋を出ていった」という出来事と、 「そのときジョンは怒っていた」という状態を、 一つの文の中で同時に表している。

angry は room を説明しているのではない

まず確認したいのは、 angry が説明している相手である。

John left the room angry.

この文の最後にある angry は、 直前の the room を説明しているわけではない。

「怒っている部屋」という意味ではない。

怒っているのは、 John である。

John left the room.
He was angry.

この二つの内容が重なって、

John left the room angry.

という文になっていると考えると分かりやすい。

つまり、 angry は、 部屋を出ていったときの John の状態 を表している。

このように、 文の主語の状態を描写する語を、 文法では 主語指向の描写語 と呼ぶことがある。

ただし、 用語そのものを覚えることが目的ではない。

大事なのは、 文末の形容詞が、 すぐ前の名詞ではなく、 文の主語にかかることがある、 という見方である。

動作と状態を同時に表す

John left the room angry. は、 次の二つを同時に表している。

John left the room.
ジョンは部屋を出ていった。
John was angry.
ジョンは怒っていた。

つまり、 left が動作を表し、 angry がその動作中の状態を表している。

日本語にすると、

ジョンは怒って部屋を出ていった。
ジョンは怒ったまま部屋を出ていった。

のようになる。

ここでの angry は、 「なぜ部屋を出ていったのか」を必ず説明する語ではない。

文脈によっては、 怒っていたから部屋を出たのだと読めることもある。

しかし、 文そのものが直接表しているのは、 まず、 部屋を出ていったときのジョンの状態 である。

同じように、 次のような文も考えられる。

She came home tired.
彼女は疲れて家に帰ってきた。
He walked away silent.
彼は黙ったまま立ち去った。
The children ran outside excited.
子どもたちは興奮して外へ走っていった。

どれも、 動作そのものに加えて、 そのときの主語の状態を付け加えている。

英語は、 一つの文の中で、 「何をしたか」と 「そのときどんな状態だったか」を、 このように重ねて表すことができる。

目的語の状態を表す場合もある

ここまで見た angry は、 主語である John の状態を表していた。

しかし、 文末の形容詞が、 目的語の状態を表すこともある。

I drink coffee black.
私はコーヒーをブラックで飲む。

この文の black は、 主語の I を説明しているわけではない。

「私が黒い」のではなく、 coffee がブラックである、 という意味である。

つまり、

I drink coffee.
Coffee is black.

という二つの内容が重なっている。

同じように、

Mary ate the meat raw.
メアリーは肉を生で食べた。

では、 raw が説明しているのは the meat である。

メアリーが生だったのではなく、 肉が生の状態だったのである。

ここから、 文末に置かれた形容詞を見るときは、 次のように考えるとよい。

その形容詞は、主語の状態を表しているのか。
それとも、目的語の状態を表しているのか。

John left the room angry. では、 angry は主語の状態を表している。

I drink coffee black. では、 black は目的語の状態を表している。

形だけを見ると、 文の最後に形容詞が置かれている点は似ている。

しかし、 その形容詞がどの名詞の状態を表しているかは、 文全体の意味から判断する必要がある。

文末の形容詞は、もう一つの述語として働く

John left the room angry.angry は、 文の中心となる動詞ではない。

文の中心は、 あくまで left である。

しかし、 angry も、 「ジョンが怒っていた」という意味で、 主語について述べている。

そのため、 このような語は、 二次述語 と呼ばれることがある。

一つの文の中に、 中心となる述語があり、 それに加えて、 主語や目的語の状態を述べるもう一つの述語がある、 と見るわけである。

John left the room angry.
→ left が中心の動作
→ angry が John の状態
I drink coffee black.
→ drink が中心の動作
→ black が coffee の状態

この見方を持っていると、 文末の形容詞を見たときに、 「これは何を説明しているのか」と考えられるようになる。

日本語では、 「怒って」「疲れて」「ブラックで」「生で」のように、 副詞的に訳すことが多い。

しかし、 英語の構造を見ると、 それらは単なる飾りというより、 主語や目的語の状態を述べる働きをしている。

まとめると、

John left the room angry.
→ angry は John の状態を表す
I drink coffee black.
→ black は coffee の状態を表す

文末に形容詞が置かれているとき、 それをすぐ前の名詞に機械的につなげるのではなく、 文全体の中で、 どの名詞の状態を表しているのかを見る必要がある。

英文法を学ぶとき、 語順だけを見て記号を振るだけでは、 こうした文の意味は見えにくい。

文の中に、 動作と状態がどのように重ねられているのかを見ることで、 英語の文が出来事をどう描いているのかが少しずつ見えてくる。

Feedback

この記事は参考になりましたか?

よろしければ「参考になった」を押してください。今後の記事づくりの参考になります。

0件のリアクション