ポケモンの技「あまえる」は、英語では Charm。
あまえる → Charm
charm と聞くと、まず「魅力」という名詞が思い浮かぶかもしれない。
しかし charm には、「魅了する」「好感を持たせる」という動詞の使い方もある。
日本語名は「あまえる」という振る舞いを表し、英語名は、その振る舞いで相手の心を引きつける力を表す。同じ場面を、少し違う角度から見た名前なのである。
名詞の charm は「人を引きつける魅力」
名詞の charm は、人や場所、物などが持つ人を自然に引きつけるよさを表す。
The town has a quiet charm.
→ その町には静かな魅力がある。
Her warmth is part of her charm.
→ 彼女の温かさは魅力の一つだ。
派手な美しさだけでなく、親しみやすさや雰囲気など、つい心を引かれる性質にも使える。
動詞の charm は「魅了する・好感を持たせる」
charm は動詞にもなる。
The host charmed the guests with his humor.
→ その司会者はユーモアで客を魅了した。
力で相手を押さえつけるのではなく、感じのよさや話し方などで相手の心を引きつけるイメージである。
「あまえる」を使う側のかわいらしい振る舞いと、相手がその魅力に気を取られる様子を考えると、動詞の charm が見えてくる。
ゲームでは相手の「こうげき」を2段階下げる
メインシリーズのバトルでは、「あまえる」は相手の「こうげき」を2段階下げる変化技である。
直接ダメージを与えるのではなく、相手の物理技の勢いを弱める方向に働く。
かわいく振る舞って相手の警戒や戦う気持ちをゆるめる。そう考えると、日本語の「あまえる」と英語の Charm のどちらからも、攻撃力が下がる技の姿を想像しやすい。
「あまえる」と Charm は直訳ではない
日本語の「あまえる」は、相手の好意を頼りにしたり、かわいがってもらおうと振る舞ったりすることを表す。
一方、一般英語の charm は「あまえる」という動作そのものではない。
あまえる → 使う側の振る舞い
charm → 相手の心を引きつける力・働き
日本語名は何をするかに目を向け、英語名は相手にどんな働きかけをするかに目を向けている。
単語を一対一で置き換えた名前ではなくても、技の場面を通して見ると、二つの表現が自然につながる。
charming は「魅力的な・感じのよい」
charming は、人や物が魅力的で、感じがよいことを表す形容詞。
a charming smile
→ 魅力的な笑顔
a charming little café
→ 感じのよい小さなカフェ
外見の「かわいい」だけに限らず、話し方、態度、場所の雰囲気などにも使える。
cute が「かわいらしい」という見た目や印象を表しやすいのに対し、charming は人の心を引きつける感じのよさを前面に出しやすい。
lucky charm は「幸運のお守り」
charm には「不思議な力を持つもの」「お守り」という意味もある。
a lucky charm
→ 幸運のお守り
ここでは人の魅力ではなく、幸運をもたらすと信じられている物を指す。
アクセサリーにつける小さな飾りも charm と呼ばれる。「魅力」だけで覚えると見落としやすい用法である。
work like a charm は「とてもうまくいく」
日常英語で便利なのが work like a charm。
The simple fix worked like a charm.
→ その簡単な修正が見事にうまくいった。
これは「驚くほどうまく働く」「とても効果がある」という意味の表現である。
魔法のお守りが効いたかのように、物事がすんなり成功するイメージを持つと覚えやすい。
語源は「歌・呪文」につながる
charm は、古フランス語を経て、ラテン語の carmen「歌・詩・呪文」にさかのぼる。
さらに carmen は、「歌う」を表すラテン語 canere と関係する。
歌・唱える言葉
↓
呪文・魔法のお守り
↓
人を引きつける力・魅力
現代の「魅力」と lucky charm の「お守り」が同じ単語に入っている理由が見えやすくなる。
まとめ
ポケモンの「あまえる」は英語で Charm。
charm(名詞)→ 魅力・お守り
charm(動詞)→ 魅了する・好感を持たせる
charming → 魅力的な・感じのよい
さらに、
lucky charm → 幸運のお守り
work like a charm → 驚くほどうまくいく
という表現にも広がる。
「あまえる」は使う側の振る舞い、Charm は相手の心を引きつける働き。二つの名前を並べると、技の一場面を日本語と英語がどう切り取っているかが見えてくる。