塾長ノート

Not all students like English. はなぜ「全員が好きではない」ではないのか

not と all の組み合わせから、部分否定を読み取る

英語の否定文は、 ただ not が入っているかどうかだけを見ればよいわけではない。

Not all students like English.
すべての生徒が英語を好きというわけではありません。

この文を見たとき、 日本語の語順に引っ張られて、 「全員が英語を好きではない」 と読んでしまうことがある。

しかし、 Not all students like English. は、 「全員が英語を嫌いだ」 という意味ではない。

正しくは、 全員が好きというわけではない という意味である。 つまり、好きな生徒もいるかもしれないが、 全員ではない、という読み方になる。

Not all students like English.
→ 全員が英語を好きというわけではない
→ 英語が好きではない生徒もいる

このように、 all / every / both / always のように「全体」を表す語と、 not が組み合わさると、 「全部ではない」 という意味になることがある。

これを、英文法では 部分否定 と呼ぶ。

今回は、部分否定を、 「否定文の訳し方」だけでなく、 not がどの範囲を否定しているのか という視点から整理しよう。

Not all は、「すべてが〜ではない」ではなく「すべてではない」

まず、 all を使った文を比べよう。

All students like English.
すべての生徒が英語を好きです。

この文では、 生徒全体について、 英語を好きだと言っている。

では、ここに not がつくとどうなるだろうか。

Not all students like English.
すべての生徒が英語を好きというわけではありません。

ここで否定されているのは、 「英語を好きだ」 という内容そのものではなく、 all students という全体の言い方である。

つまり、 「すべての生徒が好きだ」 という言い切りを否定している。

All students like English.
→ 全員が好き

Not all students like English.
→ 全員が好き、とは言えない

したがって、 Not all students like English. は、 「全員が嫌い」 ではなく、 好きではない生徒もいる という意味になる。

日本語でも、 「全員が賛成しているわけではない」 と言えば、 「全員が反対している」 という意味にはならない。

全員が賛成しているわけではない
→ 賛成していない人もいる
→ でも、賛成している人がいてもよい

英語の not all も、これに近い。 全体を否定しているのではなく、 全体に当てはまるとは限らない と言っているのである。

every / both / always も、not と組むと部分否定になりやすい

部分否定は、 all だけで起こるわけではない。

every も、全体を表す語である。

Every student understood the question.
すべての生徒がその質問を理解しました。

これに not が関わると、 次のような意味になる。

Not every student understood the question.
すべての生徒がその質問を理解したわけではありません。

これも、 「どの生徒も理解しなかった」 ではない。 理解した生徒もいるかもしれないが、 全員ではなかった、という意味である。

both も注意したい。

Both of them are kind.
彼らは二人とも親切です。
Not both of them are kind.
彼らの二人ともが親切というわけではありません。

この文は、 「二人とも親切ではない」 とは限らない。 一人は親切かもしれないが、 二人とも親切とは言えない、という意味になる。

また、 always も部分否定を作りやすい語である。

He is always right.
彼はいつも正しい。
He is not always right.
彼はいつも正しいとは限りません。

not always は、 「いつも正しくない」 ではない。 正しいときもあるが、 いつも正しいわけではない、という意味である。

not all
→ すべてが〜というわけではない

not every
→ すべての〜が…というわけではない

not both
→ 両方とも〜というわけではない

not always
→ いつも〜というわけではない

このように、 全体・両方・いつも を表す語が not と組み合わさると、 「全部を否定する」 のではなく、 「全部ではない」 という読み方になることが多い。

全部否定にしたいときは、no / none / neither / never を使う

部分否定と区別したいのが、 全部否定 である。

たとえば、 「どの生徒も英語を好きではない」 と言いたいなら、 次のような形を使う。

No students like English.
どの生徒も英語を好きではありません。

これは、 好きな生徒が一人もいないという意味である。

Not all students like English.
→ 全員が好きというわけではない
→ 好きな生徒がいてもよい

No students like English.
→ どの生徒も好きではない
→ 好きな生徒はいない

同じように、 none は、 「一つもない」「一人もいない」 という全部否定を表す。

None of the students understood the question.
生徒のだれもその質問を理解しませんでした。

not every student なら、理解しなかった生徒もいるという意味だが、 none of the students なら、理解した生徒はいない。

二つのものを否定する場合は、 neither を使う。

Neither of them came to the party.
彼らのどちらもパーティーに来ませんでした。

これは、二人とも来なかったという意味である。

Not both of them came to the party.
→ 二人とも来たわけではない
→ 一人は来たかもしれない

Neither of them came to the party.
→ 二人とも来なかった

頻度を全部否定したいなら、 never を使う。

He is not always right.
彼はいつも正しいとは限りません。

He is never right.
彼は決して正しくありません。

not always は「いつもではない」。 never は「一度もない」。 ここを混同すると、意味が大きく変わる。

否定文では、not がどこまで届いているかを見る

部分否定を読むときに大切なのは、 not があるから否定文 とだけ考えないことである。

見るべきなのは、 not がどの語と組み合わさっているのか である。

not all
not every
not both
not always
not necessarily

これらは、 「全部だ」「いつもだ」「必ずだ」 という言い方を弱める働きをする。

This answer is not necessarily wrong.
この答えは必ずしも間違っているとは限りません。

この文も、 「この答えは間違っていない」 と完全に言い切っているわけではない。 「必ず間違っているとは限らない」 という、少し控えめな判断である。

高校英文法や英文解釈では、 このような否定の範囲が重要になる。 とくに長い英文では、 not だけを見て訳すと、 文全体の意味を逆に取ってしまうことがある。

まずは、次のように整理しておこう。

部分否定
→ 全部ではない、いつもではない、必ずしもではない

全部否定
→ 一つもない、だれも〜ない、決して〜ない

Not all students like English. は、 英語を好きな生徒が一人もいない、という文ではない。 「全員が好き」という言い方を否定し、 好きではない生徒もいることを示している。

否定文では、 何が否定されているのか を見る。 その意識があると、部分否定だけでなく、 高校英文法で出てくる否定表現全体を読みやすくなる。

学習塾Study+から

学習塾Study+では、否定表現を「not があるから否定」とだけ見るのではなく、 何がどこまで否定されているのかを考えながら整理します。 部分否定と全部否定を区別できるようになると、長い英文でも意味を取り違えにくくなります。

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