中学英語でも高校英語でも、 第1文型 から 第5文型 という言葉が出てくる。
第1文型 S + V
第2文型 S + V + C
第3文型 S + V + O
第4文型 S + V + O + O
第5文型 S + V + O + C
こうして並べると、 まるで番号と記号を暗記する単元のように見えるかもしれない。 実際、文型の学習が苦手な人は、 「第何文型かを当てる問題」 という印象だけが残っていることも多い。
しかし、文型の本来の役割は、 英文を番号で分類することではない。
文型は、 その動詞の後ろに、何が必要なのかを見るための道具 である。
She smiled.
She looks happy.
She likes music.
She gave me a present.
She made me happy.
どの文にも主語と動詞がある。 しかし、動詞の後ろに続くものは同じではない。 何も必要ない動詞もあれば、 目的語が必要な動詞もある。 目的語のあとに、さらに説明が必要な動詞もある。
高校英文法では、 文型は中学よりもさらに大切になる。 不定詞、分詞、受動態、関係詞、英文解釈などを学ぶとき、 文型の見方が土台になるからである。
今回は、 第1文型から第5文型を、 暗記表としてではなく、 動詞の使い方を見るための見取り図 として整理しよう。
文型は、英文の中心を取り出すための道具
まず、文型で使う記号を確認しておこう。
S = Subject(主語)
V = Verb(動詞)
O = Object(目的語)
C = Complement(補語)
主語は、 文の中心になる人や物である。 動詞は、 その主語について、 動作や状態を表す。
Birds fly.
鳥は飛びます。
この文では、 Birds が主語、 fly が動詞である。 これだけで、文の中心は成り立っている。
一方、次の文ではどうだろうか。
She likes music.
彼女は音楽が好きです。
She likes だけでは、 「彼女は好きです」 となり、何が好きなのかが分からない。 そこで、 music という目的語が必要になる。
目的語とは、 動詞の動作や気持ちが向かう相手・対象である。
read a book
本を読む
watch TV
テレビを見る
need help
助けを必要とする
また、補語は、 主語や目的語について、 「どのようなものか」「どのような状態か」 を補って説明する語である。
He is a teacher.
彼は先生です。
この文では、 a teacher が主語 He を説明している。 つまり、 He = a teacher の関係がある。
She made me happy.
彼女は私を幸せにしました。
この文では、 happy が目的語 me の状態を説明している。 つまり、 me = happy の関係がある。
文型を見るときは、 まず英文の中心だけを取り出す。 場所、時、理由、方法などを表す修飾語は、 いったん外して考えると分かりやすい。
My brother studies English in his room after dinner.
中心:My brother studies English.
文型:S + V + O
in his room や after dinner は、場所や時を加えている。 大切な情報ではあるが、 文型の中心には入れない。
つまり文型は、 英文から余分な情報を消すためのものではない。 まず中心をつかみ、 そのあとで修飾語を戻して読むための道具なのである。
第1文型から第3文型は、動詞の後ろに何が続くかを見る
第1文型から第3文型は、 動詞の後ろに何が必要かを見ると整理しやすい。
第1文型 S + V
第2文型 S + V + C
第3文型 S + V + O
第1文型は、 主語と動詞だけで中心が成り立つ文である。
The baby cried.
その赤ちゃんは泣きました。
cry は、 「何を泣く」 とは言わない。 誰が泣いたのかが分かれば、 文の中心は成立する。
もちろん、第1文型にも修飾語はつく。
The baby cried loudly.
The baby cried in the room.
The baby cried last night.
しかし、 loudly や in the room や last night は、文の中心に必要なOやCではない。 動詞の様子、場所、時を加える修飾語である。
第2文型は、 主語について説明する補語が必要な文である。
She looks happy.
彼女は幸せそうに見えます。
She looks だけでは、 「彼女は見える」 となり、何のことか分かりにくい。 happy が続くことで、 主語の状態が説明される。
She = happy
→ happy は主語 She を説明している
look / sound / feel / become / get / seem などは、第2文型でよく使われる。 どれも、主語の状態や変化を説明する補語と結びつきやすい。
第3文型は、 動詞の対象になる目的語が必要な文である。
I bought a new bag.
私は新しいかばんを買いました。
bought は、 「何を買ったのか」 を必要とする。 そこで、 a new bag が目的語になる。
buy a bag
read a book
know the answer
visit Kyoto
第2文型と第3文型は、 どちらも動詞の後ろに何かが続く。 しかし、後ろに続く語の働きが違う。
She became a doctor.
→ She = a doctor
→ a doctor は補語
She met a doctor.
→ She ≠ a doctor
→ a doctor は目的語
同じ名詞が動詞の後ろにあっても、 それが主語を説明しているのか、 動詞の対象なのかで、 補語か目的語かが変わる。
第4文型と第5文型は、目的語のあとまで見る
第4文型と第5文型では、 動詞の後ろに二つの要素が続く。
第4文型 S + V + O + O
第5文型 S + V + O + C
どちらも見た目は、 動詞の後ろに語が二つ並んでいる。 そのため、混乱しやすい。
第4文型は、 「人に、物を」 のように、目的語が二つ並ぶ文である。
My father gave me a book.
父は私に本をくれました。
この文では、 me が「だれに」、 a book が「何を」にあたる。 どちらも動詞 gave の目的語である。
gave me a book
→ 私に、本を与えた
第4文型は、 前置詞を使って第3文型に書きかえられることが多い。
My father gave me a book.
My father gave a book to me.
ここで大切なのは、 「第4文型だから to に書きかえる」 と丸暗記することではない。 動詞が、 だれに何を渡すのか という関係を作っていると見ることである。
一方、第5文型は、 目的語のあとに、 その目的語を説明する補語が続く文である。
We call him Ken.
私たちは彼をケンと呼びます。
この文では、 him が目的語、 Ken が補語である。 him = Ken という関係がある。
We call him Ken.
→ him = Ken
次の文も第5文型である。
The news made me sad.
その知らせは私を悲しくさせました。
me が目的語、 sad が目的語の状態を説明する補語である。
me = sad
→ sad は目的語 me を説明している
第4文型と第5文型を見分けるときは、 動詞の後ろの二つの語の関係を見る。
My father gave me a book.
→ me ≠ a book
→ O + O
We call him Ken.
→ him = Ken
→ O + C
つまり、第4文型は 人と物 が並びやすい。 第5文型は、 目的語とその説明 が並ぶ。
ここが分かると、 高校英文法で出てくる使役動詞や知覚動詞も見通しやすくなる。
My mother made me clean my room.
I saw him cross the street.
これらも、 目的語のあとに、 その目的語がする動作や状態を続けて説明している。 中学で学んだ文型は、 高校英文法の入口でそのまま生きてくる。
文型を覚えるより、動詞の使い方を覚える
文型を学ぶときに注意したいのは、 文型だけを独立して暗記しようとしないことである。
実際の英文では、 同じ動詞でも、 使い方によって文型が変わることがある。
He runs fast.
彼は速く走ります。
He runs a restaurant.
彼はレストランを経営しています。
一つ目の runs は、 走るという動作を表しており、 fast はその動作の様子を説明している。 中心は S + V である。
二つ目の runs は、 「経営する」 という意味で、 a restaurant という目的語を取っている。 中心は S + V + O である。
つまり、 「run は第何文型」 と覚えるのではなく、 その文の中で run がどのように使われているか を見る必要がある。
また、文型を考えるときは、 修飾語を目的語や補語と混同しないことも大切である。
She studies English at school every day.
この文の中心は、 She studies English. である。 at school と every day は、場所と時を加える修飾語である。
She studies English.
→ S + V + O
at school / every day
→ 修飾語
高校英文法では、 句や節が長くなり、 修飾語もどんどん増える。 そのとき、文型の見方があると、 文の中心を見失いにくくなる。
The book that I bought yesterday was very interesting.
この文では、 that I bought yesterday が The book を説明している。 しかし文全体の中心は、 次の形である。
The book was interesting.
→ S + V + C
関係代名詞のまとまりが入っていても、 文の中心は S + V + C と見ることができる。
文型は、 英文を五つの箱に無理やり入れるためのものではない。 動詞を中心に、 その後ろに何が必要なのか、 どの語がどの語を説明しているのかを見るための道具である。
第1文型は、動詞だけで中心が成り立つ。 第2文型は、主語を説明する補語が続く。 第3文型は、動詞の対象になる目的語が続く。 第4文型は、目的語が二つ続く。 第5文型は、目的語とその説明が続く。
この見方ができると、 高校英文法で出てくる長い英文も、 まず中心を取り出して読めるようになる。 文型は、英文法を番号で覚えるためのものではなく、 英文の骨組みを見るための土台なのである。