英語の否定表現という と、 まず not を思い浮かべる。
I do not know the answer.
私はその答えを知りません。
このように not を使えば、 文全体をはっきり否定できる。 中学英語では 、 否定文を作るときに do not / does not / did not や 、 be動詞 + not を学んできた 。
しかし 高校英文法に入ると、 not がなくても否定に近い意味を表す語が出てくる 。
I hardly know him.
私は彼をほとんど知りません。
この文には not がない。 それでも意味は肯定では なく、 「ほとんど知らない」という 否定にかなり近い内容になる。
このような語は、 準否定語と呼ばれることがある 。 完全な否定では ないが、 肯定とも言いにくい、 かなり少ない・ほとんどないという 意味を表す語である。
今回は、 hardly / rarely / seldom を中心に 、 準否定語を「否定文の仲間」として では なく、 量や頻度が極端に少ないことを表す語として整理しよう 。
hardly は「ほとんど〜ない」という程度を表す
まず hardly を見よう。 hardly は、 動作や状態がほとんど成り立たないことを表す 。
I hardly know him.
私は彼をほとんど知りません。
この文は、 まったく知らないと言い切っているわけ では ない。 少しは知っているかもしれない。 しかし 、 知っていると言えるほどでは ない。 そのため日本語では 「ほとんど知らない」と訳す。
She could hardly speak after the long race.
長いレースの後、彼女はほとんど話せませんでした。
ここで も、 まったく一言も話せなかったとは限らない 。 ただ、 話す力がほとんど残っていなかった という 意味になる。
hardly は、 can / could と一緒に使われることも多い 。
I can hardly hear you.
あなたの声がほとんど聞こえません。
この文は、 I cannot hear you. より少しやわらかい 。 完全に聞こえないのでは なく、 聞こえにくくて内容が分からない、 という 感覚に近い。
つまり hardly は、 not のようにゼロを示す語では なく、 限りなくゼロに近い程度を表す語である 。
rarely / seldom は「めったに〜ない」という頻度を表す
hardly が程度を表しやすいのに対して 、 rarely / seldom は頻度を表す 。 どちらも「めったに〜ない」という 意味になる。
He rarely eats breakfast.
彼はめったに朝食を食べません。
My father seldom watches TV.
私の父はめったにテレビを見ません。
これらの文も、 not を使っていない。 しかし 、 内容としては「普段はしない」にかなり近い 。
ただし 、 never とは違う。 never は「一度も〜ない」という 強い否定である。
He never eats breakfast.
彼は決して朝食を食べません。
He rarely eats breakfast.
彼はめったに朝食を食べません。
never はゼロに近いという より、 はっきりゼロを表す。 rarely は、 かなり少ないが、 ゼロとは言い切らない。
seldom も rarely とほぼ同じように使えるが 、 少しかたい印象になることがある。 日常的な文では rarely のほうが見かけやすい 。
高校英文法では 、 これらを一つひとつ訳語で覚えるだけでなく 、 not を使わずに否定に近い意味を出す語としてまとめておくとよい 。
準否定語は否定文と同じような働きをすることがある
準否定語は not では ない。 しかし 、 文全体の意味としては否定にかなり近い 。 そのため、 他の文法項目でも否定語に近い扱いを受けることがある 。
代表的なのが倒置である。
Never have I seen such a beautiful sunset.
私はそんなに美しい夕日を見たことがありません。
never のような否定語が文頭に出ると 、 have I のように語順が変わることがある 。 準否定語でも、 かたい文では 似た倒置が起こることがある。
Hardly had I arrived when it began to rain.
私が到着するやいなや、雨が降り始めました。
この形はかなり高校英文法的で、 日常英会話の最初に使いこなす必要はない 。 ただ、 英文解釈では 、 Hardly が文頭に出ているため語順が変わっているのだと分かると読みやすい 。
また 、 準否定語を含む文では 、 日本語訳を強くしすぎないことも大切である 。
I hardly know him.
→ 彼をほとんど知らない
→ 彼をまったく知らない、とは限らない
この差は小さく見えるが、 読解では かなり重要である。 「ほとんどない」と「まったくない」は 、 論理としては同じでは ない。
not だけでなく、量や頻度の少なさとして否定を読む
否定表現を学ぶときは、 not があるかないかだけを見ると危ない 。 英語には、 not を使わなくても否定に近い意味を出す語があるからである 。
- hardly → 程度がほとんどない
- rarely → 頻度がとても少ない
- seldom → めったにない
- never → 一度もない
このように 並べると、 否定表現は一つの点では なく、 強さに幅があることが分かる。
たとえば 、 I do not know him. ははっきり「知らない」である 。 一方 、 I hardly know him. は「知っているとは言えないくらい少ししか知らない」である 。
英作文では 、 完全に否定したいなら not / never を使う 。 少しはあるが、 とても少ないと言いたいなら hardly / rarely / seldom を使う 。 この区別ができると、 英文の意味を細かく調整できる。
高校英文法では 、 否定表現を「not のつけ方」だけで終わらせない 。 量、 頻度、 可能性、 程度がどこまで小さいのかを見る。 そこまで見えるようになると、 英文の意味はかなり精密に読めるようになる 。