塾長ノート

it は「それ」だけを表すのか

文の形を支える it の働きを整理する

前回は、he / him / his / himself のような代名詞を、文の中の役割から整理した。

今回は、その中でも特に重要な it を取り上げる。

I have a dog. It is very cute.
私は犬を飼っています。それはとてもかわいいです。

この文の it は、前に出てきた a dog を受けている。ここまでは「それ」と訳してよい。

しかし、英語の it は、それだけではない。

It is raining.
雨が降っています。


It is important to study English.
英語を勉強することは大切です。


I found it difficult to solve this problem.
私はこの問題を解くのは難しいと思いました。

これらの it は、日本語で自然に「それ」と訳せるわけではない。

それでも英語では、文を組み立てるために it が置かれている。

高校英文法では、it を単なる「それ」ではなく、文の形を支える語 として見る必要がある。

今回は、前に出た名詞を受ける it、天候・時間・距離を表す it、形式主語・形式目的語の it を整理しよう。

it は、前に出た名詞や内容を受ける

まず、いちばん基本的な it から確認しよう。

I bought a new bag yesterday.
It was very expensive.

この文の it は、前の文に出てきた a new bag を受けている。

同じ名詞をくり返さず、代名詞で受け直しているのである。

I watched a movie last night.
It was very interesting.


She has a cat.
It sleeps on the sofa.

この it は、日本語の「それ」に近い。前に出た一つのものを受けるからである。

ただし、it は物だけでなく、前に出た内容全体を受けることもある。

He said he was sorry.
It made me happy.

この場合の it は、何か一つの物というより、彼が謝ったこと という内容を受けている。

英語では、前に出た名詞や内容を受けるために it をよく使う。

したがって、it を見たときは、まず「前に何を受けているものがあるか」を探すとよい。

天候・時間・距離の it は、日本語に訳しにくい

次に、前の名詞を受けていない it を見ていこう。

It is raining.
雨が降っています。


It is cold today.
今日は寒いです。

この it は、具体的な「それ」を指しているわけではない。

英語では、文を作るときに主語が必要になる。そのため、天候や気温を表す文でも、主語の位置に it を置く。

It is sunny.
晴れています。


It was cloudy yesterday.
昨日は曇っていました。


It will be hot tomorrow.
明日は暑いでしょう。

同じように、時間や距離を表すときにも it を使う。

It is seven o’clock.
7時です。


It is Monday today.
今日は月曜日です。


It is about five kilometers from here to the station.
ここから駅までは約5キロです。

日本語では、主語を立てずに「雨が降っている」「7時です」「駅まで5キロです」と言える。

しかし英語では、文の形として主語の位置が必要になるため、it を置く。

このような it は、無理に「それ」と訳そうとしないほうがよい。

It is raining.
→ 「それは雨が降っている」ではなく、「雨が降っている」


It is seven o’clock.
→ 「それは7時です」ではなく、「7時です」

ここでは、it は意味の中心というより、英語の文の形を整えるための主語 として働いている。

形式主語の it は、長い主語を後ろに回す

高校英文法で特に重要なのが、形式主語の it である。

It is important to study English.
英語を勉強することは大切です。

この文では、意味の中心になる主語は to study English である。

つまり、内容としては「英語を勉強することが大切だ」と言っている。

しかし英語では、長い主語を文の最初に置くと重くなることがある。

To study English is important.
英語を勉強することは大切です。


It is important to study English.
英語を勉強することは大切です。

どちらも内容は近いが、後者では it を仮の主語として先に置き、本当の内容である to study English を後ろに回している。

このような it を、形式主語と呼ぶ。

It is difficult to answer this question.
この質問に答えるのは難しい。


It is fun to play soccer with friends.
友だちとサッカーをするのは楽しい。


It is necessary for us to protect the environment.
私たちが環境を守ることは必要です。

形式主語の it は、「それ」と訳すための語ではない。

文の前半を軽くして、本当に言いたい内容を後ろに置くための語である。

英文を読むときは、It is ... to 〜 を見たら、後ろの不定詞が意味の中心になっていないかを確認したい。

形式目的語の it は、長い目的語を後ろに回す

it は、主語だけでなく目的語の位置にも仮に置かれることがある。

I found it difficult to solve this problem.
私はこの問題を解くのは難しいと思いました。

この文の it は、何か具体的な「それ」を指しているわけではない。

意味の中心になる目的語は、後ろの to solve this problem である。

I found it difficult to solve this problem.
→ 私は「この問題を解くこと」を難しいと思った

このように、長い目的語を後ろに回し、目的語の位置に it を仮に置く形を、形式目的語と呼ぶ。

I think it important to read books.
私は本を読むことが大切だと思います。


We found it hard to finish the work in one day.
私たちはその仕事を一日で終えるのは難しいと分かりました。

形式目的語は、第5文型と深く関係している。

I found it difficult.
→ it = difficult の関係


I found it difficult to solve this problem.
→ it は後ろの to solve this problem を受ける仮の目的語

つまり、形の上では O + C の形を保ちながら、本当の内容を後ろに置いている。

it を見るときは、ただ「それ」と訳すのではなく、前の内容を受けているのか、天候・時間・距離の主語なのか、形式主語・形式目的語なのかを見分ける必要がある。

it は小さな語だが、英語の文の形を大きく支えている。高校英文法では、この it の働きが見えると、長い英文の構造もかなり読みやすくなる。

学習塾Study+から

学習塾Study+では、it を「それ」と訳すだけでなく、英文の形を支える語として整理します。形式主語・形式目的語が見えるようになると、長い英文でも中心になる内容をつかみやすくなります。

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