高校英文法では、同じ内容を別の形で言い換える表現がよく出てくる。
It is said that he is a genius.
彼は天才だと言われています。
He is said to be a genius.
彼は天才だと言われています。
日本語にすると、どちらもかなり近い意味になる。けれど、英語の組み立て方は違う。
一つ目の文では、形式主語 It を使い、後ろの that he is a genius が本当の内容を表している。二つ目の文では、He を主語にして、to be a genius で言われている内容を続けている。
今回は、It is said that ... と S is said to ... を、受動態・形式主語・不定詞のつながりとして整理しよう。
It is said that ... は、that節を後ろに置く形
まず、次の文を見てみよう。
It is said that he is a genius.
この文の It は、具体的な「それ」を指しているわけではない。後ろの that he is a genius という内容を受けるために、文頭に置かれた形式的な主語である。
It is said / that he is a genius.
言われている / 彼が天才だということが
英語では、長い that節をいきなり主語に置くより、まず It で文の形を作り、あとから内容を示すことがある。
That he is a genius is said.
→ 文法的には考えられるが、かなり不自然
そこで、次のように言う。
It is said that he is a genius.
この is said は受動態である。だれがそう言っているのかをはっきり言わず、「一般にそう言われている」という内容を表している。
日本語でも、「彼は天才だと言われている」と言うとき、誰が言ったのかを細かく示さないことが多い。それと似ている。
He is said to ... は、人を主語に出す形
同じ内容は、次のようにも言える。
He is said to be a genius.
この文では、He が主語になっている。
He / is said / to be a genius.
彼は / 言われている / 天才であると
to be a genius は、彼について言われている内容を表している。
つまり、It is said that he is a genius. では内容全体を that節で示し、He is said to be a genius. では He を主語にして、その説明を不定詞で続けている。
It is said that he is a genius.
→ 「彼が天才だということ」が言われている
He is said to be a genius.
→ 彼が「天才である」と言われている
英文解釈では、どちらの形でも、まず「言われている内容」を読み取ることが大切である。
時制がずれると to have + 過去分詞になる
注意したいのは、言われている内容が、is said より前のことを表す場合である。
It is said that he was a great writer.
この文では、「彼が偉大な作家だった」という過去の内容が、今そう言われている。
これを He を主語にした形にすると、次のようになる。
He is said to have been a great writer.
彼は偉大な作家だったと言われています。
to have been は、不定詞の完了形である。文全体の is said より前の内容を表すために使われる。
He is said to be a genius.
→ 今、天才であると言われている
He is said to have been a great writer.
→ 以前、偉大な作家だったと言われている
この形は、すでに学んだ to have + 過去分詞 と同じ考え方である。述語動詞より前のことを、不定詞の中で完了形にして示す。
英文解釈では、that節型と不定詞型を対応させて読む
この表現は、書きかえ問題だけでなく、英文解釈でも重要である。
It is believed that the story is true.
= The story is believed to be true.
その話は本当だと信じられています。
It is reported that many people were injured.
= Many people are reported to have been injured.
多くの人がけがをしたと報じられています。
ここでは、believe / report / say / think / know などの動詞が受動態になり、「〜だと思われている」「〜だと報じられている」のような意味を作る。
大切なのは、形に振り回されず、何がどう言われているのかを読むことである。
It is said that S V ...
→ S が V すると言われている
S is said to V ...
→ S は V すると言われている
この二つは、高校英文法では別々の単元に見えるかもしれない。だが実際には、形式主語 it、受動態、that節、不定詞がつながった表現である。
文法を一つずつ覚えるだけでなく、形どうしのつながりを見ることで、長い英文もかなり読みやすくなる。