ポケモンの技「とんぼがえり」は、英語では U-turn と呼ばれる。
とんぼがえり → U-turn
日本語では「とんぼ返り」。 英語では「U字に向きを変えて戻る」。
使っている比喩は違うが、 進んだあと、すぐ反対方向へ戻る という中心イメージはよく似ている。
U-turn はまず「車のUターン」
一般英語の U-turn は、 車などが向きを180度変え、 来た方向へ戻る動きを表す。
make a U-turn
→ Uターンする
Cambridge Dictionaryでも、 U-turn は「車が来た方向へ戻るためにする方向転換」と説明されている。
日本語でも「Uターン」はかなり定着しているので、 この意味は分かりやすい。
U-turn は「方針を180度変える」にもなる
U-turn は道路上の動きだけではない。
考え・計画・方針を 完全に反対方向へ変える という比喩的な意味でも使われる。
The company made a U-turn on its plan.
→ その会社は計画を大きく方向転換した。
「180度転換する」という日本語の感覚にかなり近い。
つまり U-turn は、
物理的に引き返す
↓
考えや方針を反対へ変える
と意味が広がっている。
日本語の「とんぼ返り」も実は二つの意味がある
日本語の「とんぼ返り」にも、 複数の意味がある。
一つは、空中で身体を一回転させる 宙返り。
もう一つは、 ある場所へ行って、すぐ引き返してくること である。
大阪まで行って、とんぼ返りで東京へ戻った。
小学館の和英辞典でも、 「とんぼ返り」は「宙返り」と 「すぐ引き返すこと」の両方で説明されている。
ここでは現代日本語で確認できる意味だけを扱う。 「とんぼ返り」という名称そのものがどのように生まれたかは、 技名の説明に必要な範囲を超えて断定しない。
ポケモンの技名として見ると、 後者の「行って戻る」意味が特に分かりやすい。
日本語と英語で比喩が違う
ここがおもしろいところである。
とんぼがえり
→ とんぼ返り・すぐ引き返す
U-turn
→ U字型に方向転換して戻る
日本語は「とんぼ返り」という既存表現を使い、 英語は道路交通でも使う U-turn を使っている。
直訳ではない。 しかし、どちらも 一度前へ出て、また戻る という動きを表現している。
日英で比喩は違っても、「進んだあと、すぐ反対方向へ戻る」という中心イメージは共通している。
ポケモンの U-turn は「攻撃して戻る」
ゲームでは、U-turn は相手にダメージを与えながら、 その後で戦闘から離れられる。 Incineroarのように交代を活用したいポケモンとも相性がよい。
つまり、
攻撃する
↓
戦闘から引く
という動きになる。
そのため一般英語の U-turn が持つ 「向きを変えて戻る」というイメージともつながりやすい。
技の動きと一般英語の意味を並べると、U-turn の名前を覚えやすい。
turn は「曲がる」だけではない
U-turn の中にある turn は、 「曲がる・向きを変える」という基本動詞である。
Turn right.
→ 右に曲がってください。
しかし turn は、 「状態が変わる」という意味にも広がる。
The leaves turned red.
→ 葉が赤くなった。
The weather turned cold.
→ 天気が寒くなった。
中心には、 向きや状態が変わる というイメージがある。
turn を使った表現は多い
turn は句動詞でも非常によく使われる。
turn on
→ つける
turn off
→ 消す
turn down
→ 断る / 音量などを下げる
in turn
→ 順番に
U-turn を入口に turn の基本イメージをつかむと、 こうした表現も覚えやすくなる。
U-turn と turn around は同じ?
turn around は、 「向きを変える」「振り向く」「立て直す」など、 より広い意味で使える。
Turn around.
→ 後ろを向いて。
一方 U-turn は、 基本的に 来た方向へ戻るような180度の方向転換 が中心である。
完全に同じ表現ではないので、 U-turn はU-turnとして覚えておく方がよい。
まとめ
ポケモンの技「とんぼがえり」は、 英語では U-turn。
U-turn
→ U字型に方向を変えて引き返すこと
→ 考え・方針の全面的な転換
一方、日本語の「とんぼ返り」には、 「宙返り」と「行ってすぐ引き返す」という意味がある。
日英で表現の作り方は違うが、 前へ出て、また戻る というイメージはかなり近い。
さらに U-turn から turn の多義性や句動詞まで広げれば、 一つの技名から普通の英語をかなり学ぶことができる。