ポケモンの技「ゆびをふる」は、英語で Metronome。metronomeは、音楽の練習で一定の間隔を刻むメトロノーム、拍節器を表す名詞である。
ゆびをふる → Metronome
日本語名は動作をそのまま表す。一方、英語名は、左右へ規則的に動く器具を思い浮かべさせる。同じ技を、指の動きと、その動きに似た物という別の角度から名づけたように読める。
metronomeは、一定の拍を刻む器具
metronomeは、設定した速さで規則的な音や動きを繰り返し、演奏者が一定の速さを保つのを助ける器具。数えられる名詞なので、1台ならa metronomeという。
Practice this piece with a metronome.
→ この曲をメトロノームに合わせて練習してください。
Set the metronome to 80 beats per minute.
→ メトロノームを1分間80拍に設定してください。
メトロノームは音楽そのものを演奏するのではない。規則的な基準を示し、演奏する人が速さや拍を確認できるようにする。
beatは、一つ一つの「拍」
beatは、音楽で規則的に感じる一つ一つの拍、またはその繰り返しを表す。心臓の鼓動や、物を打つ動作にも使われる。
Clap on every beat.
→ 一拍ごとに手をたたいてください。
The song has a strong beat.
→ その曲には力強いビートがあります。
メトロノームの「カチ、カチ」という一回ごとの音がbeatに当たる。beats per minuteを略したBPMは、1分間にいくつ拍があるかを示す。
tempoは、音楽が進む「速さ」
tempoは、曲や演奏がどれくらい速く進むかを表す音楽用語。複数形はtemposまたはtempiだが、英語学習ではまずtempoを「演奏の速さ」と覚えるとよい。
The tempo becomes faster near the end.
→ 終わり近くでテンポが速くなります。
beatが一つ一つの拍なら、tempoはその拍がどれくらい速く続くか。メトロノームの数字を上げると、beatの間隔が短くなり、tempoが速くなる。
rhythmは、音や動きの「パターン」
rhythmは、強弱、長短、間の取り方などによって生まれる音や動きのパターン。音楽だけでなく、詩、ダンス、生活や自然の繰り返しにも使える。
The drummer played a steady rhythm.
→ ドラマーは安定したリズムを刻みました。
Try to keep the rhythm.
→ リズムを保つようにしてください。
同じtempoでも、音の並べ方が違えばrhythmは変わる。rhythmを単に「速さ」と訳すと、tempoとの違いが見えにくくなる。
metronome・beat・tempo・rhythmを比べる
metronome → 一定の拍を示す器具
beat → 一つ一つの拍、規則的な打点
tempo → 音楽が進む速さ
rhythm → 音・言葉・動きの繰り返し方やパターン
メトロノームは、設定したtempoでbeatを刻み、演奏者がrhythmを安定させるのを助ける。この一文で四語の役割をまとめられる。
日本語名は動作、英語名は器具
日本語の「ゆびをふる」は、使用者が指を左右へ振る動きをそのまま表す。英語のMetronomeは、その往復運動を、左右へ振れるメトロノームの振り子に重ねた名前として理解できる。
日本語名が「何をするか」に焦点を置くのに対し、英語名は「その動きが何に見えるか」に焦点を移している。指の規則的な揺れと、次にどの技が出るか分からないランダム性の組み合わせも、技の印象を強くしている。
これは語の意味、画面上の動き、技の効果から組み立てた考察であり、名前が決められた経緯そのものを示すものではない。
ゲームでは、選ばれた技をすぐ実行する
現在のメインシリーズにおける「ゆびをふる」は、ノーマルタイプの変化技。PPは10、優先度は0で、使用者自身を対象にする。
成功すると、使用可能な候補の中から技が一つランダムに選ばれ、使用者がその技をその場で実行する。選ばれた技を覚えて次のターンに使う仕組みではない。
「ゆびをふる」を選ぶ
→ 使用可能な候補から技がランダムに決まる
→ 決まった技をすぐ実行する
「ゆびをふる」のPPを1消費し、呼び出された技のPPは消費しない。呼び出された技は、そのポケモンが最後に使った技として記録される。
呼び出された技の優先度では行動順を決めない
行動順を決める時点で選んだのは、優先度0の「ゆびをふる」。そのため、先制技が呼ばれても後から先回りするわけではなく、優先度の低い技が呼ばれても行動順が改めて遅くなるわけではない。
呼び出された技が誰を対象にするかは、その技の対象範囲に従う。自分や場に働く技ならその対象へ向かい、相手を選ぶ技では対象が自動的に決まる。
「ほぼすべて」であって、すべてではない
技の説明は「ほぼすべての技」からランダムに一つを出すという内容だが、選ばれない技が多数ある。「ゆびをふる」自身や「わるあがき」に加え、別の技を呼び出す「ものまね」「スケッチ」「ねごと」「まねっこ」などは代表的な除外例である。
「まもる」「みきり」「こらえる」などの防御・反応系、「どろぼう」「トリック」「すりかえ」など持ち物へ特殊に働く技、専用技や作品固有の仕組みと強く結びついた技にも除外がある。Zワザとダイマックスわざを直接選ぶこともない。
除外対象は世代ごとに追加・変更されているため、短い固定リストをすべての作品へ当てはめるのは正確ではない。現在の第9世代でも、通常技なら何でも同じ確率で出るわけではない。
技が出ても、効果が成功するとは限らない
「ゆびをふる」が技を呼び出す処理に成功しても、呼び出された技がその状況で失敗することはある。例えば、必要な対象や条件がそろっていない技なら、通常どおり効果が出ない。
また、「ちょうはつ」で変化技を使えない、PPが0、または「ゆびをふる」自体を選べない状態なら、最初の技を正常に使えない。これはランダム候補が空だから失敗するのとは別の話である。
「ゆびをふる」は使用者自身へ働くため、技そのものは「まもる」に遮られない。ただし、呼び出された攻撃技や変化技は、その技本来のルールに従う。
世代によって除外条件が変わってきた
「ゆびをふる」は初代から登場した。第2世代と第4世代では、使用者がすでに覚えている技は候補から外れた。第3世代にも同じ制限が意図されていたが、実際には働かないという違いがあった。
第3・第4世代では、「じゅうりょく」などの影響で必ず失敗する技を候補から避けた。第5世代以降は、その状況で失敗する技も選ばれる場合がある。第7世代ではZ「ゆびをふる」を使うと、選ばれた技に対応するZワザが実行された。
第9世代では新しい専用技などが除外一覧に加わっている。『Pokémon LEGENDS Z-A』ではリアルタイムバトルに合わせ、技が決まったあとに使用距離へ移動してから実行する処理があるため、『スカーレット・バイオレット』のターン制バトルと細部を混ぜないようにしたい。
Metronomeは「規則正しい」のに、結果はランダム
一般英語のmetronomeは、一定のbeatを正確に繰り返す器具。ところが技の結果は、どの技が出るか分からない。この対比が英語名の面白いところである。
指を振る見た目は規則的でも、そこから生まれる効果は予測できない。英語名はランダム性を直接表す語ではなく、技を始める動作の形を印象的な物へ置き換えていると考えられる。
まとめ
metronomeは一定の拍を示す器具、beatは一つ一つの拍、tempoは音楽の速さ、rhythmは音や動きのパターンを表す。
A metronome produces a regular beat at a chosen tempo and helps you keep the rhythm.
→ メトロノームは、設定したテンポで一定の拍を刻み、リズムを保つのを助けます。
「ゆびをふる / Metronome」は、指を振って、候補の中からランダムに決まった技をすぐ実行する。すべての技が候補になるわけではなく、選ばれない技は世代ごとに変化してきた。日本語名は動作、英語名はその動きに似た器具へ焦点を当てている。
