中学英語では、比較級や最上級を使って、二つのものや三つ以上のものを比べる形を学んだ。
Tom is taller than Ken.
トムは健より背が高いです。
This is the most interesting book of the three.
これは3冊の中でいちばんおもしろい本です。
高校英文法では、これらの基本に加えて、比較級を使った少し抽象的な表現も出てくる。
The more you practice, the better you will become.
練習すればするほど、あなたは上達します。
この文では、the が2回出てくる。 しかし、これは普通の定冠詞 the とは少し違う。
ここでは、二つの変化が結びついている。
you practice more
→ 練習量が増える
you will become better
→ 上達する
つまり、前半の変化に合わせて、後半の変化も進むことを表している。
今回は、the + 比較級, the + 比較級 を中心に、比較表現を高校英文法の土台として整理しよう。
比較級は、二つのものの差だけでなく変化も表せる
まず、比較級の基本を確認しよう。
This box is heavier than that one.
この箱はあの箱より重いです。
English is more difficult than I thought.
英語は私が思っていたより難しいです。
比較級は、二つのものを比べて、どちらがより大きいか、強いか、多いかを表す。
しかし、比較級は、物と物の比較だけでなく、変化にも使われる。
It is getting colder.
だんだん寒くなっています。
She became more careful.
彼女はより注意深くなりました。
この場合、than がなくても、以前の状態と比べて変化していることが分かる。
さらに、比較級を繰り返すと、変化がだんだん進むことを表せる。
It is getting colder and colder.
ますます寒くなっています。
The problem became more and more difficult.
その問題はますます難しくなりました。
比較級は、「AとBを比べる」だけでなく、状態の変化を表す道具でもある。
この見方が分かると、the more ..., the better ... の形も理解しやすくなる。
the + 比較級, the + 比較級 は、二つの変化を結びつける
次の文を見てみよう。
The more you practice, the better you will become.
練習すればするほど、あなたは上達します。
前半の The more you practice は、「あなたがより多く練習するほど」という意味を表す。
後半の the better you will become は、「あなたはよりよくなる」という意味を表す。
The more you practice
→ 練習量が増えるほど
the better you will become
→ 上達の度合いも大きくなる
この形では、前半と後半の比較級が対応している。 前半の程度が変わると、後半の程度も変わるのである。
他の例も見てみよう。
The earlier you start, the sooner you will finish.
早く始めれば始めるほど、早く終わります。
The more I read, the more I want to know.
読めば読むほど、もっと知りたくなります。
The older we get, the more important health becomes.
年をとればとるほど、健康はより重要になります。
日本語では「〜すればするほど、ますます〜」と訳すことが多い。
ただし、毎回その日本語に置き換えるより、二つの比較級が対応していると見るほうが読みやすい。
the + 比較級 A, the + 比較級 B
→ A の程度が変わるにつれて、B の程度も変わる
この形の the は、普通の「その」という意味ではなく、比較級どうしを結びつける印のように働いている。
比較表現では、どの範囲で比べているかを見る
比較を読むときは、比較級そのものだけでなく、何と何を比べているのか を見る必要がある。
This question is easier than that one.
この問題はあの問題より簡単です。
この文では、this question と that one を比べている。
This is one of the most famous temples in Japan.
これは日本で最も有名な寺の一つです。
この文では、in Japan が比較の範囲を示している。 その中で「最も有名な寺の一つ」だと言っている。
また、最上級に近い意味を比較級で表す形もある。
Mt. Fuji is higher than any other mountain in Japan.
富士山は日本のほかのどの山よりも高いです。
これは、富士山と「日本のほかのすべての山」を比べている。
その結果、意味としては「富士山は日本でいちばん高い山です」に近くなる。
higher than any other mountain
→ ほかのどの山よりも高い
→ つまり、いちばん高い
比較表現では、単に more や most を見つけるだけでなく、比較の相手 と 比較の範囲 を押さえることが大切である。
比較構文は、基本文に戻して読むと分かりやすい
比較表現が長くなると、形だけを見て混乱しやすい。 そのようなときは、基本文に戻して考えるとよい。
The more you practice, the better you will become.
この文は、次の二つの内容が結びついていると考えられる。
You practice more.
You will become better.
それを、変化の対応として一文にまとめたものが、the + 比較級, the + 比較級 である。
また、次のような文も、基本に戻すと読みやすい。
This book is more useful than I expected.
この本は私が予想していたより役に立ちます。
比べているのは、実際の useful の程度と、私が予想していた useful の程度である。
比較は、単なる「〜より」ではなく、程度の差を表す表現である。
だから、英文解釈では、比較級・最上級の形を見つけたら、何と比べているのか、どの範囲で比べているのかを確認する必要がある。
the more ..., the better ... のような形も、特殊な熟語として丸暗記するより、二つの変化が対応している表現として理解すると、他の比較構文にも応用しやすくなる。
さらに、高校英文法では、比較級を強める語にも注意したい。
This question is much easier than that one.
この問題はあの問題よりずっと簡単です。
He is even taller than his brother.
彼は兄弟よりさらに背が高いです。
This plan is far better than the first one.
この計画は最初のものよりはるかによいです。
very は普通、比較級を直接強める語としては使わない。 比較級を強めるときは、much / even / far / a little などを使うことが多い。
また、比較表現では省略もよく起こる。
I like this book better than that one.
私はあの本よりこの本のほうが好きです。
この文では、that one が that book を受けている。 比較では、同じ語の繰り返しを避けるために one や do などが使われることがある。
したがって、比較構文を読むときは、比較級だけでなく、隠れている繰り返しや省略にも注意したい。
比較は、形を覚えるだけなら短い単元に見える。 しかし、英文解釈では、比較対象・比較範囲・省略を見抜く力が必要になる。