英文法で文型を学ぶとき、 多くの人が一度は迷うのが、 目的語 と 補語 の違いである。
I like music.
私は音楽が好きです。
I am happy.
私は幸せです。
どちらも、 動詞の後ろに語が続いている。 しかし、 music と happy は、 文の中で同じ働きをしているわけではない。
music は、 like という動作・気持ちの対象である。 何が好きなのかを表している。 これは目的語である。
一方、 happy は、 I がどのような状態なのかを説明している。 「私=幸せな状態」と見ることができる。 これは補語である。
中学英文法では、 文型の中で O や C という記号として学ぶことが多い。 しかし高校英文法に進むと、 この違いは、 文型だけでなく、 不定詞、分詞、受動態、英文解釈にも関わってくる。
今回は、 目的語と補語を、 動作の対象か、説明なのか という視点から整理しよう。
目的語は、動詞の対象を表す
まず、 目的語から確認しよう。
I like music.
私は音楽が好きです。
この文では、 like の後ろに music が置かれている。 music は、 「何が好きなのか」を表している。
I read a book.
私は本を読みます。
この文では、 a book が read の対象である。 何を読むのかを表している。
She opened the door.
彼女はドアを開けました。
ここでは、 the door が opened の対象である。 何を開けたのかを表している。
このように、 目的語は、 動詞が表す動作・気持ち・働きの 向かう先 になる。
like music
→ 音楽を好きである
read a book
→ 本を読む
open the door
→ ドアを開ける
日本語では、 「〜を」にあたることが多い。 ただし、 日本語訳だけで判断すると危ない場合もある。
I entered the room.
私は部屋に入りました。
日本語では「部屋に」と訳すが、 英語では enter の後ろに the room を直接置いている。 したがって、 the room は目的語である。
目的語を見分けるときは、 日本語の助詞だけではなく、 英語の中で 動詞の対象になっているか を見る必要がある。
補語は、主語や目的語を説明する
次に、 補語を見てみよう。
I am happy.
私は幸せです。
この文の happy は、 am の対象ではない。 「幸せをする」と考えるわけではない。
happy は、 I の状態を説明している。 つまり、 I = happy という関係がある。
He became a teacher.
彼は先生になりました。
この文の a teacher も、 became の対象ではない。 彼が何になったのかを説明している。
He = a teacher
彼は先生である状態になった
このように、 主語を説明する補語を、 主格補語 と呼ぶことがある。 第2文型の SVC の C がこれにあたる。
You look tired.
あなたは疲れているように見えます。
The soup smells good.
そのスープはよいにおいがします。
It got dark.
暗くなりました。
tired / good / dark は、 それぞれ主語の状態や性質を説明している。 どれも、 動作の対象というより、 主語がどのような状態なのか を表している。
補語は、 名詞になることもあれば、 形容詞になることもある。
He is a doctor.
→ a doctor は名詞の補語
He is kind.
→ kind は形容詞の補語
大切なのは、 品詞名だけではなく、 その語が何を説明しているのか を見ることである。
目的語と補語は、イコール関係で見分ける
目的語と補語を見分けるとき、 便利な目安になるのが、 イコール関係 である。
I like music.
私は音楽が好きです。
この文では、 I = music とは言えない。 私が音楽そのものになるわけではない。 music は、 like の対象である。 だから目的語である。
I am happy.
私は幸せです。
この文では、 I = happy という関係で見ることができる。 happy は私の状態を説明している。 だから補語である。
She became a singer.
彼女は歌手になりました。
この文でも、 She = a singer と見ることができる。 したがって、 a singer は補語である。
She bought a guitar.
彼女はギターを買いました。
一方、 この文では、 She = a guitar ではない。 a guitar は、 買う対象である。 したがって目的語である。
ただし、 イコール関係は、 数学の完全な等号というより、 説明関係 を見るための目安である。
The news made me happy.
その知らせは私を幸せにしました。
この文では、 me は made の目的語である。 そして、 happy は me がどのような状態になったのかを説明している。
me = happy
私が幸せな状態になった
このように、 第5文型では、 補語が主語ではなく、 目的語を説明する ことがある。 これを 目的格補語 と呼ぶことがある。
We call him Ken.
私たちは彼を健と呼びます。
They made the room clean.
彼らは部屋をきれいにしました。
I found the book interesting.
私はその本が面白いと分かりました。
それぞれ、 him = Ken、 the room = clean、 the book = interesting という説明関係がある。 後ろの語は、 目的語をさらに説明しているのである。
OかCかを見ると、英文の骨組みが見える
目的語と補語の違いは、 単なる文法用語の違いではない。 英文の骨組みを読むうえで、 とても大きな差になる。
I found the key.
私は鍵を見つけました。
I found the story interesting.
私はその話が面白いと分かりました。
1つ目の文では、 the key が found の目的語である。 「鍵を見つけた」という文である。
2つ目の文では、 the story が目的語で、 interesting がその目的語を説明している。 「その話を面白いと分かった」という文である。
この違いを見落とすと、 長い英文で、 どこまでが動詞の対象で、 どこからが説明なのか分からなくなる。
We elected him captain.
私たちは彼をキャプテンに選びました。
この文では、 him が目的語で、 captain が目的語を説明する補語である。 him = captain という関係が成り立つ。
高校英文法では、 このような SVOC の文が、 知覚動詞・使役動詞・分詞・受動態とつながっていく。
I saw him cross the street.
私は彼が通りを渡るのを見ました。
My mother made me clean my room.
母は私に部屋を掃除させました。
ここでも、 him や me が目的語で、 その後ろの動詞の原形が、 目的語の動作を説明している。 つまり、 補語的な働きをしている。
目的語は、 動詞の対象を表す。 補語は、 主語や目的語を説明する。 この違いが見えると、 文型はただの番号ではなくなる。
英文を読むときは、 動詞の後ろを見て、 次のように考えるとよい。
これは動詞の対象か。
それとも、主語や目的語を説明しているのか。
対象なら目的語。
説明なら補語。
この見方を身につけると、 文型、品詞、準動詞、受動態、英文解釈が、 ばらばらの暗記事項ではなく、 一つの英文の骨組みとしてつながってくる。