前回まで、名詞と冠詞を整理した。英語では、a book と the book のように、名詞の前に置く語によって、その名詞の見え方が変わる。
今回は、名詞そのものをくり返す代わりに使う語、つまり 代名詞 を整理する。
Tom likes music.
He plays the guitar very well.
二つ目の文の He は、前の文に出てきた Tom を受けている。毎回 Tom とくり返さず、代名詞を使って文をつないでいるのである。
ただし、代名詞は「名詞の代わり」とだけ覚えておくと、すぐに困る。
He likes music.
I know him.
This is his guitar.
He taught himself English.
同じ「彼」を表す語でも、文の中の働きによって he / him / his / himself のように形が変わる。
高校英文法では、代名詞を「意味」だけでなく、文の中でどの位置に置かれているか から見る必要がある。
今回は、人称代名詞・所有代名詞・再帰代名詞の基本を、文型や目的語とのつながりから整理しよう。
he は主語、him は目的語として使う
まず、人称代名詞の基本から見ていこう。
He plays tennis.
彼はテニスをします。
I know him.
私は彼を知っています。
he も him も、日本語ではどちらも「彼」と訳されることが多い。
しかし、英語では文の中の働きが違う。He plays tennis. の he は主語である。つまり、動作をする人として文の前に置かれている。
一方、I know him. の him は目的語である。know という動詞の対象として、動詞の後ろに置かれている。
He plays tennis.
→ he は主語
I know him.
→ him は目的語
このように、人称代名詞は、主語として使う形と、目的語として使う形が変わる。
I / me
you / you
he / him
she / her
we / us
they / them
英作文で間違えやすいのは、日本語の「彼を」「彼に」「彼女を」などを見て、意味だけで形を選んでしまうことである。
英語では、まずその語が文の中で主語なのか、動詞や前置詞の後ろに置かれる目的語なのかを見る。
She helped me.
彼女は私を助けてくれました。
I went to the park with her.
私は彼女と公園へ行きました。
me は helped の目的語であり、her は前置詞 with の後ろに置かれている。前置詞の後ろでも、主語形ではなく目的語形を使う。
したがって、with she ではなく with her になる。ここは中学英語でも学ぶが、高校英文法では文の構造と合わせてもう一度確認しておきたい。
my / mine / his は、所有の表し方で使い分ける
次に、所有を表す形を見ていこう。
This is my book.
これは私の本です。
This book is mine.
この本は私のものです。
my は、名詞の前に置いて「私の〜」を表す。
一方、mine は、それだけで「私のもの」という意味を表す。後ろに名詞を置かない。
my book
→ 私の本
mine
→ 私のもの
この違いは、your / yours、our / ours、their / theirs でも同じである。
your bag / yours
our classroom / ours
their house / theirs
ただし、his は少し注意が必要である。
This is his pen.
これは彼のペンです。
This pen is his.
このペンは彼のものです。
his は、「彼の〜」として名詞の前にも使えるし、「彼のもの」として単独でも使える。
形が同じなので、位置を見て働きを判断する必要がある。
his pen
→ his は名詞 pen を説明している
This pen is his.
→ his は「彼のもの」という補語になっている
ここでも、品詞や文型の見方が大事になる。単語の意味だけでなく、文の中の位置を見ると、代名詞の働きが見えやすくなる。
himself / herself は、同じ人に動作が戻るときに使う
次に、再帰代名詞を見ていこう。
He taught himself English.
彼は独学で英語を学びました。
himself は、「彼自身」を表す。ここでは、教える人も学ぶ人も同じ人物である。
このように、動作が同じ人に戻るとき、英語では myself / yourself / himself / herself / ourselves / themselves のような再帰代名詞を使う。
I introduced myself.
私は自己紹介をしました。
She looked at herself in the mirror.
彼女は鏡で自分を見ました。
They enjoyed themselves.
彼らは楽しく過ごしました。
再帰代名詞は、「自分で」「自分自身を」という日本語訳で覚えることが多い。
しかし、文法的には、主語と同じ人やものが、動詞や前置詞の後ろにもう一度現れるときの形 と見ると整理しやすい。
I saw me.
→ 普通は不自然
I saw myself.
→ 私は自分自身を見た
主語の I と、動詞 saw の対象が同じ人なので、me ではなく myself を使う。
また、再帰代名詞は強調にも使われる。
I did it myself.
私はそれを自分でしました。
この場合の myself は、動作の対象というより、「ほかの人ではなく自分で」という強調である。
同じ形でも、文の中で目的語になっているのか、強調として添えられているのかを見分けることが大切である。
代名詞は、文の中の役割を見て形を選ぶ
代名詞を覚えるとき、表だけを暗記すると、どうしても機械的になりやすい。
もちろん、形を覚えることは必要である。だが、それ以上に大事なのは、その代名詞が文の中で何をしているか を見ることである。
He is my friend.
→ 主語
I know him.
→ 目的語
This is his book.
→ 名詞 book を説明
This book is his.
→ 「彼のもの」という補語
He did it himself.
→ 自分自身・強調
代名詞は、英語の文をなめらかにつなぐために欠かせない。
同じ名詞を何度もくり返さず、前に出てきた人やものを受ける。さらに、文の中で主語・目的語・所有・強調などの役割を担う。
高校英文法では、代名詞を単なる暗記項目としてではなく、文の構造を支える部品 として見ていきたい。
名詞・冠詞を学んだあとに代名詞を整理すると、英語が「同じものをどう受け直すか」「どの情報を省略せずに示すか」を大切にしていることも見えてくる。