前回は、 must が 「〜しなければならない」 という義務や必要を表すことを見た。
You must use this pen.
あなたはこのペンを使わなければなりません。
では、 この文を否定したいときは、 どのように考えればよいだろうか。
英語では、 次の二つの文をはっきり区別する必要がある。
You must not use this pen.
あなたはこのペンを使ってはいけません。
You don't have to use this pen.
あなたはこのペンを使う必要はありません。
どちらも日本語では、 「〜ない」 という形が含まれる。
しかし、 意味は大きく違う。
must not は、 その行動をしてはいけないという 禁止 を表す。
一方、 don't have to は、 その行動をする必要はないという 不要 を表す。
今回は、 この二つを比べながら、 「してはいけない」と 「しなくてもよい」を 英語でどう言い分けるのかを整理していこう。
must not は「〜してはいけない」という禁止を表す
must の後ろに not を置くと、 must not という形になる。
must not + 動詞の原形
→ 「〜してはいけない」
You must not run in this room.
あなたはこの部屋で走ってはいけません。
Students must not use smartphones during the test.
生徒はテスト中にスマートフォンを使ってはいけません。
You must not open this door.
あなたはこのドアを開けてはいけません。
これらの文では、 走ること、 スマートフォンを使うこと、 ドアを開けることが、 禁止されている。
つまり、 must not は、 「やらなくてよい」と言っているのではない。
「やってはいけない」 と、 行動を強く止める表現である。
must not は、 mustn't と短縮することもできる。
You must not play baseball here.
= You mustn't play baseball here.
あなたはここで野球をしてはいけません。
中1で学んだ命令文の否定形と比べると、 意味の近さも見えてくる。
Don't open this door.
このドアを開けてはいけません。
You must not open this door.
あなたはこのドアを開けてはいけません。
どちらも、 ドアを開けることを禁止している。
Don't ... は相手に直接禁止を伝える命令文であり、 You must not ... は、 その人に対して禁止の規則や必要があることを述べる文である。
まずは、 must not = してはいけない と確実に捉えておきたい。
don't have to は「〜する必要はない」を表す
次に、 don't have to を見てみよう。
have to + 動詞の原形 は、 must と同じように、 「〜しなければならない」 という必要を表すことができる。
You have to use this pen.
あなたはこのペンを使わなければなりません。
この have to を否定すると、 don't have to となる。
don't have to + 動詞の原形
→ 「〜する必要はない」「〜しなくてもよい」
You don't have to use this pen.
あなたはこのペンを使う必要はありません。
この文は、 このペンを使うことを禁止しているのではない。
使ってもよいが、 使うことは求められていない、 という意味である。
You must not use this pen.
→ 使ってはいけない。使うことは禁止されている。
You don't have to use this pen.
→ 使う必要はない。使うかどうかは選べる。
たとえば、 宿題について次のように言われた場合を考えてみよう。
You must not do this homework today.
あなたは今日、この宿題をしてはいけません。
この文なら、 今日その宿題をすることは禁止されている。
You don't have to do this homework today.
あなたは今日、この宿題をする必要はありません。
こちらなら、 今日やらなくてもよい。 しかし、 やりたいならやってもかまわない、 という読み方になる。
主語が he や she の場合は、 一般動詞の否定文と同じように doesn't have to を使う。
She doesn't have to come early tomorrow.
彼女は明日、早く来る必要はありません。
Ken doesn't have to bring his lunch today.
健は今日、昼食を持ってくる必要はありません。
doesn't を使った後ろでは、 has to ではなく have to になることにも注意したい。
Must I ...? に No で答えるときは don't have to を使う
must を使った疑問文では、 must を主語の前に置く。
Must I clean this room today?
私は今日、この部屋を掃除しなければなりませんか。
「はい、掃除しなければなりません」 と答えるなら、 must をそのまま使う。
Yes, you must.
はい、そうしなければなりません。
では、 「いいえ、掃除する必要はありません」 と答えるときはどうなるだろうか。
No, you don't have to.
いいえ、そうする必要はありません。
ここで、 次のように答えてはいけない。
No, you mustn't.
いいえ、そうしてはいけません。
No, you mustn't. と言うと、 「掃除しなくてもよい」 ではなく、 「掃除してはいけない」 という意味になってしまう。
つまり、 質問が同じでも、 No の後ろに何を続けるかで、 答えの意味は大きく変わる。
Must I wear this uniform today?
私は今日、この制服を着なければなりませんか。
No, you don't have to.
→ 着る必要はありません。私服でもよい。
No, you mustn't.
→ 着てはいけません。その制服は禁止されている。
日本語の 「いいえ」 だけに引っぱられると、 mustn't を選びたくなることがある。
しかし、 問われているのは、 「しなければならないか」である。
その必要がないと答えるなら、 don't have to を使う。
「しなければならない」の否定を一つに考えない
日本語では、 「しなければならない」 を否定すると考えたとき、 英語の形が混乱しやすい。
そこで、 まずは次の四つを並べて区別しておくとよい。
You must use this pen.
あなたはこのペンを使わなければなりません。
You have to use this pen.
あなたはこのペンを使わなければなりません。
You must not use this pen.
あなたはこのペンを使ってはいけません。
You don't have to use this pen.
あなたはこのペンを使う必要はありません。
肯定文では、 must と have to は、 どちらも 「しなければならない」 を表すことができる。
ところが、 否定の意味では、 must not と don't have to は同じではない。
must not:してはいけない
→ 禁止されているため、してはならない。
don't have to:する必要はない
→ 必要ではないため、しなくてよい。
学校の場面で考えると、 違いがよりはっきりする。
You must not eat in this room.
この部屋で食べてはいけません。
→ 食べることは禁止。
You don't have to eat in this room.
この部屋で食べる必要はありません。
→ この部屋で食べなくてもよい。別の場所でもよい。
まとめると、
must not + 動詞の原形 は、 「〜してはいけない」という禁止を表す。
You must not run here.
don't have to + 動詞の原形 は、 「〜する必要はない」「〜しなくてもよい」を表す。
You don't have to run today.
Must I ...? に 「その必要はない」と答えるときは、 No, you don't have to. とする。
No, you mustn't. とすると、 「してはいけない」という禁止になる。
次は、 must と have to がどちらも 「しなければならない」 を表しながら、 has to や had to のように形を変える場面があることを整理していこう。