塾長ノート

I saw him cross the street. と I saw him crossing the street. は何が違うのか

見た動作全体か、途中の様子かを知覚動詞で分ける

高校英文法では、使役動詞と並んで、知覚動詞も重要になる。 中学英語でも see / hear はよく出てくるが、高校英文法では、その後ろに「人やもの」と「動詞の形」が続く文を整理して読む必要がある。

I saw him cross the street.
私は彼が通りを渡るのを見ました。
I saw him crossing the street.
私は彼が通りを渡っているところを見ました。

どちらも saw him まで同じである。 違うのは、その後ろが cross なのか crossing なのかである。

この違いは、日本語訳だけで丸暗記すると少し分かりにくい。 ポイントは、知覚動詞の後ろで、目的語がどのような動作をしていたのかを補語として説明している、という見方である。

今回は、I saw him cross the street. と I saw him crossing the street. を比べながら、知覚動詞の後ろに動詞の原形や現在分詞が続く仕組みを整理しよう。

知覚動詞は、見た・聞いた内容を後ろに続ける

知覚動詞とは、見る・聞く・感じるなど、人の感覚に関わる動詞である。 代表的なものには、see / hear / feel / watch / notice などがある。

I saw him.
私は彼を見ました。

この文だけなら、第3文型である。 saw の目的語として him が置かれ、「彼を見た」という内容を表している。

しかし、実際には「彼を見た」だけでなく、「彼が何をしているのを見たのか」まで言いたいことが多い。

I saw him cross the street.
私は彼が通りを渡るのを見ました。

この文では、him の後ろに cross the street が続いている。 him が「通りを渡る」という動作をしたことを、後ろから説明している。

つまり、この文は次のように見ると分かりやすい。

I saw [him] [cross the street].
私は [彼が] [通りを渡るのを] 見た。

ここで大切なのは、cross が saw の時制に合わせて crossed になるわけではない、という点である。 saw が過去形になっていても、知覚動詞の後ろでは動詞の原形 cross を使う。

原形は動作全体、-ing は途中の様子を表しやすい

知覚動詞の後ろでは、動詞の原形と現在分詞を使い分けることがある。

I saw him cross the street.
私は彼が通りを渡るのを見ました。
I saw him crossing the street.
私は彼が通りを渡っているところを見ました。

原形 cross を使うと、動作を一つのまとまりとして見る感じになる。 通りを渡り始めて、渡り終えるまでの動作全体を見た、という意味になりやすい。

一方、crossing を使うと、動作の途中の様子に注目する感じになる。 彼が通りを渡っている最中の場面を見た、という意味になりやすい。

see + 人 + 動詞の原形
→ その人が〜するのを見る。動作全体に注目する。
see + 人 + -ing
→ その人が〜しているところを見る。動作の途中に注目する。

同じ違いは、hear にも見られる。

I heard her sing.
私は彼女が歌うのを聞きました。
I heard her singing.
私は彼女が歌っているのを聞きました。

もちろん、実際の英文では文脈によって幅がある。 ただ、学習の入口では、原形は動作全体、-ing は進行中の様子、と考えると整理しやすい。

want / tell / ask + 人 + to との形の違いに注意する

ここで、以前に学んだ want / tell / ask + 人 + to不定詞 と比べてみよう。

I want him to study harder.
私は彼にもっと一生懸命勉強してほしい。
My teacher told me to read this book.
先生は私にこの本を読むように言いました。

want / tell / ask の後ろでは、人の後ろに to不定詞が続く。

一方、知覚動詞では、次のように to を使わない。

I saw him cross the street.
× I saw him to cross the street.

これは、知覚動詞が「人が実際にその動作をするのを見た・聞いた」という内容を表すためである。 その動作を、to をつけた目的や予定としてではなく、実際に知覚した出来事として続ける。

使役動詞 make / let / have と同じく、知覚動詞も後ろに動詞の原形を置く重要なグループとして整理しておくとよい。

make + 人 + 動詞の原形
let + 人 + 動詞の原形
have + 人 + 動詞の原形
see / hear + 人 + 動詞の原形

ただし、知覚動詞では -ing もよく使われる。 そこが、使役動詞との大きな違いである。

英文解釈では O と C の関係を見る

知覚動詞の文は、第5文型の一種として見ることができる。

I saw him cross the street.
S V O C

him が目的語で、cross the street がその him の動作を説明している。 つまり、O と C の間には、意味上の主語と述語のような関係がある。

him cross the street
→ 彼が通りを渡る
her singing
→ 彼女が歌っている

このように見ると、語順だけを暗記するよりも、文全体の構造がつかみやすくなる。

また、知覚動詞の後ろでは、現在分詞だけでなく過去分詞が続くこともある。

I heard my name called.
私は自分の名前が呼ばれるのを聞きました。

この場合、my name は「呼ぶ側」ではなく「呼ばれる側」である。 そのため、called という過去分詞で説明している。これは次の記事で詳しく整理する。

知覚動詞の文を読むときは、まず see / hear の後ろにある目的語を確認する。 次に、その目的語がどのような動作や状態にあるのかを、原形・現在分詞・過去分詞から判断する。

I saw him cross the street.
→ 彼が通りを渡るのを見た
I saw him crossing the street.
→ 彼が通りを渡っているところを見た

この見方ができると、使役動詞・知覚動詞・分詞の補語が、一つの大きな流れとしてつながってくる。

学習塾Study+から

学習塾Study+では、知覚動詞を「see 人 原形」と丸暗記するだけでなく、目的語と補語の関係として読みます。him cross、him crossing のように、目的語が何をしているのかを見ると、英文の骨組みが自然につかみやすくなります。

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