塾長ノート

「おさきにどうぞ」はなぜ英語で After You なのか|Go aheadとの違い

ゲームの技名を、そのまま日常会話で使ってみる

ポケモンの「おさきにどうぞ」は、英語で After You。ドアや順番を相手に譲るとき、そのまま日常会話で使える表現である。

おさきにどうぞ → After you.

afterを「〜のあと」、youを「あなた」と一語ずつ訳すだけでは、なぜ「お先にどうぞ」になるのか分かりにくい。After you.は「私はあなたのあとに行きます」という関係から、相手を先へ通す定型表現になっている。

After you.は「あなたからどうぞ」

After you.は、相手が自分より先に行ったり、何かを先にしたりできるよう、順番を譲るときに使う。

After you.
→ お先にどうぞ。/あなたからどうぞ。

文として主語や動詞をすべて言ってはいないが、会話ではこの短い形だけで通じる。後ろに何を省略しているかを毎回考えるより、一まとまりの表現として覚える方が実用的である。

ドアで順番を譲る

二人が同時にドアへ着いたとき、相手を先へ通す場面はAfter you.の代表的な使い方である。

A: After you.
B: Thank you.
→ A:お先にどうぞ。
→ B:ありがとうございます。

言葉だけでなく、ドアを押さえたり、相手が通れるよう横へよけたりすると意図が伝わりやすい。決まった国や場面で必ず行う作法というより、順番を譲りたいときに使える短い一言である。

列や食事でも使える

列に並ぶ順番が重なったときや、料理を先に取ってもらうときにも使える。

A: Were you here first?
B: No, after you.
→ A:先にいらっしゃいましたか?
→ B:いいえ、お先にどうぞ。

A: Would you like some coffee?
B: Please, after you.
→ A:コーヒーはいかがですか?
→ B:どうぞ、あなたから先に。

Please, after you.のようにpleaseを添えることもできる。ただしAfter you.だけでも、言い方や場面が自然なら十分に丁寧な譲りの表現になる。

会話の順番も譲れる

二人が同時に話し始めたとき、相手に先に話してもらう場面にも使える。

A: Sorry, you were saying?
B: No, after you.
→ A:すみません、何か言いかけましたか?
→ B:いえ、先にどうぞ。

ここでは歩く順番ではなく、話す順番を譲っている。After you.は「先に進む」だけでなく、「先にその行為をする」相手を立てる表現である。

Go ahead.は許可や促しにも広く使う

Go ahead.も「どうぞ」と訳せるが、順番を譲る場面だけに限られない。「先へ進んで」「始めていいよ」「そのままやって」と、許可や促しにも広く使える。

A: May I ask a question?
B: Go ahead.
→ A:質問してもいいですか?
→ B:どうぞ。

You can go ahead without me.
→ 私を待たずに先へ行ってください。

After you.は「自分より相手が先」という順番を明確にしやすい。Go ahead.は、相手の行動を始めたり続けたりしてよいと伝える範囲が広い。

After you.とGo ahead.を比べる

After you. → 自分の順番を相手へ譲り、「あなたからどうぞ」
Go ahead. → 「どうぞ進めて」。先行、開始、許可、促しにも使う

ドアの前ではどちらも使えることがある。相手を自分より先に通すことをはっきり示すならAfter you.、相手に進むよう促すならGo ahead.が合いやすい。

これは絶対的な線引きではない。会話では声の調子、視線、手ぶり、直前の質問によって意味が決まる。

You go first.は意味をはっきり言う

You go first.は「あなたが先に行って」「あなたが最初にやって」と、相手が先であることを文で直接伝える。

You go first. I'll follow you.
→ あなたが先に行って。私は後からついて行きます。

順番を説明したり、ゲームや作業で役割を決めたりする場面で分かりやすい。短く丁寧に順番を譲る決まり文句としてはAfter you.が自然で、指示や提案として明示するならYou go first.が使いやすい。

afterは幅広く使われる語

afterは、時間や順序で「〜のあと」を表す基本語。前置詞、接続詞、副詞として使える。

Let's talk after lunch.
→ 昼食のあとに話しましょう。

Call me after you arrive.
→ 到着したら電話してください。

He arrived soon after.
→ 彼はそのすぐあとに到着しました。

一方、文として独立したAfter you.は、相手へ順番を譲る定型表現。after you arriveのafter youは「あなたが到着したあと」という文の一部であり、同じ形に見えても働きが違う。

aheadとfirstも一緒に覚える

aheadは「前方に」「先に」、firstは「最初に」「第一の」を表す。

Go ahead of me.
→ 私より先に行ってください。

You can speak first.
→ あなたが先に話していいですよ。

go aheadは一まとまりで許可や促しにもなるが、ahead of meなら位置や順番で「私より前」を具体的に表す。firstは誰が最初かを直接示す。

politeとpolitely

politeは「丁寧な、礼儀正しい」という形容詞、politelyは「丁寧に」という副詞である。

That was a polite gesture.
→ それは丁寧な振る舞いでした。

She politely let the other person go first.
→ 彼女は丁寧に相手を先へ通しました。

After you.は順番を譲るpoliteな表現として使える。ただし、短い表現だから自動的に丁寧になるのではない。穏やかな声や相手を急かさない態度も、politenessを伝える。

Pleaseは付ければ必ず丁寧、ではない

pleaseは依頼や申し出を丁寧にする助けになるが、単に付けるだけでどんな言い方も丁寧になるわけではない。

Please, after you.
→ どうぞ、お先に。

Please go ahead.
→ どうぞ進めてください。

After you.はpleaseなしでも定型的な譲りとして使える。pleaseを重ねすぎるより、場面に合った短い表現を自然な調子で言う方が伝わりやすい。

ゲームでは対象を使用者の直後に動かす

現在のメインシリーズの「おさきにどうぞ」は、ノーマルタイプの変化技。ダメージを与えたり、対象の素早さを上げたりする技ではない。

そのターンにまだ行動していない対象を、使用者の直後に行動させる。対象が選んだ技の優先度や本来の行動順にかかわらず、次の行動者へ移す。

素早さを上げる → しない
能力段階を変える → しない
対象の技に優先度を付ける → しない
そのターンの行動位置 → 使用者の直後へ移す

「優先度0」と「対象が次に動く」は別

「おさきにどうぞ」自体の優先度は0。まず、使用者が通常の行動順でこの技を使える必要がある。

技が成功したあと、対象の行動が直後へ移る。このとき対象が選んでいた技の優先度にかかわらず次に行動するが、対象の技そのものが先制技へ変わるわけではない。

つまり、使用者が動く前に対象がすでに行動してしまえば間に合わない。素早い使用者から、まだ動いていない相手へ順番を譲る仕組みである。

味方にも相手にも使える

対象範囲は、使用者に隣接するポケモン1体。ダブルバトルでは味方を選び、遅い味方を直後に動かす使い方が分かりやすい。

相手を対象にすることもできる。どちらを選んでも「対象を次に行動させる」という効果は同じで、味方だけを速くする能力上昇技ではない。

すでに行動した対象には失敗する

対象がそのターンにすでに行動済みなら、「おさきにどうぞ」は失敗する。終わった行動をもう一度させる技ではない。

命中率の数値は設定されておらず、通常の命中・回避判定を受けない。「まもる」や「みがわり」でも防がれない。一方、対象が「あなをほる」や「そらをとぶ」などで通常は攻撃が届かない状態にいる場合は、対象にできず失敗する。

世代差は「順番が変わらないとき」

「おさきにどうぞ」は第5世代から登場した。第5世代から第7世代までは、使っても行動順が変わらない場合に失敗した。

第8世代以降は、対象がもともと次に動く予定だった場合でも、それだけを理由には失敗しない。見た目の順番が変わらなくても技は成立する。

現在の仕様を説明するときに、古い世代の失敗条件をそのまま混ぜないようにしたい。

日本語と英語の対応はとても近い

日本語の「おさきにどうぞ」は、相手へ自分の順番を譲る日常表現。英語のAfter you.も同じように、相手を先に行かせたり、先に話してもらったりする。

おさきにどうぞ → 相手へ順番を譲る
After you. → 相手へ順番を譲る

日英の間に大きな意味差を作る必要はない。技では対象を使用者の直後へ動かし、日常会話では相手を自分より先へ通す。どちらも「あなたが先」という同じ場面を描いている。

これは語の使い方と技の効果を比べた考察であり、名前が決められた過程そのものを示すものではない。

まとめ

「おさきにどうぞ」は英語でAfter You。After you.は、ドア、列、食事、会話などで相手に順番を譲るとき、そのまま使える定型表現である。

After you. → あなたからどうぞ/お先にどうぞ
Go ahead. → どうぞ進めて/始めていいですよ
You go first. → あなたが先に行って/最初にやって

ゲームでは素早さを上げるのではなく、そのターンにまだ動いていない対象を使用者の直後に行動させる。技自体の優先度は0で、対象が行動済みなら失敗する。

ゲームの技名を覚えるだけで、日常の短いやり取りにも使える。次に誰かへ順番を譲るときは、After you.と言ってみよう。

Dodai英単語

この記事で覚えたい英単語・英語表現

After you.

おさきにどうぞ / あなたからどうぞ

after
時間や順序で「〜のあと」。After you.では相手へ先を譲る定型表現になる。
go ahead
先へ進む、始める。Go ahead.なら許可や促しを表す「どうぞ」。
first
最初に、第一の。You go first.で「あなたが先に行って」。
polite
丁寧な、礼儀正しい。名詞を説明する形容詞。
politely
丁寧に。動作や言い方を説明する副詞。

After you.、Go ahead.、You go first.を、順番を譲る場面と許可する場面で使い分けましょう。

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この記事について

本記事は、ポケモンの技名を入口に、一般英語とローカライズを考える独自の解説です。 ゲームでの技の性質と、一般英語の意味を分けて整理しています。

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