中学英語では、 受動態 を be動詞 + 過去分詞 の形として学ぶ。
English is spoken in many countries.
英語は多くの国で話されています。
This picture was painted by my sister.
この絵は私の姉によって描かれました。
最初は、 「〜される」 という訳で覚えてもよい。 実際、受け身の入口では、 その理解が大切である。
ただし、高校英文法に進むと、 受動態はもう少し広く扱われる。
My father gave me a watch.
→ I was given a watch by my father.
They call him Ken.
→ He is called Ken.
ここでは、 ただ be動詞 + 過去分詞 を作るだけではなく、 文型の中で何が主語に出ているのかを見なければならない。
受動態は、 文の中心を、 動作をする側 から 動作を受ける側 へ移す形である。
そのため、 文型と結びつけると、 受動態はかなり整理しやすくなる。
今回は、 第3文型・第4文型・第5文型を中心に、 受動態を文型から見直す ことにしよう。
第3文型では、目的語が受動態の主語になる
まず、 いちばん基本的な受動態から確認しよう。
My sister painted this picture.
私の姉はこの絵を描きました。
この文は、 主語 + 動詞 + 目的語 の第3文型である。
My sister / painted / this picture
S / V / O
能動態では、 my sister が主語で、 this picture が目的語である。
では、 「この絵」を主語にして言いたいときはどうするか。
This picture was painted by my sister.
この絵は私の姉によって描かれました。
もとの文の目的語だった this picture が、 受動態では主語になっている。
能動態:My sister painted this picture.
→ 動作をする人を主語にする
受動態:This picture was painted by my sister.
→ 動作を受けるものを主語にする
ここで大切なのは、 受動態が単なる書きかえではないということである。
能動態は、 だれがしたのか に注目している。
受動態は、 何がされたのか に注目している。
だから、 受動態を作るときは、 まず文の中の目的語を探すとよい。
People use this room every day.
→ This room is used every day.
Many students read this book.
→ This book is read by many students.
Someone broke the window.
→ The window was broken.
もとの文で目的語になっていたものが、 受動態では主語に出る。
反対に、 目的語をもたない自動詞は、 基本的にはそのまま受動態にできない。
He arrived at the station.
→ arrive は目的語を直接取っていない
受動態にできるかどうかは、 「日本語で受け身っぽく訳せるか」ではなく、 英語の文の中に目的語があるか という点から見る必要がある。
第4文型では、二つの目的語のどちらを主語にするかを見る
次に、 第4文型の受動態を見よう。
My father gave me a watch.
私の父は私に腕時計をくれました。
この文は、 主語 + 動詞 + 目的語 + 目的語 の形である。
My father / gave / me / a watch
S / V / O / O
第4文型では、 目的語が二つある。
そのため、 どちらを主語にするかによって、 受動態の形が変わる。
I was given a watch by my father.
私は父に腕時計をもらいました。
A watch was given to me by my father.
腕時計が父によって私に与えられました。
どちらも文法的には受動態である。 ただし、 普段の英語として自然かどうかは、 文脈によって変わる。
I was given a watch. は、 「私は腕時計をもらった」 という形で使いやすい。
一方、 A watch was given to me. は、 「腕時計」のほうを話題にしたいときに使われる。
能動態:My father gave me a watch.
→ 目的語が二つある
受動態:I was given a watch.
→ 人を主語にする
受動態:A watch was given to me.
→ ものを主語にする
ここで、 to me が出てくることにも注意したい。
第4文型は、 第3文型に書きかえることができる。
My father gave me a watch.
→ My father gave a watch to me.
ものを主語にして受動態にすると、 後ろに to me のような前置詞句が残りやすい。
同じように、 次のような文も考えられる。
She sent me an email.
→ I was sent an email.
→ An email was sent to me.
He bought me a ticket.
→ I was bought a ticket.
→ A ticket was bought for me.
ただし、 すべての第4文型が同じ自然さで受動態にできるわけではない。 高校英文法では、 まず 目的語が二つあるから、主語に出せる候補も二つある という構造を理解することが大切である。
第5文型では、目的語と補語の関係が受動態にも残る
次に、 第5文型の受動態を見よう。
They call him Ken.
彼らは彼をケンと呼びます。
この文は、 主語 + 動詞 + 目的語 + 補語 の第5文型である。
They / call / him / Ken
S / V / O / C
ここでは、 him = Ken の関係がある。
つまり、 Ken は、 動作の対象ではなく、 him を説明する補語である。
この文を受動態にすると、 目的語だった him が主語になる。
He is called Ken.
彼はケンと呼ばれています。
ここで、 Ken は消えない。 なぜなら、 Ken は、 受動態になった後も、 主語になった He を説明する語として必要だからである。
They call him Ken.
→ He is called Ken.
第5文型の受動態では、 目的語が主語に出るが、 補語はその説明として残る。
同じ仕組みで、 次のような文も考えられる。
We elected her captain.
→ She was elected captain.
They made him leader.
→ He was made leader.
The news made us happy.
→ We were made happy by the news.
ここで見たいのは、 目的語と補語の関係 である。
her = captain
him = leader
us = happy
受動態では、 もとの目的語が主語になる。 しかし、 その主語を説明する補語は残る。
だから、 第5文型の受動態は、 O = C の関係を保ったまま、O を主語に出す形 と見るとよい。
群動詞の受動態では、前置詞までひとかたまりで見る
最後に、 群動詞の受動態を見ておこう。
Everyone laughed at him.
みんなが彼を笑いました。
この文では、 laughed だけを見ると自動詞のように見える。
しかし、 laugh at で、 「〜を笑う」 というまとまりとして働いている。
そのため、 受動態にするときも、 at を落としてはいけない。
He was laughed at by everyone.
彼はみんなに笑われました。
日本語だけを見ると、 「彼は笑われた」 で十分に見えるかもしれない。
しかし英語では、 もとのまとまりが laugh at なので、 受動態でも at が残る。
They looked after the child.
→ The child was looked after.
Someone spoke to me.
→ I was spoken to.
Many people talked about the problem.
→ The problem was talked about.
これらは、 動詞と前置詞を切り離さず、 ひとかたまりとして見る必要がある。
受動態を文型から見ると、 次のように整理できる。
第3文型
→ 目的語を主語にする
第4文型
→ 二つの目的語のどちらを主語にするかを見る
第5文型
→ 目的語を主語にし、補語は説明として残る
群動詞
→ 動詞と前置詞をひとかたまりで受動態にする
受動態は、 be動詞 + 過去分詞 という形だけで終わる単元ではない。
どの文型で、 何が目的語で、 何が補語なのか。 そこを見て初めて、 受動態の形がきちんと決まる。
高校英文法では、 「受け身だから be動詞 + 過去分詞」 と覚えるだけではなく、 文の構造を変えて、どの情報を主語に出しているのか を見ることが大切になる。
受動態を文型から見直すことは、 英文法を暗記から構造理解へ進めるための、 かなり大きな一歩なのである。