前回は、 must not と don't have to が、 同じ「〜ない」を含むように見えても、 意味は大きく異なることを見た。
You must not use this pen.
あなたはこのペンを使ってはいけません。
You don't have to use this pen.
あなたはこのペンを使う必要はありません。
ここで、 have to という形が出てきた。
実は、 否定文だけでなく、 肯定文でも、 have to は must とよく似た意味を表す。
I must study English today.
私は今日、英語を勉強しなければなりません。
I have to study English today.
私は今日、英語を勉強しなければなりません。
どちらも、 英語を勉強することが必要である、 という内容を表している。
では、 同じような意味を表すのに、 なぜ英語には must と have to の二つがあるのだろうか。
今回は、 この二つの基本的な共通点と違い、 そして has to、 had to、 will have to のように have to が形を変える理由を整理していこう。
must と have to は、どちらも義務・必要を表す
まず、 中学英語で最初に押さえるべきことは、 must と have to はどちらも 「〜しなければならない」 を表せるということである。
You must clean your room.
あなたは自分の部屋を掃除しなければなりません。
You have to clean your room.
あなたは自分の部屋を掃除しなければなりません。
どちらの文でも、 clean your room という行動が必要であることを述べている。
形に注目すると、 どちらも後ろには 動詞の原形 が続いている。
must do
have to do
must study
have to study
must be careful
have to be careful
たとえば、 「注意しなければならない」 と言う場合も、 後ろの動詞が be になるだけで、 基本の考え方は同じである。
You must be careful.
あなたは注意しなければなりません。
You have to be careful.
あなたは注意しなければなりません。
まずは、
must + 動詞の原形
have to + 動詞の原形
どちらも「〜しなければならない」を表す。
と捉えてよい。
must は形が変わらず、have to は主語に合わせて変わる
意味がよく似ていても、 must と have to は、 文の中でのふるまいが異なる。
must は助動詞である。 そのため、 主語が変わっても形は変わらない。
I must study English.
私は英語を勉強しなければなりません。
He must study English.
彼は英語を勉強しなければなりません。
They must study English.
彼らは英語を勉強しなければなりません。
主語が he でも、 musts にはならない。 また、 must studies のように後ろの動詞へ s をつけることもない。
He must study English.
× He musts study English.
× He must studies English.
一方、 have to は、 主語が三人称・単数の現在形になると、 has to になる。
I have to study English.
私は英語を勉強しなければなりません。
You have to study English.
あなたは英語を勉強しなければなりません。
He has to study English.
彼は英語を勉強しなければなりません。
ここは、 一般動詞の現在形で学んだ have → has の変化と同じように考えればよい。
He has a dog.
彼は犬を飼っています。
He has to walk his dog every day.
彼は毎日、犬を散歩させなければなりません。
したがって、 現在の文では、
I / You / We / They have to study.
He / She / It has to study.
という形の違いに注意する必要がある。
過去の義務は had to、未来の必要は will have to で表す
have to の大切な点は、 主語だけでなく、 時に合わせても形を変えられることである。
たとえば、 「昨日、勉強しなければならなかった」 と、 過去の必要について述べたい場合を考えてみよう。
I had to study English yesterday.
私は昨日、英語を勉強しなければなりませんでした。
過去の文では、 have to を had to にする。
have to study
→ had to study
has to study
→ had to study
過去形では、 主語が I でも he でも、 同じ had to を使う。
I had to get up early yesterday.
私は昨日、早く起きなければなりませんでした。
Ken had to get up early yesterday.
健は昨日、早く起きなければなりませんでした。
では、 未来について 「〜しなければならないだろう」 「〜する必要が出てくる」 と述べたい場合はどうなるだろうか。
I will have to study English tomorrow.
私は明日、英語を勉強しなければならないでしょう。
ここでは、 未来を表す will の後ろに、 動詞の原形である have が続いている。
will + 動詞の原形
→ will have to study
× will has to study
× will had to study
なお、 You must come here tomorrow. のように、 must を使って未来の行動を求めることもできる。
You must come here tomorrow.
あなたは明日、ここへ来なければなりません。
ただし、 過去の義務を述べるときには had to を用い、 未来に必要となることを will を使って表すときには will have to を用いる、 という形は必ず押さえておきたい。
現在:I have to study today.
過去:I had to study yesterday.
未来:I will have to study tomorrow.
must と have to の違いは、まず「傾向」として捉える
ここまで見ると、 must と have to は、 形の作り方が違うことは分かる。
では、 現在の肯定文で、 両方が使える場合の意味には まったく違いがないのだろうか。
基本的には、 どちらも 「〜しなければならない」 を表す。 そのうえで、 次のような傾向がある。
must
→ 話し手が強く必要だと考えていること、 指示・注意として伝えることに合いやすい。
have to
→ 規則や予定、状況などによって、 必要になっていることに合いやすい。
たとえば、 自分自身に対して 「今日こそ宿題を終わらせなければ」 と強く思っているなら、
I must finish my homework today.
今日、宿題を終わらせなければ。
という言い方が自然に使える。
一方、 学校の決まりとして制服を着る必要がある、 という事情を述べるなら、
We have to wear school uniforms.
私たちは制服を着なければなりません。
のように、 have to が使いやすい。
ただし、 これは 「規則なら必ず have to」 「自分の判断なら必ず must」 という機械的な決まりではない。
Students must wear school uniforms.
生徒は制服を着用しなければならない。
のように、 規則や掲示の文で must が使われることもある。 この文では、 規則を述べる側が、 必要なこととして強く示していると考えればよい。
中学英語の段階では、 まず
must と have to は、 どちらも「〜しなければならない」を表せる。
ただし、 have to は has to / had to / will have to のように形を変えられる。
意味の違いは、 話し手の強い判断か、 規則・状況による必要か、 という傾向として捉える。
と整理しておくのがよい。
次は、 You should see a doctor. のように、 義務ほど強くはないが、 「そうするのがよい」と勧める should の働きを見ていこう。