前回は、 分詞構文 の基本を確認した。
Walking along the street, I met my teacher.
通りを歩いていると、私は先生に会いました。
この文では、 Walking along the street が、 I met my teacher という主節に状況を添えている。
では、次の文はどうだろうか。
Having finished my homework, I went to bed.
宿題を終えたので、私は寝ました。
ここでは、 Finishing my homework ではなく、 Having finished my homework という形になっている。
この having + 過去分詞 は、 分詞構文の中で 主節より前に起きたこと を表すための形である。
今回は、 完了形の分詞構文を、 「難しい特殊表現」としてではなく、 出来事の時間関係をはっきりさせる形 として整理していこう。
普通の分詞構文は、主節と同じ時間帯の状況を添えやすい
まず、普通の分詞構文から確認しよう。
Walking along the street, I met my teacher.
これは、もとの形で考えると、 次のように見ることができる。
When I was walking along the street, I met my teacher.
私が通りを歩いていたとき、先生に会いました。
「通りを歩いていること」と 「先生に会ったこと」は、 同じ時間帯で起きている。
そのため、 分詞構文では Walking という現在分詞を使って、 主節に状況を添えている。
Walking along the street, I met my teacher.
→ 歩いている状況の中で、先生に会った
ほかにも、 次のような文を考えることができる。
Listening to music, I cleaned my room.
音楽を聞きながら、私は部屋を掃除しました。
ここでも、 「音楽を聞いていること」と 「部屋を掃除したこと」は、 同じ時間帯に重なっている。
もちろん、普通の分詞構文がいつも完全に同時だけを表すわけではない。 しかし、高校英文法の入口では、 まず 普通の分詞構文は、主節と近い時間関係の状況を添える形 と押さえるとよい。
そのうえで、 主節より前に終わっている出来事をはっきり示したいときに、 having + 過去分詞 が使われる。
Having finished は、主節より前に終わったことを表す
次の文を見てみよう。
Having finished my homework, I went to bed.
この文では、 先に 宿題を終えた という出来事があり、 そのあとで 寝た という出来事が起きている。
1. I finished my homework.
2. I went to bed.
つまり、 finished my homework は、 主節の went to bed より前の出来事である。
この時間差を分詞構文の中で示すために、 Having finished という形を使う。
Having finished my homework, I went to bed.
Having + 過去分詞
→ 主節より前に終わったこと
もとの文に近い形で書けば、 次のように考えられる。
After I had finished my homework, I went to bed.
私は宿題を終えたあと、寝ました。
ここで had finished が使われているのは、 「寝た」という過去の出来事よりも、 「宿題を終えた」ことのほうが前だからである。
完了形の分詞構文 Having finished my homework は、 この had finished の時間関係を、 分詞構文の中に持ち込んだ形だと考えると分かりやすい。
After I had finished my homework, I went to bed.
→ Having finished my homework, I went to bed.
つまり、 Having finished は、 「完了しているから丁寧」なのではない。 主節より前に起きたことを表すために、 having + 過去分詞 になっているのである。
having + 過去分詞は、過去完了とつながっている
完了形の分詞構文は、 過去完了とつなげて考えると理解しやすい。
When I arrived at the station, the train had already left.
私が駅に着いたとき、その電車はすでに出発していました。
この文では、 「駅に着いた」という過去の時点よりも前に、 「電車が出発した」という出来事が起きている。
このように、 過去のある時点よりさらに前のことを表すとき、 had + 過去分詞 を使う。
分詞構文でも、考え方は似ている。
Having lost my key, I couldn't enter the room.
鍵をなくしてしまったので、私は部屋に入れませんでした。
この文では、 先に 鍵をなくした という出来事があり、 その結果として 部屋に入れなかった という出来事が続いている。
Because I had lost my key, I couldn't enter the room.
→ Having lost my key, I couldn't enter the room.
このように、 having + 過去分詞 は、 主節より前に起きた出来事を背景として添える。
もう一つ例を見よう。
Having read the book before, I knew the ending.
以前その本を読んだことがあったので、私は結末を知っていました。
「本を読んだことがある」は、 「結末を知っていた」より前の経験である。 その前の経験が、 主節の内容を説明している。
ここでも、 Having read the book before は、 主節より前のことを示している。
Having finished ...
Having lost ...
Having read ...
→ いずれも、主節より前に起きたことを表す
高校英文法では、 形の名前だけを覚えるより、 どの出来事が先で、どの出来事が後なのか を見ることが大切である。
完了形の分詞構文は、主節との時間差をはっきりさせる
分詞構文では、 接続詞が省かれるため、 意味の関係を文脈から読む必要がある。
Having finished my homework, I went to bed.
この文は、 「宿題を終えたあとで寝た」と読むこともできるし、 「宿題を終えたので寝た」と読むこともできる。
つまり、 完了形の分詞構文は、 After なのか Because なのかを一語で固定する表現ではない。
ただし、どちらに読んでも、 共通していることがある。 それは、 宿題を終えたことが、寝たことより前にある という点である。
Having finished my homework
→ 寝るより前に、宿題を終えている
したがって、 完了形の分詞構文でまず見るべきなのは、 日本語訳の細かい言い分けよりも、 主節との時間差 である。
普通の分詞構文なら、 主節と同じ時間帯の状況を添えることが多い。
Walking along the street, I met my teacher.
→ 歩いているときに、先生に会った
一方、完了形の分詞構文なら、 主節より前に起きたことを添える。
Having finished my homework, I went to bed.
→ 宿題を終えたあとで、寝た
この違いを押さえると、 having + 過去分詞 は急に見慣れない形ではなくなる。 不定詞の完了形、動名詞の完了形、過去完了と同じように、 一つ前の時間を表すための完了形 として見えてくる。
高校英文法では、 同じ「完了」の考え方が、 さまざまな形に入り込む。 to have + 過去分詞、 having + 過去分詞、 had + 過去分詞 は、別々の暗記事項ではなく、 時間関係を表す共通した仕組みとしてつながっているのである。