塾長ノート

It is time we left. はなぜ left になるのか

本来そうするべき時間を、仮定法の過去形で表す

仮定法では、 if を使う文だけでなく、 決まった表現の中で過去形を使うことがある。

It is time we left.
そろそろ出発する時間です。

この文では、 今の話をしているのに、 we left と過去形が使われている。

もちろん、 「私たちは出発した時間です」 という意味ではない。 ここでの left は、 現実にはまだ出発していないが、 もう出発するべき時だという気持ちを表している。

今回は、 It is time + 主語 + 過去形 を中心に、 仮定法の慣用表現を整理しよう。

It is time + 過去形は「もう〜する時間だ」を表す

まず、 It is time の後ろに、 to不定詞を続ける形を確認しよう。

It is time to go to bed.
寝る時間です。

この文では、 to go to bed が、 何をする時間なのかを表している。

一方、 主語と動詞を続けると、 次のような形になる。

It is time we went to bed.
そろそろ私たちは寝る時間です。

ここでは、 went という過去形が使われている。 しかし、 意味は過去ではない。 今の時点で、 もう寝るべき時間だという感覚を表している。

この過去形は、 現実から少し距離を置いて、 本来そうするべき状況を示す仮定法の形と考えると分かりやすい。

It is time you started studying.
そろそろ勉強を始める時間です。

実際には、 まだ勉強を始めていない。 だからこそ、 もう始める時間だ、という意味になる。

high time を使うと、遅れている感じが強くなる

It is time を強めて、 It is high time ... という形にすることもある。

It is high time we left.
もうとっくに出発すべき時間です。

high time は、 「もう十分その時間だ」 という感じを強く出す表現である。 ただの時刻の説明ではなく、 本当はもうしているべきだという気持ちが含まれる。

It is high time you learned the truth.
あなたはもう真実を知るべき時です。

この文でも、 learned は過去の出来事ではない。 今の時点で、 真実を知るべき段階に来ているという意味である。

このような形は、 日常的な中学英文法ではあまり出ないが、 高校英文法や読解では知っておくと役に立つ。

would rather + 主語 + 過去形も、現実と違う希望を表す

似た発想で、 would rather + 主語 + 過去形 という形もある。

I would rather you stayed here.
私はあなたにここにいてほしいです。

この stayed も、 過去のことを表しているわけではない。 今またはこれからについて、 あなたがここにいるほうがよい、という希望を表している。

直接的に命令するのではなく、 自分の希望として、 現実とは少し距離を置いて述べていると考えられる。

I would rather you did not tell anyone.
誰にも言わないでほしいです。

否定にするときは、 did not + 動詞の原形を使う。 これも、 過去の否定ではなく、 これからしてほしくないことを表している。

仮定法の過去形は、時間ではなく距離を表すことがある

It is time we left. や I would rather you stayed here. を見ると、 過去形が必ず過去の時間を表すわけではないことが分かる。

仮定法で使う過去形は、 現実から離れた内容、 まだ実現していないこと、 本来そうあるべきことを表すことがある。

If I were you, I would study harder.
もし私があなたなら、もっと勉強するでしょう。
I wish I could speak English well.
英語を上手に話せたらいいのに。
It is time we started.
そろそろ始める時間です。

どの文でも、 過去形は時間としての過去だけを表していない。 現実との距離を示している。

高校英文法で仮定法を学ぶときは、 形だけを暗記するのではなく、 なぜ過去形が使われているのかを考えたい。 過去形には、 今から離れた時間だけでなく、 現実から離れた内容を示す働きもあるのである。

It is time we left. は、 文の形だけを見ると過去形が不思議に見える。 しかし、 話し手の気持ちとしては、 「本当はもうそうしているべきだ」 というずれがある。

It is time we cleaned the room.
そろそろ私たちは部屋を掃除する時間です。

この文では、 まだ掃除していない、 しかしもう掃除するべきだ、 という状況が感じられる。

to不定詞を使った It is time to clean the room. は、 もっと単純に「掃除する時間だ」と言う形である。 一方、 It is time we cleaned the room. では、 主語 we を出すことで、 「私たちが掃除するべきだ」という感じが強くなる。

It is time to go.
行く時間です。

It is time we went.
そろそろ私たちは行く時間です。

二つは似ているが、 後者のほうが、 「もう行くべきだ」 という含みを持ちやすい。

would rather の文でも、 過去形は時間ではなく距離を表す。

I would rather you stayed here tonight.
今夜はここにいてほしいです。

stayed は過去の滞在ではない。 これからのことについて、 相手にそうしてほしいという希望を表している。

高校英文法では、 このように「過去形なのに過去ではない」表現がいくつも出てくる。 それらをばらばらに暗記するより、 過去形が現実との距離を表すことがある、 と考えるとつながりが見えやすい。

学習塾Study+から

学習塾Study+では、仮定法の過去形を、過去の時間だけでなく現実との距離を表す形として整理します。It is time we left. のような表現も、その延長で読むと理解しやすくなります。

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