ここまで、 to + 動詞の原形 には、 文の中でいくつかの働きがあることを見てきた。
I want to study English.
私は英語を勉強したいです。
この文の to study English は、 「英語を勉強すること」を表し、 want の後ろで目的語として働いていた。
I went to the library to study English.
私は英語を勉強するために図書館へ行きました。
こちらの to study English は、 「何のために図書館へ行ったのか」という、 動作の目的を説明していた。
では、 次の文はどうだろうか。
I have a lot of homework to do.
私にはするべき宿題がたくさんあります。
この文では、 to do がなくても、
I have a lot of homework.
私には宿題がたくさんあります。
という文は成り立つ。
そこに to do を加えることで、 その宿題が 「自分がこれからする宿題」であることを説明している。
つまり、 この to do は、 homework という名詞を後ろから説明しているのである。
このように、 不定詞が名詞や代名詞の後ろに置かれ、 「〜するための」「〜すべき」「〜する」と、 その語を説明する働きをする用法を、 不定詞の形容詞的用法 と呼ぶ。
不定詞が、名詞を後ろから説明する
まずは、 次の文を比べてみよう。
I have a book.
私は本を持っています。
I have a book to read.
私には読むべき本があります。
一つ目の文では、 ただ 「本を持っている」 と言っているだけである。
二つ目の文では、 to read が a book の後ろに置かれている。
a book to read
読むための本/読むべき本
英語では、 不定詞で名詞を説明するとき、 その不定詞は、 説明したい名詞の後ろに置かれる。
She has a letter to write.
彼女には書くべき手紙があります。
I have many things to learn.
私には学ぶべきことがたくさんあります。
Ken had no time to read books.
健には本を読む時間がありませんでした。
どの文でも、 不定詞の前には、 先に説明される名詞がある。
a letter to write
many things to learn
no time to read books
日本語では、 「書くべき手紙」 「学ぶべきこと」 「本を読む時間」 のように、 説明する部分が名詞の前に来る。
しかし英語では、 まず a letter / things / time と名詞を出し、 その後ろに不定詞を置いて説明を加える。
a letter to write
↓
手紙 + 書くべき
この語順の違いが、 不定詞の形容詞的用法で最初につまずきやすいところである。
something to drink は「飲むための何か」を表す
不定詞の形容詞的用法は、 something や anything、 nothing の後ろにもよく置かれる。
I want something to drink.
私は何か飲みものがほしいです。
something は「何か」、 to drink は「飲むための」と考えられる。
something to drink
飲むための何か
→ 何か飲みもの
日本語では 「何か飲むためのもの」 と毎回そのまま訳すより、 「何か飲みもの」 とするほうが自然である。
Do you have anything to eat?
何か食べるものを持っていますか。
I have nothing to do today.
私は今日、することが何もありません。
ここでも、 不定詞は anything や nothing の後ろから、 それがどのような「もの」や「こと」なのかを説明している。
anything to eat
食べるものなら何か
nothing to do
することは何もない
また、 something に 「冷たい」「おもしろい」のような説明も加えたいときは、 形容詞も something の後ろに置く。
I want something cold to drink.
私は何か冷たい飲みものがほしいです。
この文では、
something + cold + to drink
何か + 冷たい + 飲むための
という順で説明が加わっている。
日本語の 「冷たい飲みもの」 だけを見て語順を組み立てようとすると迷いやすいが、 英語ではまず something を置き、 その後ろに説明を足していくと考えると理解しやすい。
三つの不定詞は、文の中で説明する相手が違う
ここまでで、 不定詞の三つの基本的な働きがそろった。
同じ to read this book を使って、 違いを比べてみよう。
I want to read this book.
私はこの本を読みたいです。
この文では、 to read this book が 「この本を読むこと」を表し、 want の目的語になっている。
I went to the library to read this book.
私はこの本を読むために図書館へ行きました。
この文では、 to read this book が、 「何のために図書館へ行ったのか」を説明している。
I have a book to read.
私には読むべき本があります。
この文では、 to read が、 直前の a book を説明している。
名詞的用法:want to read this book
→ 何を望むのか
副詞的用法:went to the library to read this book
→ 何のために行ったのか
形容詞的用法:a book to read
→ どんな本なのか
「不定詞だから訳を一つ暗記する」 のではなく、 文の中で 何を説明しているのか を見ることが大切である。
動詞の後ろで 「〜すること」 になっているのか。
動作の後ろで 「〜するために」 と目的を加えているのか。
名詞の後ろで 「〜するための」「〜すべき」 と名詞を説明しているのか。
その位置と役割を見れば、 不定詞の意味は整理しやすくなる。
「〜すべき」と訳すか、「〜する」と訳すかは文脈で決まる
形容詞的用法の不定詞は、 教科書では 「〜するための」 「〜すべき」 と説明されることが多い。
ただし、 実際の日本語訳は、 文の内容に合わせて自然に選べばよい。
I have a lot of homework to do.
私にはするべき宿題がたくさんあります。
宿題は、 自分がしなければならないものなので、 「するべき宿題」 という意味が自然である。
I want something to drink.
私は何か飲みものがほしいです。
この文では、 「飲むべき何か」 と訳すと不自然である。 「飲むためのもの」 から、 自然な日本語として 「飲みもの」 とすればよい。
Ken had no time to read books.
健には本を読む時間がありませんでした。
ここでも、 「本を読むための時間」 と考えることはできるが、 日本語としては 「本を読む時間」 とするのが自然である。
つまり、 不定詞の形容詞的用法で重要なのは、 毎回同じ日本語を当てはめることではない。
名詞 + to + 動詞の原形
→ 後ろの不定詞が、前の名詞を説明している
という関係をつかみ、 文脈に合わせて 「〜するもの」 「〜するためのもの」 「〜すべきもの」 のように自然に読めることが大切である。
まとめ:名詞の後ろの不定詞は、その名詞の中身を説明する
今回の中心となる文を、 もう一度確認しよう。
I have a lot of homework to do.
私にはするべき宿題がたくさんあります。
この文の to do は、 homework の後ろに置かれ、 「どのような宿題か」を説明している。
I have a book to read.
私には読むべき本があります。
I want something to drink.
私は何か飲みものがほしいです。
I have nothing to do today.
私は今日、することが何もありません。
不定詞は、 動詞の目的語になったり、 動作の目的や感情の理由を加えたりするだけではない。
名詞の後ろに置かれて、 その名詞が 「何をするものなのか」 「何のためのものなのか」 を説明することもできる。
次は、 I need a chair to sit on. のように、 不定詞の最後に on のような前置詞が残る形を整理していこう。