前回は、 仮定法過去完了 を扱った。
If I had known your address, I would have visited you.
もしあなたの住所を知っていたら、私はあなたを訪ねていただろう。
この文では、 過去の事実とは違うこと を仮に考えていた。
今回は、 仮定法のもう一つの大切な形である as if + 仮定法 を見ていこう。
He talks as if he knew everything.
彼はまるで何でも知っているかのように話します。
この文で気になるのは、 knew である。
現在の話をしているのに、 なぜ knows ではなく knew になるのだろうか。
ここでも、 過去形は単なる「過去」ではない。 現実から少し離れた内容、 つまり 実際にはそうではない、またはそうとは限らないこと を表すために使われている。
今回は、 as if が作る「まるで〜のように」という形を、 仮定法の流れの中で整理しよう。
as if は「まるで〜のように」を表す
まず、 as if の基本を確認しよう。
He talks as if he knew everything.
彼はまるで何でも知っているかのように話します。
as if は、 「まるで〜であるかのように」 という意味を表す。
前半の He talks が、実際の様子を述べている部分である。 そのあとに、 as if he knew everything を加えて、 その話し方がどのように見えるのかを説明している。
He talks.
彼は話す。
He talks as if he knew everything.
彼は、まるで何でも知っているかのように話す。
ここで大切なのは、 as if の中身が、 本当にそうだと言い切っているわけではないという点である。
この文は、 「彼は本当に何でも知っている」 と言っているのではない。
むしろ、 「本当は何でも知っているわけではないのに、 そう見えるような話し方をする」 という感じである。
そのため、 knew という過去形が使われる。 この過去形は、 時間として過去を表しているというより、 現実からの距離 を表している。
He knows everything.
彼は何でも知っている。
He talks as if he knew everything.
彼は、まるで何でも知っているかのように話す。
上の文では、 knows は普通の現在形で、 現在の事実として述べている。
一方、 as if he knew everything では、 その内容を現実の事実としてではなく、 「そうであるかのように」 という距離のある見方で述べている。
ここで、 仮定法過去の基本がつながる。
If I were you, I would study harder.
もし私があなたなら、もっと一生懸命勉強するでしょう。
He talks as if he knew everything.
彼は、まるで何でも知っているかのように話す。
どちらも、 現在の事実そのものを述べているのではなく、 現実とは違う、または現実から離れた内容 を表している。
as if の中で過去形を使うと、現実とは違う感じが出る
もう少し例を見てみよう。
She acts as if she were a queen.
彼女はまるで女王であるかのように振る舞います。
この文では、 彼女が本当に女王であると言っているわけではない。
現実には女王ではないが、 振る舞いがまるで女王のようだ、 という意味である。
そのため、 she is a queen ではなく、 she were a queen という仮定法の形になる。
She is a queen.
彼女は女王です。
She acts as if she were a queen.
彼女は、まるで女王であるかのように振る舞います。
is を使えば、 それを事実として述べる感じになる。 were を使うと、 現実とは違うものとして距離を置いている感じになる。
この were は、 article324 で扱った If I were you と同じ考え方である。
If I were you, ...
もし私があなたなら、……。
as if she were a queen
まるで彼女が女王であるかのように
どちらも、 現実にはそうではないことを、 仮にそうであるかのように考えている。
ただし、 as if の文は、 いつも必ず現実と違う内容だけを表すわけではない。
It looks as if it is going to rain.
雨が降りそうに見えます。
この文では、 実際に雨が降る可能性がある。 空の様子を見て、 そのように見えると言っている。
このように、 現実にあり得ることとして述べるなら、 as if + 普通の時制 になることもある。
It looks as if it is going to rain.
→ 実際に雨が降りそうだ
He talks as if he knew everything.
→ 実際には何でも知っているわけではなさそうだ
つまり、 as if の後ろが必ず仮定法になるのではない。 現実にありそうなことなら普通の時制、 現実とは違う感じを出すなら仮定法になる。
過去のことなら as if + had + 過去分詞になる
as if では、 過去の事実と違うことを表すこともある。
He looked as if he had seen a ghost.
彼はまるで幽霊を見たかのような顔をしていました。
この文では、 had seen が使われている。
これは、 「幽霊を見た」 という出来事が、 looked より前にあるように表されているからである。
He looked pale.
彼は青ざめて見えた。
He had seen a ghost.
彼は幽霊を見ていた。
He looked as if he had seen a ghost.
彼はまるで幽霊を見たかのように見えた。
ただし、 この文も、 本当に幽霊を見たと断定しているわけではない。
見た目があまりに青ざめていたので、 「まるで幽霊でも見たかのようだ」 と言っているのである。
ここで、 前回の仮定法過去完了とつながる。
If I had known your address, I would have visited you.
もしあなたの住所を知っていたら、私はあなたを訪ねていただろう。
He looked as if he had seen a ghost.
彼はまるで幽霊を見たかのように見えた。
どちらも、 had + 過去分詞 を使っている。
仮定法過去完了では、 過去の事実と違う仮定を表した。 as if + had + 過去分詞 でも、 過去にそうであったかのような様子を表す。
もう一つ例を見てみよう。
She spoke as if she had known the truth.
彼女はまるで真実を知っていたかのように話しました。
この文では、 話した時点より前に、 「真実を知っていた」 かのような様子を表している。
実際に知っていたかどうかは、 この文だけでは断定していない。 重要なのは、 話し方がそのように見えた、 ということである。
as if he knew everything
→ 今、何でも知っているかのように
as if he had seen a ghost
→ その前に幽霊を見たかのように
現在の事実と違う感じなら、 as if + 過去形。 過去の事実と違う感じなら、 as if + had + 過去分詞。
この対応を押さえると、 仮定法過去と仮定法過去完了が、 if節 だけでなく、 as if の中でも使われることが見えてくる。
as if は「事実」ではなく「見え方・話し方」を添える
最後に、 as if の文を読むときの見方を整理しよう。
as if は、 ある動作や様子に対して、 「どんなふうに見えるか」 「どんなふうに聞こえるか」 「どんな態度に見えるか」 を添える表現である。
He talks as if he knew everything.
→ 話し方が、何でも知っているように見える
She acts as if she were a queen.
→ 振る舞いが、女王であるように見える
He looked as if he had seen a ghost.
→ 見た目が、幽霊を見た後のように見える
どの文でも、 as if の中身は、 事実そのものを報告するというより、 前半の動作や様子を説明している。
そのため、 英文を読むときは、 まず前半の中心を押さえるとよい。
He talks.
She acts.
He looked.
そのうえで、 as if ... が、 「どのように話すのか」 「どのように振る舞うのか」 「どのように見えたのか」 を添えていると考える。
高校英文法では、 仮定法を if の中だけの特別な形 として覚えてしまうと、 as if や I wish が出てきたときに混乱しやすい。
しかし、 見方は共通している。
If I were you, ...
→ 現実とは違う立場を仮定する
I wish I could speak English well.
→ 今そうではない願いを表す
He talks as if he knew everything.
→ 現実とは違う様子を、そうであるかのように表す
共通しているのは、 現実から離れた内容を表すために、時制を一つずらす という感覚である。
だから、 knew や were を見たときに、 すぐに「過去」と決めつけないことが大切である。
as if の中で過去形が使われていたら、 それは時間としての過去ではなく、 現実とは違うことを、まるでそうであるかのように表している 可能性がある。
形だけを見ると、 as if は少し難しく見える。 しかし、 「実際の様子」 に対して、 「まるで〜のように」 という見え方を添える表現だと考えれば、 仮定法全体の流れの中で理解しやすくなる。