次の英文を見てほしい。
I don't think he is right.
直訳すれば、 「私は、 彼が正しいとは思わない」となる。 日本語としては、 もう少し自然に「彼は正しくないと思う」と訳されることもある 。
ここで 大切なのは、 英語では not が he is right の中に入っているわけ では ないという 点である。
I don't think [he is right].
私は[彼が正しい]とは思いません。
つまり 、 英語の形だけを見ると、 否定されているのは think である 。 he is right は、 think の中身として置かれている 。
しかし 日本語では 、 「彼が正しいとは思わない」とも「彼は正しくないと思う」とも言えるため 、 学習者は否定がどこにかかっているのか分からなくなりやすい 。
今回は、 I don't think ... の形を中心に 、 英語での否定の位置と、 日本語での自然な訳し方を分けて整理しよう 。
英語では not は think の前に置かれている
I don't think he is right. の基本構造は 、 I think that ... の否定形である 。
I think he is right.
私は彼が正しいと思います。
I don't think he is right.
私は彼が正しいとは思いません。
肯定文では 、 he is right が think の内容になっている 。 否定文では 、 do not が think の前に置かれる 。
この形は、 中学で学ぶ一般動詞の否定文と同じである 。
I like tennis.
I don't like tennis.
I think he is right.
I don't think he is right.
英語の形としては、 どちらも do not が動詞の前に置かれている 。
そのため、 I don't think ... は 、 「私は〜とは思わない」と見るのが基本である 。
ここを押さえておくと、 that節を含む文でも文の骨組みを見失いにくくなる 。
日本語では「〜ではないと思う」と訳すこともある
ただし 、 日本語では 、 英語と同じ位置に否定を置くと少し硬くなることがある 。
I don't think he is right.
私は彼が正しいとは思いません。
彼は正しくないと思います。
どちらの訳も文脈によって使える。 前者は英語の形に近い訳で、 後者は日本語として自然な訳である 。
ここで 注意したいのは、 日本語訳が「彼は正しくないと思う」になったとしても 、 英語では he is not right になっているわけ では ないという ことである。
I don't think he is right.
I think he is not right.
この二つは近い意味になることが多いが 、 形は違う。 前者は「そうは思わない」、 後者は「正しくないと思う」である 。
英語では 、 think / believe / suppose など 、 考えや判断を表す動詞では 、 否定を前に出す形がよく使われる。
I don't believe he told the truth.
私は彼が本当のことを言ったとは思いません。
I don't suppose he will come.
彼が来るとは思いません。
日本語では 後ろの内容を否定するように訳したほうが自然な場合がある 。 けれども、 英語の形としては、 主節側の動詞が否定されていることを忘れないようにしたい 。
すべての動詞で同じように考えるわけではない
I don't think ... の形を覚えると 、 すべての文で否定を前に出せばよいと思ってしまうことがある 。 しかし 、 これは主に think / believe / suppose など 、 判断や意見を表す動詞で見られる傾向である 。
I don't know he is right.
私は彼が正しいことを知りません。
この文は、 I don't think he is right. とは違う 。 know は「知っている」という 事実認識を表すため、 don't know は「知らない」 という 意味になる。
また 、 I know he is not right. と言えば 、 「彼が正しくないことを知っている」 という かなり強い言い方になる。
I don't know he is right.
→ 彼が正しいことを知らない
I know he is not right.
→ 彼が正しくないことを知っている
このように 、 否定の位置が変わると、 文の意味や強さも変わる。
高校英文法では 、 「日本語で似た意味になるから同じ」とは考えないほうがよい 。 英語のどこに not があるのかを見て 、 文の構造を確認する必要がある。
否定の位置を見てから、日本語として自然に訳す
I don't think he is right. を読むときは 、 まず 英語の構造を確認する。
- I が主語
- don't think が述語動詞の否定
- he is right が think の内容
そのうえで、 日本語として自然に訳す。
I don't think he is right.
→ 彼が正しいとは思わない
→ 彼は正しくないと思う
この二段階が大切である。 最初から日本語だけで処理すると、 英語で否定されている位置を見落としやすい 。
英作文でも同じである。 「私は彼が正しいとは思わない」と言いたい なら 、 まず I don't think ... の形を使うと自然である 。
I don't think this answer is correct.
この答えが正しいとは思いません。
一方 、 「この答えが正しくないことを知っている」のように事実として言いたい なら 、 I know this answer is not correct. のように表すこともできる 。
否定表現では 、 not の場所が意味の出発点になる 。 訳し方は文脈に合わせて自然にしてよい 。 しかし 、 英語の構造としてどこを否定しているのかは 、 最後まで見失わないようにしたい。