前回は、 不定詞が名詞の後ろに置かれ、 その名詞を説明する形を見た。
I have a book to read.
私には読むべき本があります。
I want something to drink.
私は何か飲みものがほしいです。
to read は a book を、 to drink は something を、 後ろから説明している。
では、 次の文はどうだろうか。
I need a chair to sit on.
私には座るためのいすが必要です。
この文でも、 to sit on は a chair を後ろから説明している。
しかし、 to read や to drink と違って、 不定詞の最後に on という前置詞が残っている。
a book to read
a chair to sit on
なぜ、 a chair to sit ではなく、 a chair to sit on と言うのだろうか。
その理由は、 もとの関係に戻してみると分かりやすい。
I read a book.
私は本を読みます。
I sit on a chair.
私はいすに座ります。
read は、 そのまま後ろに a book を置ける。
一方、 sit と a chair の間には、 on が必要である。
だから、 a chair を先に出して不定詞で後ろから説明しても、 on は消えずに残るのである。
sit on a chair が、a chair to sit on になる
まずは、 ふつうの文から考えてみよう。
I sit on this chair.
私はこのいすに座ります。
この文では、 sit on というまとまりが、 「〜に座る」という関係を表している。
では、 「私は座るためのいすが必要です」 と言いたいときは、 まず必要なものとして a chair を置き、 その後ろから説明を加える。
I need a chair to sit on.
私には座るためのいすが必要です。
ここで、 a chair は、 もとの sit on a chair の中で、 on の後ろにあった語である。
sit on a chair
↓
a chair to sit on
説明したい名詞である a chair が前に出ても、 「いすに座る」という関係自体は変わらない。
その関係を示すために、 on が不定詞の最後に残る。
もし、 on を消してしまうと、
× I need a chair to sit.
となり、 「いすに座る」の に にあたる関係が表せなくなってしまう。
不定詞の形容詞的用法では、 名詞を先に置いたからといって、 もとの動詞と前置詞の関係まで消えるわけではない。
read a book には前置詞がなく、sit on a chair には前置詞がある
前置詞が最後に残るかどうかは、 不定詞だから特別に決まるのではない。
もともと、 その動詞が名詞とどのようにつながるかで決まる。
I read a book.
私は本を読みます。
read は、 「何を読むのか」を 前置詞なしで後ろに置くことができる。
a book to read
読む本
そのため、 不定詞で名詞を説明しても、 最後に前置詞は現れない。
I sit on a chair.
私はいすに座ります。
一方、 sit は、 いすをそのまま後ろに置いて sit a chair とは言えない。
「いすに座る」と言うためには、 sit on a chair という形にする必要がある。
a chair to sit on
座るためのいす
同じことは、 次のような表現でも起こる。
I write with a pen.
私はペンで書きます。
↓
I need a pen to write with.
私には書くためのペンが必要です。
They live in a house.
彼らは家に住んでいます。
↓
They need a house to live in.
彼らには住むための家が必要です。
We talk about these things.
私たちはこれらのことについて話します。
↓
We have many things to talk about.
私たちには話すべきことがたくさんあります。
with / in / about は、 いずれも、 もとの文で動詞と名詞をつないでいた前置詞である。
名詞を前に出して、 その後ろから不定詞で説明するときにも、 この前置詞は必要なまま残る。
どの前置詞が残るかは、表したい関係で決まる
では、 不定詞の最後には、 とりあえず何か前置詞を置けばよいのだろうか。
もちろん、 そうではない。
どの前置詞を使うかは、 その名詞と動詞の間に、 どのような関係を表したいかで決まる。
a chair to sit on
→ いすに座る:sit on a chair
a house to live in
→ 家に住む:live in a house
a pen to write with
→ ペンで書く:write with a pen
things to talk about
→ ことについて話す:talk about things
日本語では、 「座るためのいす」 「住む家」 「書くためのペン」 「話すこと」 のように訳すと、 英語の前置詞が見えにくくなることがある。
しかし、 英文を作るときには、 日本語訳だけを見て 前置詞を決めるのではなく、 まず 「もとの動作を英文でどう言うか」 を考えるとよい。
「座るためのいす」
→ いすに座る = sit on a chair
→ a chair to sit on
「書くためのペン」
→ ペンで書く = write with a pen
→ a pen to write with
前置詞のある不定詞は、 単に 「最後に on や with をつける形」 と覚えるより、 動詞と名詞のもとの関係を保っている形 と捉えるほうが理解しやすい。
もとの文に戻せば、前置詞が必要かどうかを確認できる
不定詞の形容詞的用法で、 前置詞が必要かどうか迷ったときは、 名詞をいったん動詞の後ろに戻して考えるとよい。
a book to read
→ read a book
→ 前置詞は必要ない
a chair to sit on
→ sit on a chair
→ on が必要
a pen to write with
→ write with a pen
→ with が必要
things to talk about
→ talk about things
→ about が必要
とくに注意したいのは、 同じ write でも、 何を説明するかによって形が変わることである。
I have a letter to write.
私には書くべき手紙があります。
この文は、 もとの関係が write a letter である。 a letter は「書くもの」なので、 前置詞は必要ない。
I need a pen to write with.
私には書くためのペンが必要です。
こちらは、 もとの関係が write with a pen である。 a pen は「それを使って書く道具」なので、 with が必要になる。
a letter to write
→ 手紙を書く:write a letter
a pen to write with
→ ペンで書く:write with a pen
「同じ動詞だから同じ形になる」 のではなく、 説明される名詞が、 その動作の中でどの役割を持つかを見ることが大切である。
まとめ:最後の前置詞は、もとの動詞との関係を示している
今回は、 不定詞の形容詞的用法で、 前置詞が最後に残る形を見てきた。
I need a chair to sit on.
私には座るためのいすが必要です。
この on は、 もとの sit on a chair という関係に必要な前置詞である。
a book to read
→ read a book
→ 前置詞なし
a chair to sit on
→ sit on a chair
→ on が残る
a house to live in
→ live in a house
→ in が残る
a pen to write with
→ write with a pen
→ with が残る
things to talk about
→ talk about things
→ about が残る
前置詞が最後にある英文を見ると、 日本語の語順とは大きく違うため、 最初は不自然に感じるかもしれない。
しかし、 名詞を前に出して説明しているだけで、 もとの sit on / live in / write with / talk about という関係は変わっていない。
不定詞の形だけを暗記するのではなく、 もとの文に戻して考えられるようになると、 最後の前置詞が必要な理由も見えるようになる。
次は、 playing tennis のように、 動詞に -ing をつけて 「〜すること」を表す 動名詞 を見ていこう。